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第92話 卒業試合

 3月20日。ついに卒業試合当日になった。開会式が終わった後は、オレを含め試合に出る生徒たちは待機室に行く。最初は各科目戦になる。


 冒険科は最後だから暇だな。待っている間はどうしよ。っとエリオットが来たな。


「なぁラザ。緊張してないのか?」

「してると言えばしてますが。急にどうしたんですか?」

「他の人たちは緊張してるけど、ラザだけは緊張してないのかなって」


「エリオットさん。いくら何でそれは無いですよ。この試合は色んな人に見られるんですよ。少人数ならまだしも、多人数ですよ。緊張しない方が可笑しいですよ」

「そうだよな。ラザって、運動会の種目で徒競走は連続1位だろ。かなり知られてると思うぜ」

「ズバッと言いますね・・・。今ので試合に集中出来なくなりそうですよ」


「ワリィ」


 エリオットとは友達にならずに、学園生活を過ごしてきたけど。楽しかったな~。特に魔法が使えるのが楽しかった。勿論辛い事もあったけど。それでも楽しかったな。


「ラザ。俺変な事を聞くけど良いか?」

「どうぞ」

「俺たちさぁ・・・。友達、だよな?」


「・・・はぁ、今更ですか? 今更それを聞きますか」

「いやだってさぁ。俺たちはあんまり喋らないけど、喋る時は喋るよな」

「今みたいにですね。それで友達かどうかですよね」


「あぁ・・・」

「友達ですよ。去年一緒に人質役をやっていたのに、友達じゃない何ていいませんよ」

「そうだよな! 俺たちは友達だよな! あースッキリした」


 そこまで気にする事だったか? それにしても、初めて出会う所で友達になるはずだったが。オレが友達ならずに過ごしていたら、ストーリーイベントがかなり変わったな。同じところもあったけど。最後の魔物群れが、王都に襲って来なかったことが良かったな。


「おいエリオット。こっちに来てくれ。作戦の見直しをするぞ」

「分かったぜ! じゃあまた後でな」

「また後で」


 エリオットはレジさんとエメリー様の方に行く。オレは魔道具の確認するために、空間から首飾りの魔道具を出す。


 これは魔力の回復を早める魔道具。本当はこれと魔力増加を使いたかったけど。去年ナタル先輩が両方使ったせいで、片方しか借りることは出来なかった。まぁこれだけでも戦えるけど。後は使い魔の出場禁止だな。生徒の実力を見るたいから、使い魔の出場は禁止になってる。使い魔と連携をして戦うのも、1つの実力だと思うのだが。


「ラザ。今話せるか?」

「レジさんですか。話せますよ」

「そうか。前々から言ってるが、敬語は止めろよ。昔は普通だっただろ」


「昔は昔、今は今ですよ」

「変わらないな・・・。俺は結局、剣でお前に勝てなかったな」

「そうですね。剣では勝てませんでしたね。剣術はオレの方が上のようですね」


「イゼベル先生に教わってそうなったんだろ。俺も教わったが、全然上達しないぞ」

「オレはほぼ3年間。イゼベル先生に教わっていたんですよ。教わった時間が違うんですよ」

「俺も1年生の時。ラザと同じクラスだったら、少しは変わっていたか?」


「まぁ早い段階で今ぐらいの実力には、なっている可能性はあるかと」

「そうか・・・。なぁラザ。今日ぐらいは敬語じゃなくても、いいじゃないか? 俺たちは今日で学園を卒業するんだ。最後くらいは敬語じゃなくていいだろ」

「・・・まぁそうだよな。最後くらいは敬語無しでいくか」


 オレがタメ口で言うと、レジは驚く。


「おぉラザが敬語を使わないで喋ってる! 凄く新鮮だ。それと同時にタメ口でも喋れるんだな」

「お前はオレは何だと思ってるんだ? こっちの方が素だからな。メールや親の前以外で、タメ口で喋るのは久しぶりな気がする」

「あっ! ラザが敬語で喋ってない!? どうなってるんだ?」


「あのラザさんが敬語を喋って無いです・・・。明日は槍でも降って来るんですか?」

「じゃあエメリー様だけ、敬語で喋ろうか?」

「いえ! 今のままでいてください!」


「だってよラザ。そっちの方が素なのか?」

「そうだな。こっちが素だ」

「たまに素が出てましたよね」


「それは忘れてくれ。あんまり憶えていてほしくないよ」

「そうですか?」

「そうだよ。あぁそれと。俺が敬語じゃないのは今日までだからな」


「「「えぇ~」」」

「えぇ~じゃない。あんまりタメ口でいると、何か弄られそうで怖いんだよ・・・」

「弄りませんよ。多分」


「その多分が怖い。そっちの作戦はどうなんだ? もう準備万端か?」

「こっちはバッチリだぜ! もしかしたら、俺たちの出番は無いかもな!」

「エメリー様だけで倒せる気がする。駄目だったら俺とエリオットで戦う」


「先手必勝か。そうなればいいな。オレの場合はそうもいかない気がするよ」

「対戦相手の事か。噂だと、果て無き夢のクランリーダーが出るって聞いたぞ」

「それだよそれ。何でオレの相手がそんな凄い人が来るんだよ・・・」


「思いのほか噂になってるんじゃないか?」

「仮にそうだったら、絶対に先輩たちのせいだ」

「ラザさんも大変ですね」


「エメリー様は他人事だな・・・。実際にそうなんだけど」


<報告をします。冒険科のラザ・メルト・カルバーン選手は、準備が出来次第い入場前まで来てください>


「あぁ呼ばれたな。じゃあ行ってくる」

「おう! 行ってこい!」

「相手がクランリーダーだったら・・・。引き分けまで持ってこいよ」


「負けても恥では無いですよ。なので無理はしないでください」

「応援をしてるのかしてないのか。まぁ出来る範囲で頑張るよ。あとエメリー様が言っていた事は、守れそうにないな」


 オレはそう言って首に首飾りを付けて、待機室から出る。オレは入場前に着いたら、職員の人に話しかけられる。


「ラザ・メルト・カルバーン選手ですか?」

「はい」

「身体に何か異常な所はありませんか?」


「ありません」

「分かりました」


 職員の人は魔道具を使って、何処かに連絡する。


「お待たせしました。先に冒険者の人が入場します。それが終わればラザ選手の入場です」

「分かりました」


 ついに出番が来たか。緊張してきた・・・


「次は冒険科と冒険者の試合です。早速入場してもらいましょう! 最初は冒険者から入場です!」


 司会者がそう言うと、冒険者が入場してくる。遠くでちょっと顔が分からないが、耳が尖がってるからエルフだと分かった。


「冒険者のカラレイ選手です! カラレイ選手は果て無き夢の現クランリーダーで、初期の創設メンバーです。知っての通り、果て無き夢は最近まで落ちぶれてましたが。去年夫婦と一緒に復帰をしてカラレイ選手はクランリーダーになり、今は落ち目から立ち直り昔みたいに活気が戻ってきているそうです! お聞きしますが。クランを脱退した理由は何ですか?」

「育児の為ですよ」

「育児の為にクランを脱退をしたんですか。良い父親ですね!」


「ありがとうございます」

「お次は冒険科の選手の入場です!」


 オレは呼ばれて、アリーナに入場する。


「冒険科のラザ。メルト・カルバーン選手です! 彼は運動会の種目、徒競走3年間連続1位を成し遂げた選手です! それ以外事はほぼ何もありません。何せ情報があんまり無いからです!」


 紹介が雑。まぁほとんど他の人と話したりし、一部は非公開だからな。ってか去年こんな紹介あったか? 今年から取り入れたのか? あ、エディスさんが手を振っている。オレも手を振るか。何でサラサ様もいるんだ? 学年違うだろ。


 オレはエディスさんたちがいる方に手を振る。


「ラザがちゃんと反応した」

「明日は酸の雨が降りそうですね」

「オメェーらはラザを何だと思ってるんだ? アイツはこう言う時はちゃんと反応するぞ。去年もそうだっただろ」


「あぁそうだった」

「反応する時は反応するのですね」

「今日は特に反応するかもな。何なら敬語じゃねぇかもな」


「それは無いんじゃない? いつも通りだと思うけど」

「同じく」

「では両者準備の方は良いですか?」


「「はい」」

「では。・・・試合開始!」


 司会者がそう言うと、出入り口に壁が出来る。試合中に攻撃と人が出入り口に、行かないようにするためだろう。


「じゃあ始めようか!」


 カラレイさんはすぐに弓と矢を出して、矢を放ってくる。オレは木刀をすぐに出して、矢を斬り落とそうとするが。矢の方が速く腹に当たり、後ろの方に飛ばされる。オレはすぐに後頭部に強化魔法で強化をする。オレはそのまま壁にぶち当たり、倒れる。


 ――――――いってー。予想以上に矢が速かった。これ本当に矢か? 絶対に魔法で強化してるだろ。矢じりは丸くしてるから、貫通しなかったけど。まさか吹き飛ばされるとは・・・。ただ。壁に頭が当たったお陰か『ラザ』の記憶がほぼ戻ってきた。


 オレは立ち上がって、氷魔法で氷の棒を2本作り。それを浮遊魔法と制御魔法を付与して、オレの背中辺りに浮かせる。


「よし。反撃するぜ」

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