第90話 自業自得
「つ、疲れるね。モチツキってこんなに疲れるんだね・・・」
「そうですね。このキネも思いの方か重かったですね」
「オレは軽いと思いましたが」
「そりゃあラザは鍛えてるからでしょ。こっちはウスかキネが壊れないか、ハラハラしたよ」
「ちゃんと力加減はしてますよ。問題は今やっている、イゼベル先生ですよ」
「大丈夫だと思いますよ。授業中でもちゃんと手加減してくれてるので、ウスもキネも壊れないと思います」
「そうだぞ。わたしが力加減を間違えると思ってるのか?」
イゼベル先生がこっちに来て、キネをサラサ様に渡す。サラサ様は餅をつきに行く。
「少し思ってました。何かオレだけ、かなり痛い思いをしてるので。最悪ウスかキネが壊れると思いましたよ」
「お前は一昨年と去年で、身体は頑丈になってるから。こっちは加減を緩めてるんだ。サラサはまだ頑丈にはなってねぇだろ」
「そうですけど。もう少し加減をしてくだいよ。こっちは間違えて死ぬんじゃないかと、毎回毎回思うんですよ」
「死なねぇ死なねぇ。この程度じゃ死なねぇよ」
本当に死なない? 何回かマジで危ない攻撃を食らってるのだが・・・。
「イゼベル先生。モチツキは楽しかった?」
「意外と楽しかったな。主に使うのが上半身だから、良い運動にはなるな」
「そこですか? 確かに主に上半身を使いますが、そんなにいい運動にはなりませんよ」
「そうか? 良い運動になると思うが・・・」
「自分も終わりました。ただまだ粒が残っているので、あと1人やってほしいそうです」
「では私がやりますね」
サラサ様はキネをエメリー様に渡す。エメリー様は餅をつきに行く。
「・・・ねぇラザ。エメリーとイゼベル先生を見てて、思ったことがあるの」
「何ですか? 急に言い出して。何か変な事をしてましたか?」
「別に変な所は無かったけど。ただ2人の胸がゆれ―――」
オレは最後まで言わせないために、エディスさんの頭を叩く。
「貴女は一体何処を見てるんですか!? 違う所を見てくださいよ!」
「だってあんなの見たら、そっちを注目しちゃうよ! 絶対に他の所を見れないね」
「何断言してるんですか。全然カッコよく無いですよ」
「エディス先輩。その気持ち解ります」
「サラサ様!? サラサ様も何を言ってるんですか!」
「あれは誰だって見ますよ。正直言って嫉妬しますね。2人のようにまでは言いませんが、もう少しあった方が嬉しいですね」
「同じく」
ふ、2人の嫉妬が凄い・・・。
「何言ってるんだ。あの2人は?」
「後で2人から聞いてください」
「―――終わりました。後でモチを皿に移すそうです」
「終わったんですか。という事は、後で食べられるですね」
「はい。ところで、2人から変な視線を感じたんですか。何か変な所ありましたか?」
「うんん。特に変な所は無いよ」
「そうですね。何も問題はありませんでしたね」
「・・・ラザさん。2人は何か隠してませんか?」
「オレに聞くんですか? えっと、その・・・」
「(ラザが言う訳が無い。その手の物は恥ずかしくて、言える訳が無い。自分の胸と言うのはいいけど、女性の胸何て言えるほどの度胸が無いね)」
「・・・エメリー様。ちょっと耳元で話していいですか?」
「はい。どうぞ」
オレはエメリー様の耳元で、エディスさんとサラサ様が何を見ていたかを言う。
「そう言う事ですか。エディス、サラサ。部屋に戻ったら説教をしますね」
「ラザ!? もしかして喋ったの、あのラザが!?」
「信じられません。この手の物は恥ずかしくて、喋れないと思いました」
「凄く恥ずかしいですよ・・・」
「ら、ラザだって見てたかもしれないんだよ。ラザも一緒に説教されるべきだよ」
「そうです。自分たちが見ていたことは認めます。ただラザ先輩も見てました」
「オレを巻き込までくれますか!?」
「ラザさん見ましたか?」
「言え全く。見ていたとしても、背中だけですよ」
「っと本人も言ってるので、ラザさんは関係無いですね」
「裏切られた・・・。ラザ。学園を卒業するで、絶対に何かしらの仕返しをするからね」
「同じく」
「自業自得です。大人しく説教されてください」
「―――お待たせしました。今回の味付けはこちらの方で選びました。この黒いのがあんこで、こっちはきな粉砂糖になります。お好きな方を選んでください」
あんこときな粉砂糖か・・・。帰る前に買うから、今回はきな粉砂糖にするか。
オレはきな粉砂糖の方を取って、店に出ている椅子に座って食べる。
ん~美味い! 普通のきな粉餅でも良いけど、きな粉と砂糖で甘くして食べるのも良し。きな粉と砂糖が残るのは、ちょっと勿体ないけど。そしてペールは何故か普通に食べている。消化出来るのか? 使い魔だからそんなの関係ないのか?
「このアンコモチは初めて食べたけど。甘いね」
「こっちのキナコ砂糖モチも甘いですよ。キナコ砂糖の量が多いですが」
フォークを使って食べるのを見ると、違和感を感じるな。エメリー様とイゼベル先生は・・・。餅が伸びて苦戦してるな。
オレたちはつきたての餅を食べて、帰る前に何個か餅を買って宿に戻る。
次の日。エメリー様たちの部屋で、朝食を食べる。食べ終わったら、部屋から出て自分の部屋に行く。移動してる時に店員さんに会う。オレは店員さんに質問する。
「すみません。可笑しなことを聞きますが、この宿の創業何年ですか?」
「今から268年前ですね」
「そんな古くからあったんですか!? じゃあこの宿が出来たのはいつですか?」
「264年前ですね」
「創業から4年後にはもう宿が出来ていたんですか・・・。ありがとうございます」
「どういたしまして」
店員さんと別れて部屋に行く。部屋の中を片づけをする。布団はそのままにしてもいいようなので、部屋からで受付で合流して会計を済ませる。会計が終わったら宿から出る。
「今日で終わりか~。何か早やかったな~」
「そんなもんだと思いますよ。帰りの時間になるまで、どうやって時間を潰しますか?」
「この辺のお土産屋に行って、後はここ以外の場所に行こうかな。先ずはお土産屋だね」
エディスさんについて行って、お土産屋に行く。
あ。ここは前に行こうっと思っていた、お土産屋だ。
中に入って各自で何を買うかを見る。
木刀だ。木刀が売ってる。買っておくか。京都とかで買うと、大体いらないものになるけど。ここで買うと、使う日が必ずあるから。買っておいて損はしないだろ。取るのは後にして、他は・・・。扇子に万華鏡、おみくじに、これは手毬ってやつか? あやとりで使う紐、お手玉、けん玉。何か玩具系がばっかだな。食べ物は無いんだな。餅を買った時も、木箱だったし。まだ生食べ物類は中々売りだせないか。修学旅行の時は買えたけど、こっちはまだ試行錯誤中なのか。他の所で買えばいいか。あ、箸が売ってる。買わないと
オレは外に出てる木刀を3本取って、箸を2膳を取る。そのまま会計に行って買い物を済ませる。オレは一度店を出て、隣が何の店かを見る。
米屋と味噌屋と醬油専門店・・・。買わないと!
オレは店を3軒回り、米、味噌、醤油を買う。金が尽きないかを心配してたが、まだ余裕があった。
か、買いすぎたな。でも悔いは無いな。寮に戻ったら、食堂で何か作ろうかな。
オレはエメリー様たちと合流して、街を見て回る。時間になったら馬車乗り場に行って、幌馬車に乗って王都に帰る。