第88話 神社
エメリー様たちの部屋の前に着いたら。中に入る許可を貰って、朝食が来るのを待つ。待っていると、朝食が運ばれてきてテーブルに置かれる。空間からペールの朝ご飯を出して、ペールにあげる。オレたちは朝食を食べ始める。
「・・・・・・あのー。そうジッと見られると、食べづらいんですが」
「昨日も思ったが、何でお前は普通にハシが使えるんだ? どっかで練習でもしてたのか?」
「してませんよ。ただ店員さんの説明が上手かっただけですよ」
「いや1回聞いただけで、すぐに使えるようになりますか? 器用を通り過ぎで、異常だと思いますよ」
「異常とは失礼じゃないですか。たまたますぐに出来ただけですよ」
「絶対に嘘だ」
「知らないうちに取り寄せて、ずっと練習してたんですね」
「取り寄せていれば、練習をしていても可笑しく無いですね」
「お前は影でも努力をする奴だったか」
「勝手に決めつけないでくれませんか!」
「だってラザが中々言わないじゃん」
「言いませんよ。別に言う必要も無いですし」
「こっちは凄く気になるけど。ハシもそうだけど、ユカタだよ。アタシは知らなかったよ。この温泉宿にユカタがあったなんて。何でユカタが存在するって知ってたの?」
「オレも知りませんでしたよ。この温泉宿に浴衣があったなんて。浴衣の存在については・・・」
オレが少し考えると、皆にジッと見られる。
「む、昔。浴衣っという服があるって話を聞いたんですよ」
「昔ねぇー。まぁそう言う事にしておこっかな」
嘘だとバレてるな。今後何か余計な事を言うのを控えよっと。
朝食を食べるのを再開する。食べ終わったら。ペールの朝ご飯を片付けてから、オレは自分部屋に戻る。部屋に戻ったら、空間から少し厚い布を出して、布の上に右肘を畳みにつけて横になってゆっくりする。
「何かこうしてると。日本に戻って来たんだ~って思う」
「クゥクゥ?」
「あぁ日本って言っても分からないか。説明してもいいけど、興味ある?」
「クゥ」
ペールは首を横に振る。オレの腹の中心に来て、丸くなって寝始める。
興味なし。まぁその方がいいけど。説明するのがちょっと大変だからな。そろそろ卒業する日が近づいてきたな。卒業したら冒険者になるけど、ずっと冒険者でいる訳じゃないしな。最悪死ぬ可能性もあるしな。・・・学園を卒業して冒険者になってから、考えよ。
「―――ラザ先輩。いますか?」
「いますよー。入っても大丈夫ですよ」
オレがそう言うと、サラサ様が入って来る。
「・・・随分とくつろいでますね」
「実家に帰って来た気分でいますからね。それで何か用ですか?」
「エディス先輩が、この街を見て回ると言っていたので。ラザ先輩もどうですか?」
「街を見て回るんですか。良いじゃないですか。行きましょう。誘われ無かったら、今頃部屋で昼寝してたかもしれませんね」
「昼寝ですか・・・。そう言えば、朝エディス先輩が来たと思うのですが。寝顔を見られましたか?」
「見られる前に、オレが起きていたので。特に見られてませんが」
「そうですか。早く起きるコツってありますか?」
「そうですね・・・。オレが言えるのは、早寝早起きをするしかない。ですね」
「やっぱりそれしかないですか」
「寝顔を見られるのが嫌なんですか?」
「嫌ですね。何故か負けた気分になります」
「負けた気分になるんですか。オレはまだ見られてないので、よく分かりませんが。きっと同じ気分になるでしょうね」
「なりますね。では自分たちは先に外で待ってますね」
サラサ様は部屋から出る。オレはペールを起こそうと思ったが、既に起きていた。ペールも行きたいそうなので、連れて行く事にする。少し厚い布を空間の中にしまって、起き上ってペールを抱いて自分の後ろ首に巻くように置く。部屋から出て、店員さんに挨拶をしてから店を出る。エメリー様たちと合流をしてから街を見て行く。
使い魔の分の料金はタダだけど、食事は出ないんだよね。行く前に作り置きしておいて、良かった。
「エディス先輩。これから何処を見て回って行くのですか?」
「その事なんだけどさぁ・・・。実はこの辺ってあまり行く所無いんだよね・・・」
「「「「え、無い?」」」」
「うん。ほぼ無いんだよね。よくてお土産屋ぐらいかな。この一帯はそんなに広くないからね。少し歩いてると、普通の街に戻るところもあるしね」
言われてみればそうだな。ゲームでもそんなに、この辺を見て回らなかったな。流石に寺とか神社を建てる訳にいかなかったか。寺を建てるのに、どれだけの時間が必要なんだろうか?
「意外と見る所は無いんですね」
「自分は沢山あると思いましたが。そうでも何ですね」
「まぁ温泉に入れただけでも、わたしは満足だがな」
「ん~、とりあえず。今すぐ行ける所はジンジャくらいかな」
神社あるのかよ!? ってか建てていたのかよ! という事は。この辺りが出来たのって、かなり昔なのか?
「ならその、ジンジャ。に行ってみるか」
「場所は憶えてるから案内出来るよ。こっちだよ」
エディスさんは前に出て、神社の案内をしてくれる。オレたちはエディスさんについて行く。