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第87話 浴衣

 夕食を食べ終わった後は、温泉に入る。ここの温泉宿は混浴が無くて良かったと思いながら、温泉を満喫する。満喫したら温泉から上がって、脱衣所に入って身体を拭く。


 この時間はそんなに人がいなかったのか、泊っている人が少なかったのか。特に人はいなかったな。人がいなくても、ついつい作法を気にしてしまう。入る前に周りを見たけど。壁に紙が貼ってあって、その紙に作法とかが書いてあったから。それを見て憶えることは出来た。

 問題はこの浴衣だよな・・・。エディスさんは浴衣は無かった、って言っていたが。どう見てもこれは浴衣だ。もしかして、浴衣が導入されたのか? 壁に貼ってある紙には『服に着替える時は、是非浴衣に!!』って書いてあるしなぁ・・・。絶対にエメリー様たちは着るだろうな。オレだけ着なかったら、何て言われるだろうか・・・。着るか。


 オレは浴衣を持って、紙に浴衣の着方を見ながら浴衣を着る。着替え終わったら。カゴに入っている私服を浄化魔法で綺麗にして、空間の中にしまう。脱衣所から出て部屋に行く。


 初めて着たけど。着替えるのに時間がかかったな・・・。慣れてる人はすぐに着替え終わるだろうな。


「ラザさ~ん! ちょっと待ってくださ~い!」


 後ろからエメリー様の声が聞こえた。オレは心の準備をしてから、後ろを振り向く。振り向くと、予想通り皆浴衣を着ている。


 ―――あっぶねー。エメリー様のファンだったら、ぶっ倒れていた。和利だったら、あまりにも可愛さでぶっ倒れてる。アイツはエメリー様のファンだからなぁ・・・。


「大丈夫?」

「大丈夫です。まだ倒れませんから」

「え、倒れる? そんなに酷い格好してた?」


「いえいえ。何処も酷い格好はしてませんよ。寧ろ全員似合ってますよ」

「そ、そうかな~? そんなに似合ってる?」

「似合ってます」


 何でエディスさんとイゼベル先生とサラサ様は、ゲームに出てこなかったんだろ? ゲームに出てたら、人気出てただろうな。


「似合ってる似合ってねぇは置いといてだ。このユカタだったか。胸が苦しい・・・」

「私も胸ちょっと苦しいです。もう少し緩めても大丈夫でしょうか?」

「男性がいる前で、そんな話をしないでくださいよ」


「別にお前には関係ねぇだろ。それにこの程度で気にしねぇだろ」

「オレを何だと思ってるんですか・・・。気にする時は気にするんですよ」

「何を気にするんですか?」


「えっ!? そ、それは・・・・・」

「それは?」

「それは・・・。い、言えません・・・」


「エメリー。そこは察してやれ。ラザも男だ。色々思う所があるだろ」

「はぁ。そうですか」


 エメリー様。何も思わないんですか。


「――――――ねぇラザ」

「何ですか?」

「エメリーとイゼベル先生を見るとこう思うの。あれが胸の格差、だってね」


「迷うごと無く、胸の格差ですね」

「2人もそんな話をしないでくださいよ! こんな所で話さないで、部屋で話してくださいよ」

「そうだね。ラザはどうするの?」


「・・・部屋に戻ってペールと一緒に寝ますよ」

「はやっ!? もう少し起きてたら? 何ならこっちの部屋に来る?」

「行きませんよ。と言うか。普通は行きませんし行けませよ」


 オレはそう言って移動する。オレが移動すると、エメリー様たちも付いて来る。


「そうですか? ラザ先輩なら大丈夫だと思いますが」

「サラサ様。もしサラサ様が1人で、他の男性4人いるとします。1人の男性が「部屋に来る?」何て言われたら、素直に行きますか?」

「行きたく無いですね」


「そう言う事です。オレの気持ちが解ってくれて、嬉しいですよ」

「―――それで来ないのですか?」

「オレの話聞いてました!? さっきまで普通に聞いていて、理解してくれましたよね!?」


「解りましたよ。でも、それはそれです」

「何か変な所でクリス様に似てませんか? 気のせいですか?」

「気のせいです。それに姉上の話はよしてください。手紙でかなり愚痴が書かれていたので・・・」


 サラサ様は遠い目をする。きっと温泉の事で愚痴を書いていたんだろう。


 そろそろエメリー様たちの部屋に着く。オレはおやすみと言って、自分の部屋に戻る。部屋に戻ったら。光魔法で灯りを出して、押入れから布団を出して引く。ペールを呼び出して、灯りを消して布団に入って寝る。


 次の日。オレは目が覚めて起きる。ペールの頭を撫でて、布団から出る。


 ・・・・・・視線?


 視線を感じる方を見ると、エディスさんがいた。


「お、おはよ~。起きるのが早いね~」

「・・・・・・部屋、間違ってますよ」

「合ってる合ってる。こんな事じゃないと、ラザの寝顔は見れなからね」


「はぁ」

「大丈夫? 布団片付けられる?」

「はい。ペールが起きたら、片付けます」


「(大丈夫かな? 休みだからこんな感じなのか、朝は常にこの状態なのか。一昨年もこんな感じだったような・・・)」


 ペールが目を覚まして起きる。ペールは布団からどいて、オレは布団に浄化魔法で綺麗にしてから、布団を押入れに入れずに隅の方に置く。


「皆は起きてるんですか?」

「まだエメリーとサラサさんが寝てるよ」

「じゃあ後で行きますね。行ったら面倒になりそうですね」


「ユカタがはだけてるから?」

「何で普通に言えるんですかね・・・。あんまり言わないでくださいよ。私服に着替えるので、部屋から出てください」

「もう着替えるの? 朝食食べてからでいいじゃん」


「浴衣を着てると、ちょっと落ち着かないんですよ。分かったら早く出て行ってください」

「はーい」


 エディスさんは部屋から出ていく。オレは私服に着替えて、浴衣は専用のカゴに入れる。時間が経ったらエメリー様の部屋に行く。

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