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第86話 余計な事を

 幌馬車はフウオ街に到着する。少し到着する時間が遅くなったが、魔物の素材が手に入ったので良しとする。


「もうこのまま温泉宿に向かうのか?」

「うん。もう夕方だし、明日か明後日のどっちかで街を回ればいいかな。皆は今すぐ行きたいところってある?」

「無いですね。明日と明後日回れるので、特に無いですね」


 オレがそう言うと、エディスさん以外は頷く。エディスさんは前で立って移動する。オレたちは付いて行って、温泉宿に行く。歩いていると少しづつ街の中が変わっていく。


 ゲーム通りだな。この辺だけ日本の作りになってるな。あ、ゲームでも見た事あるお土産屋だ。ゲームじゃ入れなかったところだな。明日か明後日のどっちかに行ってみよ。


「見た事ない所に来ましたね・・・。まるで異世界です」


 ゲームやテレビとかで見た事あるから、特に何とも思わないな。寧ろ懐かしい。


「何でここだけ建物造りが違うのでしょうか?」

「とある人がくだらない理由で、穴を掘っていたら。温泉が噴き出たらしく。この温泉で商売が出来ると思ったけど、どうやって店にするかを考えていたら。丁度旅行で来ていた人が、極東で温泉旅館を営んでいた人がいたんだって、その人に頼んだら引き受けてくれて。伝手で職人を呼んで店が出来たんだって。その後極東の文化を取り入れて、今の状態になったんだよ」

「くだらない理由から、ここまでなったのですね。ならここの店も温泉旅館になるのでは?」


「そうだけど。こっちの方は『旅館』ってあまり使わないでしょ。だから温泉屋になってるよ。あ、特に作法は気にしなくていいからね」

「そうですか。作法を気にしなくていいのは、助かりますね」


 あ、さっきの話とは関係無いけど。もしかしたら味噌とか醤油あるかも。見つけたら買わないと。


 エディスさんに付いて行くと、温泉宿に着く。オレたちは中に入って、予約していることを言う。オレたちは本人確認が出来るものを出して、それを見せる。


「―――はい。本人確認が出来ました。これから部屋へご案内しますが。ラザ様だけは個室になっておりますが、間違いはございませんか?」

「はい。間違ってません」

「分かりました。ではご案内させていただきます」


 店員さんに付いて行く。先にエディスさんたちが泊まる部屋に着く。エディスさんたちが入ったら、次はオレの部屋に案内される。


「こちらになります。今日から明後日の朝ご飯までは、エディス様たちの部屋で食べてください」

「はい? 何でそうなってるんですか?」

「エディス様から、ラザ様も一緒に食べたい事なので。ラザ様の部屋には朝食や夕食を運ばず、エディス様たちの部屋に運びます。いいお友達ですね」


 エディスさんめ・・・。何て余計な事をするんだよ・・・。


「夕食は19時に運びます。それまでごゆっくり」


 店員さんは仕事に戻る。オレは部屋の中に入る。


 ちょっと問題はあったが、部屋の中は落ち着くから良しとしよう。床は見事に畳だな。ベッドが無いって事は押入れの中に、布団でも入ってるのか?


 オレは押入れの所に行って襖を開ける。


 おぉー布団だ! 布団がある!! まさかこの世界で布団が使えるとは・・・。感動する。布団は後で出すとして、時間を確認するか。


 襖を閉めて、オレは時間を確認をする。


 もう少しで19時だな。行かないと駄目か・・・。


 部屋から出てエディスさんたちの部屋に行く。襖越しで入って言いかを聞く。入る許可を貰ったら、中に入る。


「来た来た。こっち空いてるから座ってよ」


 オレはエディスさんの隣に座る。


「エディスさん。何でオレはここで、食べないといけないんですか?」

「1人で食べるのは寂しいでしょ」

「ペールと一緒に食べるので、寂しくは無いですよ」


「・・・お前はいつもそやって食べてるのか?」

「そうですよ。って何ですかその目は? そんな可愛そうな目で見るのは、止めてくださいよ。オレは別に何とも思ってませんよ」

「もう分りましたので、ラザ先輩は何も言わないでください」


「絶対に分って無いですよね!? 違う意味で理解をしてますよね!」

「どうでしょう」

「そんな事よりそろそろ夕食が来るよ」


 エディスさんが行った通り、襖越しから店員さんの声が聞こえた。エディスさんは許可をして、店員さんが入ってきて夕食を運んでくれる。夕食は焼き魚や漬物野菜や味噌汁、そしてご飯などが運ばれる。運び終わったら、箸の使い方を説明される。教え終わったら店員さんは部屋から出る。


「――――――無理だ。わたしにはハシが使えねぇ。フォークとスプーンを使うぞ」

「早くも脱落者が出たね。アタシも何回か来てるけど、ハシは中々慣れないね」

「そもそもこの2つの棒で、料理を取るのは間違ってると思います」


「これで食べるには、かなりの練習が必要ですね。ラザさんはどうですか?」

「オレですか? 普通に食べてますが」

「「「「!?」」」」


 皆はオレを見て皆驚く。


「え!? 何で普通に食べてるの? ハシ使うのは初めてだよね? あと何で泣いてるの!?」

「初めてですよ。何で涙が出たかは知りません」


 本当は知ってる。約3年ぶりに米を食べたからだ。米を食べられるとは思ってなかった。これは買わないといけないな。絶対に買わないと。


「意外と器用なんですね。この黒い液体は何でしょうか?」

「それは醬油ですよ。焼き魚にかけて食べてみてください。かけ過ぎには注意してください。しょっぱいので」

「このスープは何ですか?」


「それは味噌汁です。中に入ってるのは、ワカメと豆腐ですね」

「この野菜は何だ?」

「漬物ですね。その隣にあるのは卵焼きですね。この緑の液体がお茶で、この白い粒がお米です。このお米が主食になります」


「・・・何でそんなに詳しいの? 実は何回かここに来たんじゃないの?」

「いやいや初めてですよ。本当に」

「怪しい・・・・・・」


「そ、それより食べましょうよ。折角の夕食が冷めますよ」

「・・・まぁそうだね」


 エディスさんに怪しまれながら、夕食を食べる。

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