表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/177

第84話 温泉宿

 12月中旬。期末試験とある程度の受験などが終わり。生徒たちはあまりにも嬉しさに、叫び出す。


「ここまで叫ぶんだ・・・。何かちょっと怖いね」

「今まで追い詰められていましたので、色々ストレスが溜まっていたんでしょう。でも今は、追い詰められるものは無くなりましたね。まだ結果が出て無いのに、何でもう気を抜いてるんだろうか」

「一時的でも解放されるので、それを喜んでると思いますよ。結果が悪かったら、更にストレスが溜まりますね」


「ここいると怖いから、図書室に移動しようか」


 オレたちは立ち上がり、図書室に行く。図書室に着いたら中に入って、空いてる席に座る。


「ラザさんは特に何も無いですが。エディスは就活は大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ。アタシは親の商会の所に就職するからね。手伝いとか色々やってたから、ほぼ試験は無いね」

「楽じゃないですか。あまり他の人には言わない方がいいですよ」


「分かってるよ。それより冬休みはどうする? どっか行く?」

「どっかって何処ですか? あんまり遠い場所には行けませんよ」

「実はね~」


 エディスさんは空間から、雑誌を出す。


「ここの温泉とかどう?」

「温泉!? 温泉何かあるんですか? ちょっとその雑誌見せください」

「良いよ」


 オレはエディスさんから雑誌を受け取って、内容を見る。


 に、日本の温泉宿と一緒だ・・・。ゲームでこんなのあったっけ? ・・・・・・あった。ただ2年生の夏休み中に行くはずだが。オレのせいでかなりズレたのか。夏に温泉に行くのはどうかと思うが。


「もしかしてラザ。行く気満々?」

「違いますよ。ただ驚いて、見ているだけですよ」

「それでこの温泉宿に行きたいんですか?」


「うん。本当は家族と行きたいけど、色々忙しいから中止になった。だからエメリーたちを誘って、温泉に行こうかな~って。思ったの」

「私は良いですが。他は誰を誘うんですか?」

「サラサさんを誘うし、保護者としてイゼベル先生を誘うよ」


「変わらないメンバーですね。まぁ楽しんで来たらどうです。あ、お土産はいりませんよ」

「ラザは何言ってるの? ラザもだよ」

「待ってください。どう考えても男性のオレが行くのは、駄目ですよ。絶対に駄目ですよ」


「大丈夫だよ。ちゃんとラザだけ個室を予約するから」

「それで安心すると思ってるんですか。行きませんよ。男子1人女性4人は、痛い視線が来るのできついですよ」

「でも前にイゼベル先生の家に行った時は、普通でしたよね?」


「た、確かに普通でしたけど・・・」

「じゃあ平気ですね。いつ行きましょうか?」

「その前にサラサさんとイゼベル先生に聞かないと」


 2人は話を進めて、日程を決め始める。どうやらオレの意思は無いようだ。


「・・・エディスさん。その温泉宿は一度行った事あるんですか?」

「あるよ」

「その温泉宿は浴衣がありますか?」


「ゆかた? なにそれ? そんなの無いよ」


 浴衣が無い? もしかして、店の外見だけは日本に似てて。中はそうでもないのか?


「浴衣が無いなら、ちょっと安心は出来ますね」

「よく分からないけど。良かったね」

「良かったは良かったですが。一応確認しますが、オレも行く事になるんですよね?」


「そうだよ。とりあえず冬休み中、26日から30日の間には行きたいね。無理だったら、1月の1日から4日には行きたいかな」

「あぁそうですか」

「――――――ここにいましたか。探しましたよ、ラザ」


 マルル先生がこっちに来る。


「何か御用ですか?」

「えぇ。実はさっき知ったんですか。イゼベル先生は教師を辞めるんですね」

「あれ、今まで知らなかったんですか? てっきり知ってると思いましたが」


「知ってたんですか!? 何で教えてくれなかったんですか!」

「知っていると思ったんですよ」

「エメリーさんとエディスさんは知ってましたか?」


「知ってますよ」

「知ってるね。去年聞いたけどね」

「それで話はそれだけですか? こっちはちょっと忙しいので」


「あ、はい終わりですね。ところでその雑誌は、温泉などの雑誌ですね。3人で行くのですか?」

「サラサさんと保護者としてイゼベル先生を誘って、5人で行く気だけど」


 それをマルル先生の前で言うのか!? 絶対に理由を付けて行くって言うぞ!


「―――男性はラザだけなんですよね?」

「そうですね。ラザさんだけですね」

「でしたら、その保護者の枠にぼくを入れてくれませんか? 男性1人だと心細いと思いますし、保護者が増えれば別々に行動出来ますよ」


 ほら言ってきた。オレをダシに使って、イゼベル先生と一緒に行きたいんだよ。


「保護者はイゼベル先生だけいればいいかな。別行動もしないし、皆見て回りたいしね」

「それにマルル先生も忙しいと思うので、遠慮させていただきますね」


 拒否した。もしかてマルル先生を入れる事に、不満があるのか?


「ぼく自身は忙しく無いので、基本的には予定は空いてますよ」

「それでも遠慮させていただきます。まだこっちは予定を決めていませんし、まだ行くと確定をしたわけではありません。そもそも2人が来れるかも分りません」

「それでしたら、ぼくが聞いて来ますよ」


 マルル先生はそう言って移動する。


「いちゃったー・・・」

「行きましたね。何でそこまで拒否をするんですか?」

「マルル先生はイゼベル先生の事が、好きなんですよね?」


「何でそんな事を知ってるんですか?」

「サラサさんから聞いたよ。前にイゼベル先生の家に、泊まりに行った時にね」

「サラサ様はそんな事喋ったんですか・・・。それでイゼベル先生は何て言ってました?」


「お酒の酔いが醒めて、真顔で「絶対に無い」って言ってましたね」

「完全に脈なしじゃないですか。だから拒否をしていたんですね」

「そうだよ。だって両想いでも無いのに、一緒にいさせるのは酷だよ」


「確かにそうですね。こうなるとイゼベル先生は断りそうですね」

「マルル先生の前ではね。多分アタシたちの前では行くって、言うかもよ」

「それは無いと思いますが」


「――――――ここにいたか。さっきマルルに会ったが。オメェーらは温泉に行くのか?」


 イゼベル先生とサラサ様がこっちに来た。


「行くよ。サラサさんとイゼベル先生はどう? 行ける?」

「勿論行きます。自分の予定はあまりありませんから」

「わたしも大丈夫だ」


「イゼベル先生も来るんですか? マルル先生も来ると思いますよ」

「大丈夫だろ。アイツ前では断ったからな。学園の行事ならいいが、それ以外では絶対に行きたくねぇな」

「「「「(完全に脈なしだ・・・・・・)」」」」


「ほら、サッサと予定を決めるぞ」


 オレたちは温泉に行くために、予定を決める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ