第83話 あの野郎ども
11月末。図書室の受付で。
「おおおおおおおい、ラザ! おおおおおお前、冒険者になるからと言って、いいいいいいい気になりやがって! おおおおおお前を見てるとムカつくんだよ!」
「そそそそそそそうだ! 大体お前みたいな奴が、ななななな何でエメリー様と親しいんだ!」
「ううううううう羨ましいんだよ!」
「はぁ。そう震えながら言われても、別に怖くも無いんですが。それにオレの顔を見るとムカつくのなら、見なければいいじゃないですか。それとエメリー様と親しいって話ですか? 羨ましいでしょ。オレより身分が高いのに、全く相手をされないとか。憐れですね」
「「「コイツ・・・!」」」
「許さねぇ。覚悟しやがれっ!!」
「図書室ではお静かに。ペール」
「クゥ!」
ペールは殴って来る生徒を、アイスブレスで凍らせる。10秒経ったら氷はすぐに溶ける。
「さ、寒い・・・!」
「で、まだやるんですか? 次は加減無しで戦いますが」
「「「ヒッ! す、すみませんでした!!」」」
3人の生徒たちは走って、図書室から出る。
「全く走って行くとか。ここが何処だが分かってるのか?」
「あ、司書さん」
「ちゃんと名前があるんだが。貴方もそろそろ卒業か。いい働き手が消えるな」
「そんな目で見てたんですか? 酷くないですか?」
「そうか? 貴方が来ない間は、誰もまともに仕事をしてくれなかったよ」
「実際仕事は少ないですし、地味ですからね。やる気なんて出ませんよ」
「否定は出来ないな。ラザ並みとは言わない。ただ真面目に仕事をやってくれる奴が、来てほしいんだ」
「来年来てくれるといいですね」
「あぁ。今日はもう帰っていいぞ。就活とか試験とかがあるんだろ」
「はい。ではお先に失礼します」
「お疲れさま」
オレはペールを抱きかかえて、立ち上がって受付から出て、図書室から出る。特に他の場所による所が無いので、寮に戻る。
ん? ・・・何だまたあの生徒3人か。今度は誰を虐めてるんだ?
オレは近づき。生徒3人が、一体誰を虐めてるかを見る。
エディスさん!? あの野郎ども。エディスさんまでも標的にしやがって・・・。よほど痛い目に遭いたいと見た。
オレはすぐにエディスさんの所に行く。
「庶民くせに、エメリー様と一緒にいるとか。お前頭可笑しいじゃねぇか?」
「庶民は庶民らしく、隅っこで細々生活してろよ」
「エメリー様には感謝しとけよ。学園生活で楽しく暮らせてるのは、エメリー様だという事にな」
「ア~ウン。ソウダネー」
「コイツ全然分かってねぇな・・・」
「どうする? ちょっと痛い目に遭わせるか?」
「それは止めとけって。傷が残ったらどうするだ?」
「別に素手で殴らなければいいだろ。何のために魔法が使えるんだよ」
「それもそっか。傷が残らない、水魔法か雷魔法で―――」
「そこのお兄さんたち。ちょっとおっさんと、向こうで話し合おうか?」
オレとペールは殺気を出しながら、生徒3人を見る。
「おおおおおおお前は、らららららららラザ・・・!」
「で、どうなんだ? まだ話したいことがあるなら、向こうで話そうぜ」
「「「すみませんでした!! それでは!!」」」
生徒3人は走って逃げていく。
「大丈夫ですか」
「うん大丈夫だよ。ありがとう。でもさぁー、おっさんは無いんじゃない?」
「そうですか? これでももう、いい歳にはなってきてますよ」
「何言ってるの? まだまだ若いでしょ」
「あぁ・・・。はい、そうですね」
今は18歳だろ。転生する前は確か17歳だったから、合計で35歳だな。おっさんだな。
「ねぇラザ。ちょっと腕組んでいい?」
「良いですよ。隙間が空いてるで、そこから腕を通してください」
エディスさんはオレの左腕を組む。
「このまま寮に戻ろうか」
オレたちは寮に戻る。
「エディスさん。前々から言いましたよね。ミスベルを傍に置いておくようにと」
「いや~、エメリーの傍にいれば安全かな~って」
「いない時はミスベルを傍に置いてください。今日みたいに、怖い目に遭いますよ」
「そうだね。今回はラザが近くにいて良かったよ」
「本当ですよ。何かあったら、エメリー様に怒られますよ」
「何か心配するところ違ってない? アタシを心配をしてないの?」
「勿論してますよ。してない方が可笑しいですよ」
「そうなんだ。思ったんだけどさぁ。こんな状態をエメリーに見られたら、完全に誤解されるよね」
「誤解されますね。そもそも腕を組んだ理由って、怖いから腕を組んだんですよね?」
「そうだよ。あたり前だけど。エメリーやサラサさんたち以外で、こんな事はしないけど」
オレも含まれてるんだ。
「エメリーに見られたら、ちゃんと誤解は解くからね」
「じゃあお願いしますね。目の前にいるので」
「え?」
「エディス。説明をお願いをしますね」
エディスさんは慌てながら、オレから離れて事情を説明をする。
「そう言う事ですか。エディス。ラザさんが言うように、ちゃんとミスベルを傍に置いてください。私もミラワールを傍に置いてますよ」
確かにミラワールを傍に置いてるな。っと言うか、何か成長してないか? 初めて召喚してから、かなり成長してないか?
「寮に戻りますよ。今日はもう何もないですよね?」
「うん。今日はもう何も用事は無いよ。ラザは? アタシが寮に戻ろかって言ったけど、実は他にやる事あった?」
「特に無いですよ。このまま寮に戻りましょうか」
オレたちは寮に戻る。途中まで来たら、男子寮と女子寮に別れる寮に入る。