第82話 恨まれてる
11月の休日。街から学園に移動中。
やべー・・・。ついにウチのクラスの雰囲気が、悪くなったな・・・。学期末の試験もそうだけど。今の時期は受験を受ける人が沢山いるから、生徒たちはピリピリしてる。オレは卒業してから、冒険者の試験を受ける事になっている。お陰で学期末の試験を集中出来る。そのせいかオレに対する視線が痛い。まぁ気配遮断を使っているから、あまり視線は痛くは無いけど。授業中はちょっと痛いかな・・・。まだ誰もオレに対して暴力は振るってこないけど、常に警戒をしないとな。ペールも常に傍に置いとかないとな。
「クゥー?」
「あぁ何でもないよ。今日は何を食べよっか」
ペールと話しながら学園に行く。
「――――――お! ラザじゃねぇーか!」
「あ、スティース先輩! それにサハル先輩とフェルリス先輩。お久しぶりです!」
「よっラザ。先輩はよしてくれよ。おれたちはもう卒業してるんだぜ」
「そうですよ。気軽に呼び捨てで呼んでください」
「あ、それは無理です。先輩ではなく、さん付けで呼びますね」
「変わってねぇーな。なぁこれからメシ食いに行くんだけどよぉ。ラザもどうだ? 今日は俺が奢るぜ」
「行かせてもらいます!」
「決まりだな。なら行こうぜ」
オレはスティースさんたちに付いて行く。飲食店に着くと中に入って、空いている席に座る。メニューを見て、注文するものが決まったら、店員さんを呼んで注文する。少し待ているとすぐに料理が来る。
「そう言えば。モヤシポニテから聞いたぜ。去年冒険科に1人入って来たんだろ」
「はい。クリス・アリー・リトリの妹、サラサ・アリー・リトリが入ってきました」
「どんな人が入って来たかまでは、聞いて無いけど。公爵家の妹・・・。何か凄い人が入って来たんだな・・・」
「ラザは何か失礼な事をしてませんか? ワザとサラサ様から避けたりとか」
「それはもうイゼベル先生に釘を刺されました。ところでスティースさん。ナタル先輩にあったんですか?」
「あぁあったぜ。色々冒険科の話を聞いたぜ」
「そうなんですか。何か変な事言ってませんでしたか?」
「確か。ラザが囮をやっていた、っと言う話は聞いたな。まぁあれは相手を捕まえるために、しょうがなくやったんだよな」
「ナタル先輩め・・・。そんな話をしたんですか・・・」
「あの時はかなり心配してたみたいですよ」
「終わった後で色々言われましたよ。危ない事をするのは自重しろって」
「そうだな。ラザはすぐにあぶねぇ事をするからな。卒業したら冒険者になるんだろ。おれたちが所属してるクランに来るか?」
「クランに所属してるんですか? 何処のクランですか?」
「果て無き夢ですよ」
「果て無き夢ですか。そこに加入したんですか」
「お、ラザも果て無き夢を知ってたか。俺たちが加入したのは去年だ。丁度その時にクランリーダーが変わったな」
「そうなんですか。そうなると、今の果て無き夢は持ち直しているんですか?」
「持ち直してますね。前のクランリーダーは追放されて、今のクランリーダーの指示で動いていますからね。因みに今のクランリーダーは。果て無き夢を創設した時の、初期メンバーの1人がやっています」
「初期メンバーの人がやっているんですか。ん? 果て無き夢は古いクランですよね」
「あぁ確かに古いけど。初期メンバーの内2人はエルフ何だよ。その2人は夫婦で、出産のために一時的にクランを脱退したな。それから10年以上たって、子供が成長したからその2人は戻って来たんだ。その内の1人が現在のクランリーダーだな」
「初めてしりました。果て無き夢が落ち目って言うの聞きましたが。持ち直してるのは、知りませんでしたね」
「ラザはあんまり話す奴がいねぇーからな」
「スティース。その言い方は酷いですよ」
「別に気にしてませんよ。事実ですし。ナタル先輩に会ったんですよね。つまりナタル先輩も?」
「そうですね。ナタル以外にもモリスとクリオもいますよ」
「モリス先輩とクリオ先輩もいるんですか? あの2人も合格したんですね」
「余裕で合格してたな。あぁそれと。オメー、フェリさんに何をしたんだ?」
「フェリさん? 誰ですかその人は?」
「言葉足りなかったな。ナタルの姉だよ。かなりオメーに対して対抗心が出てたぜ」
「・・・ん~。もしかしてイゼベル先生が、絡んでるかもしれませんね。一時的にイゼベル先生に教わっていたとか。冒険科の人は全員イゼベル先生に、教わっているはずなんですがね」
「ラザが一番、教わっていたからじゃないですか?」
「あぁそういうことですか・・・」
「それにしても、イゼベル先生が元果て無き夢いたとは。あれは驚きましたね」
「更に驚かせる事を言いますよ。実はイゼベル先生は教師を辞める事になってます。オレらの学年が卒業した後に、イゼベル先生は教師を辞めます」
「「「マジか!?」」」
ナタル先輩から話を聞いてなかったのか?
「つーことはよぉ。果て無き夢に戻って来るのか?」
「戻るって言ってましたね」
「マジか。元冒険科が集まって来るな・・・。ラザ。オメーも加入しろよ」
「オレもですか? イゼベル先生が戻って来るんですよ。もう事足りるのでは?」
「いやいやラザも欲しいよ。実力ちゃんとあるし、偵察も出来る。正直言って、偵察する人が少ないんだよ」
「そんなにいないんですか? 探すか鍛えたりすればいいじゃないですか」
「やってるがよぉ。中々いねぇんだわ。後は使える奴を鍛えてはいるが、中々上達しねぇんだわ」
「そうですか。でもオレは卒業したら、実家の方に戻りますよ。そこで冒険者ギルドで活動しますよ。ダンジョン経営の手伝も、しないといけませんし」
「・・・ラザって確か、ユールスト街の出身だっけ?」
「そうですよ。去年ダンジョンが出来て、色々大変でしたよ」
「ユールスト街にダンジョンが出来たって、話は聞いてましたが。ラザの故郷でしたか」
「なら気を付けておけよ。オメーとオメーの家族は、かなり恨まれてるからな。王都や他の街とかにある冒険者ギルドは、特に恨んではねぇけどよ。ユールスト街だけはちげぇーな」
「親にも言われましたよ」
「それにしてもユールスト街のダンジョンか・・・。まだ派遣されてないんだっけ?」
「話題にはなってましたが、派遣をするかは決まってませんね」
「人が足りねぇからな。今やってる事でいっぱいいっぱいだからな」
「やっぱり人が足りないか。やっぱりラザも加入してくれよ。ラザも加入してくれれば、ユールスト街のダンジョンに潜れる気がするぜ」
「当分諦めてください。オレも色々他にやる事があるので。それに他の街に行けるか、ちょっとまだ分からないんですよ」
「まぁ決めるのはラザだから、これ以上は言わねぇけどよ。もし他のクランに入ったら、許さねぇぞ」
「入りませんよ。後そんなに殺気を出すと、ペールが勘違いをします」
「フゥー!」
「ワリィワリィ」
話ならがご飯を食べる。食べ終わったら会計を済ませて、スティースさんたちと別れて学園に戻る。