表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/177

第80話 羨ましいお話

 次の日。午前中の授業で、第3アリーナでマルル先生と模擬戦をする。


 流石元騎士。隙が無い。押し負けてることは無いけど、ずっとこのまま続きそう。よし、一気に後ろに回るか。


 オレはマルル先生の攻撃を避けて、すぐにマルル先生の後ろに回り込む。ただ回り込んでも、木剣で攻撃されるので、もう一度前に行く。そしてまた後ろに行く


「前!? 違う後ろっ!!」


 オレは木剣でマルル先生の首元に、近づけて寸止めをする。


「参りました。ぼくの負けです」


 木剣を下ろし、マルル先生から離れる。


「足の速さを活かされると、こっちは手も足も出ませんね」

「模擬戦でやるとすぐに終わってしまうのが、難点ですが。休憩をしませんか?」

「そうしましょう。他の生徒たちの邪魔にならないように、端の方に行きましょう」


 オレとマルル先生は、アリーナの端に移動する。


「今年もあと半年ですね。ラザは準備の方は大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですよ。卒業試験も冒険者の試験対策をしてますよ。一番心配なのは、卒業試合ですよ。一体どんな冒険者が来るか分からないので、どう対策をすればいいか分からないんですよ」

「それはラザだけでは無いですよ。騎士科と魔法科も同じ状態ですよ」


「それもそうですね。所で気になっていたんですが。何でオレだけ呼び捨て何ですか?」

「おや、そんな事を気にしていましたか。ただ親しい人には、呼び捨てにしているだけですよ」

「いつの間に・・・。その割には。イゼベル先生の事は、呼び捨てで言わないですよね」


「好きな人の名前を呼び捨てで呼ぶのは、かなり勇気がいるんですよ」

「そうですか・・・」


 何か乙女みたいな事を言ってる。


「あぁそう言えば。前にエメリー様たちと一緒に、イゼベル先生の家に遊びに行ったんですよ」

「何ですかその羨ましいお話は。ぼくは聞いてませんよ」

「今さっき初めて言いましたからね。楽しかったですよ。特に大きな事件も起きませんでしたし」


「何故ぼくを呼ばなかったんですか? ぼくを呼ぶべきでしたよね?」

「そう言われても。イゼベル先生は、元々オレを含めて4人呼ぶつもりだと、思いましたよ。そこでマルル先生を呼んだら、オレはイゼベル先生に殺されますよ」

「・・・呼ばれたのは生徒だけですか」


「そうですよ。それとマルル先生の事を聞いてみましたよ」

「! 何て言ってましたか!」

「アイツを呼ぶ必要あるのか?」って言ってましたよ」


 オレがそう言うと。まるで石化魔法で石化されたように、固まっている。


「・・・大丈夫ですか?」

「――――――はい。だいじょうぶです」


 あ、駄目だな。かなり心にダメージが入ったな。


「あぁでも、イゼベル先生の手料理は食べてませんよ。それに空き部屋に入りましたが、イゼベル先生の部屋には入ってません!」

「・・・そうですか」


 これで少しは立ち直ったか?


「それ以外に何か見てませんか? 例えば風呂を覗いたりとか」

「そんな事はしてませんよ。それこそ殺されますよ」

「それもそうですね」


 泊まった次の日に、イゼベル先生の下着姿を見てしまった。何て事は、口が裂けても言えないな・・・。


「マルル先生とラザはそこで何してるの?」

「休憩ですよ。お2人も休憩ですか?」

「はい」


「それでしたら丁度良いですね。イゼベル先生の家に泊まった時の話を、聞かせてください」

「んん~。何かあったっけ? 普通にただ楽しいお泊り会だったし」

「他に言う事もありませね。多分ラザさんが全部言ってる気がします」


「そうですか? ラザは全部言いました?」

「言いましたよ。他を言っても特に何も無いですよ。あるとしても、家に着く前に買い物をした程度ですし」

「後は恋バナくらいかな」


「恋バナ・・・」

「あ、恋バナの内容は話さないよ。これを話すと、死にたくなるから」

「エディスは途中で酔って、とんでもないことを暴露しましたからね」


「オレが風呂に入ってる時に、そんな話をしてたんですか。恋バナで一体何を、暴露したかは知りませんが。お酒はほどほどに。じゃないと取り返しのつかない事になりますよ」


「うん。気を付けるよ」

「そろそろ午前中の授業が終わりますね。一度集まりましょうか」


 マルル先生は集合するように言う。集合したら、午前中の授業が終わり。更衣室で着替えて、オレは図書室に行く。


 6日後。教室にイゼベル先生たちが入ってくる。バルナさんたちは、心配させたことの謝罪をする。無事に帰って来た事だし、特に怒る事は無かった。そして午後の授業。別校舎の教室にて。


「なぁラザ。サラサのやつ、怒ってねぇか?」

「怒ってますね。多分ですか。事件の解決が早く終わったら、早く無事と言う事を報告してほしかった。とか思ってるのでは?」

「ラザ先輩は読心術でも持っているのですか?」


「持ってませんよ。ただ分かりやすかっただけですよ」

「自分はそんなに分かりやすい、表情をしてましたか?」

「してましたよ。それでイゼベル先生。サラサ様に言う事は無いですか?」


「報告をしなくて悪かった・・・」

「次はちゃんと早く言ってください」

「はい・・・」


 ・・・何だこの雰囲気。立場が逆転してるぞ。


「んんっ。少し予定がズレたが。今日の授業を始めるぞ」

「予定ってありましたっけ?」

「さぁ?」


「オメェーら、叩き潰されたいのか?」

「「すみませんでした」」


 今日から午後の授業が再開する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ