第78話 いちゃもん
ロザリー様たちと合流して、家に帰る。家に帰ってきてから色々あったが、何とかなった。親父はかなり怒っていたが・・・。まぁ他家の貴族が、無許可でダンジョンに潜ったんだ。怒られて当然だな。
次の日。目が覚めてオレは上半身を起こす。ペールの頭を撫でて、上半身を動かしてベッドから出る。私服に着替えて、ペールを起こしてリビングに向かう。
「おはようございます、ラザ様」
「おはようございます、アレックさん。昨日はお疲れ様でした」
「ありがとうございます。昨日はトーマスおじさんも、弱音を吐いていましたよ」
「あのトーマスさんが? 弱音を吐くところ何て、想像出来ませんね・・・」
「中々ラザ様達の前では、弱音を吐きませんね。僕の前ではよく弱音を吐きますが」
「孫の前では弱音は吐いてしまうんですかね」
「そうかもしれません。では本題に入らせてもらいます。昨日他家の貴族ですが、彼の名は。フイス・オーブリー・バードン。バードン伯爵家の次男にあたる人です」
「バードン家。聞いた事が無い貴族ですね。最も貴族に関しては、ほぼ興味無いので調べてませんが」
「フイス様からの言い分はこうです。「お前のせいで騎士団の武具が駄目になった! 弁償しろ!」とのことです」
「はぁ? 無許可でダンジョンに潜った挙句に、武具の弁償をしろだと? なに言ってるんだ、その馬鹿は?」
「解りません。旦那様は当然拒否をして、治療費や宿泊費や武具などの請求をしました」
「当然ですね。そのフイス様から取れないなら、手紙と一緒に請求書を、バードン家に送り付けましょう」
「既に奥様が手配済みです」
「流石お母さん。フイス様から取れないと分かったか・・・。第11騎士団とバードン家の騎士たちの容態はどうですか?」
「重傷者を集中して治療にあたったので、大きな後遺症は残らないかと。ただ失った腕や足を治すには、王都で治すしか無いですね」
「生きていただけでも、良しとしましょう。軽傷者はどうですか?」
「軽傷者は病院で診てもらい、すぐに退院した人もいれば。何日か病院で入院することになっています」
「病院は騎士でいっぱいになったところは、ありますか?」
「特にそう言った報告は無かったですね。重傷者を病院に送っていたら病院は騎士たちで、いっぱいになっていたかもしれませんね」
「医者を雇って正解でしたね。雇ってなかったら、今頃どうなっているのやら・・・」
「考えたくないですね・・・」
アレックさんと話しながらリビングに行く。リビングに着いたら、椅子に座って朝ご飯を食べる。食べ終わったら、トーマスさんに中庭に連れて行かれる。
「何で中庭に連れて来られたんですか?」
「エメリー様から、ここにラザ坊ちゃまを連れてくるようにと。頼まれましたので。では私はこれで」
トーマスさんは中庭から出る。オレはテラスの方に移動する。
「お待ちしていました。どうぞ座ってください」
エメリー様にそう言われて、オレは椅子に座る。ペールはオレの膝の上に座る。
「・・・これって女子会ですよね? 男性のオレがここにいて、いいんですか?」
「昨日の疲れを癒すためだよ。一番癒されるのはロザリーさんだけど」
「そうか? 私よりラザの方だと思うが。私は休みを貰えてるからな」
「珍しい、って訳じゃ無いですね。どうですか。ここの暮らしは慣れましたか?」
「少しづつな。カルバーン家の騎士たちと仲良くやっている。意外と王族とか貴族の壁が無く、接してくれるから助かる」
「ウチの騎士団は仕事以外は、貴族の位や階級何て気にしてませんからね。休日になるとかなり仲がいいですよ。そうじゃ無くても仲がいいですね」
「女性の騎士たちもかなり馴染めていたな。ここは良い環境じゃないか?」
「騎士の人からそう言われてますね。お陰でウチの騎士団に入団したい人が多いとか」
「多いのか。全員は・・・。雇えないか」
「王都から来た騎士団とは違って、ウチの騎士が泊る宿舎がもう満員なんですよ。今は増やすかどうかの話をしてますね」
「何か大変だね」
「大変ですよ。主に親父がですが。昨日はすみませんでした。まさかあんな事になるとは、思いませんでした」
「平気ですよ。ダンジョン行く時は、何かしら事件が起きるかもしれないので。色々と想定をしてました」
「アタシ全然してなかった。してても、冒険者のいざこざだけしか。考えてないよ」
「もう少し考えた方がいいかと・・・」
「そうかな~。それはそうと。昨日はラザが指示を出していたよね。よく冷静に指示を出せたね」
「オレもそう思ってますよ。何で冷静に指示を出せたんでしょうか?」
「私たちに言われも困る。それよりも。家に帰った後は大丈夫だったのか? 色々いちゃもんをつけられたと聞くが」
「確かに色々いちゃもんはつけられましたよ。でも、親父が全部言い返したので。向こうは黙りました」
「そうか。何かあったら私に言え。黙らせてやる」
「私も追加すれば、更に黙ると思いますよ」
「では自分も」
「わぁー。完全に権力で潰しに来てるー」
「貴族を黙らせるのには、権力の方が一番いいからな。特に頭の悪い奴はな」
「姉さん。怖い顔をしてますよ」
「ん。そうか」
雑談をしながら、昨日の疲れを癒す。これは癒されるのか?