第73話 毒で
色々依頼書をクレランさんとシアさんに見せたが、ほとんどが却下された。最終的に受ける依頼は、ウッドゴーレム討伐に決まった。依頼を受けてギルドから出て、東の森に行く。
「「・・・・・・」」
「何かごめん・・・。おれたちの実力が低くて・・・」
「ごめんなさい」
「・・・一緒に戦えば、キマイラも余裕で討伐出来ると思いましたが」
「き、キマイラはちょっと・・・。おれたちも死にたくないし」
「もうオレたちは贅沢は言いませんよ。それにしても、王国って森に囲まれてますよね。よくこんな場所を選びましたね」
「最初はこんな森じゃなかったようだが。確か「木がねぇな」って事で、植えていったらこうなったらしいが」
「そんな理由でこの辺を森に変えたんですか・・・」
「お陰で魔物は出てくるわ、盗賊も出てくるわ。あぶねぇものが出てくるようになったが、冒険者たちにとっては良い稼ぎ口になるな」
「何とも言えないですね。今回のウッドゴーレムですが。この付近出てくる魔物でしょうか?」
「本来はこの辺じゃあ出ないよ。ウッドゴーレムはもうちょっと、奥に行かないと出てこないな」
「多分。何も考えずにここまで来た」
「それは無いかと思いますが・・・。日が当たらなくて、光合成が出来なくなったから。こっちまで来たんじゃないですか?」
「そうかもな。こっちは日が当たる所が多いからな。それでこっちに来てるかもな」
「ただ光合成をするために、向かってくるのですよね? それだけで討伐するのはちょっと・・・」
「でも、あちこち森を壊しながらこっちに来る。東の森に行っていた冒険者たちが、それを目撃していた」
「環境破壊をしながらこっちに来てるんですね。それは迷惑な話ですね」
「あぁ。だから討伐しないといけないんだ」
「討伐するのは解りました。ただ、この森の中でどう探すのですか?」
一旦歩くのを止めて、オレたちは周りを見る。周りは木、草、地面しかなく。後は道くらいだろう。この中でウッドゴーレムの手がかりを探すのは、難しいだろう。
「どうしよっか。今は目に見える範囲で、探しているから。見つけるのに苦労するんだよな・・・」
「しかもウッドゴーレムは、何かを食べる事が無いから。排泄物も無い。手がかりが無く、困難」
「あるとしても、木を倒す音を聞くしかねぇな。遠かったら聞こえねぇな・・・」
ん~。何か魔法で聴覚を、よく聞こえるように出来ないか? 身体強化で出来るかな。
オレは身体強化で、耳を強化する。耳をすませて、周りの音を聞く。
「・・・・・・駄目ですね。木が倒れる音が聞こえません」
「なら遠い場所にいるんだろうな。先に進もう」
オレたちは歩き出し、ウッドゴーレムを探しに行く。歩いていると、遠くから木を折る音が聞こえた。オレは木が折れる音が聞こえた方に、何かがいると言って。そっちの方に移動する。音がした方に移動すると、ウッドゴーレムを見つける。
「なるほど。あれだけデカいと、移動しながら行くと。木が折られるな」
「おいおいマジかよ・・・。どうやって討伐すればいいんだ? これは予想して無かったな」
「どうしましょうか。ラザ先輩は殺せますか?」
「・・・コアはすぐに見つけましたよ。ただどう見ても、木に覆われていて。殺すのに時間がかかりそうですね。あのウッドゴーレムの全身を、凍らせてから壊せばすぐに終わるかもしれませんが」
「ならその手でやればいいじゃないか」
「やってもいいんですが、この辺の木が凍る可能性があるんですよ。それをやる訳にはいけませんよ」
「メンドクセェ・・・。他の方法は?」
「普通に攻撃をするしか無いですね。周りの木を傷つけないように」
「それとも毒で殺しますか? 時間はかかりますけど」
「時間がかかるのはちょっと・・・。やっぱり普通に攻撃しますよ」
「解りました。ラザ先輩、ウッドゴーレムの足は自分が凍らせます。その隙に攻撃をしてください」
「了解」
オレはサラサ様たちから離れて、ウッドゴーレムの胸の中心が見える所に行く。空間から大きなハンマーを出して、強化魔法と付与魔法でハンマーを強化して構える。オレが構えたのを見たのだろうか、ウッドゴーレムの両足が凍り付く。オレはすぐに走り出し、風魔法で身体を風で纏って飛ぶ。飛んだらウッドゴーレムの胸の中心にある、コアまで空中移動してハンマーで殴る。ウッドゴーレムの胸は壊れて、コアも一緒に壊れる。
「――――――あれ? 手応えがあり過ぎる」
ウッドゴーレムのコアは壊れて、その場で崩れる。オレは地面に着地する。オレが着地すると、サラサ様たちが来る。
「・・・・・・こんな早く倒せましたっけ?」
「光合成が出来なかったから、コアを覆っていた木が脆かったんじゃねぇか?」
「そんな事あるんですね」
「いや普通は無いよ。ただラザの攻撃に耐えられなかっただけだろ」
「ラザはちょっと強すぎる。それにサラサの魔法の魔法も強い」
「今の学生ってこんなに強いのか?」
「イゼベル先生が担当してる所は強いですよ。まぁそれより、コアを回収してギルドに戻りましょう」
ハンマーを空間の中にしまう。オレは壊れたコアを拾って、空間の中にしまう。残った木は地面に埋める。埋め終わったら、ギルドに戻る。