第70話 エール
イゼベル先生がフィルターを、綺麗にしている間は。オレたちは少しリビングを見る。見ると言っても。さっきの魔道具みたいのが無いから、特にこれと言って見るものは無いが。暇を潰すことは出来た。フィルターが綺麗になったら、少し休憩をしてから。晩ご飯を作る。エメリー様たちは主菜と副菜を作り、オレは汁物を作る。オレが作るのはコンソメスープだ。なお、イゼベル先生は風呂を洗いに行っている。
時間が経つと料理が出来る。イゼベル先生は出来た料理を運ぶ。オレたちは椅子に座りご飯を食べ始める。
「「「「「いただきます」」」」」
「・・・あれ? 何でイゼベル先生とサラサさんも、一緒に言うの?」
「何故って。ラザがいつも言ってるからな」
「自分もです。ラザ先輩がいつもやっているので、それにつられて自分も言うようになりました」
「ほぼ同じ理由なんだ。ねぇラザ。何でいつも『いただきます』って言うの?」
「何で、って言われましても。これはもう癖なので、いつも言っているだけですよ」
「そうなんですか。思ったのですが。この『いただきます』には意味があるんですか?」
「確か食材に感謝をする。だった気がしますよ」
「へぇ~ちゃんと意味あったんだ。でもほとんどの人が、それをやらないよね」
「見た事無いな。やるのは極一部の人だけだろうな」
それってオレたちのことですかね。
「話をするより、ご飯を食べましょうよ。折角作ったご飯が冷めますよ」
オレがそう言うと、皆ご飯を食べ始める。オレもご飯を食べる。
「―――ん。このスープ美味しい。確かスープってラザが作ったよね?」
「オレですね。そのスープはコンソメスープですよ」
「コンソメスープねぇ・・・。売れるかも」
「はい? これ売るんですか?」
「正確にはレシピだね。このコンソメスープのレシピを売れば、きっと繁盛するよ! 多分!」
「多分って・・・。流石にコンソメスープは誰でも作ってると、思いますよ」
「そうかな。だってこのコンソメって、あの店では売れてなさそうだったし。アタシの商会にもコンソメあるけど、全然売れて無いよ」
「嘘だろ? こんなに美味しいのに使わないとか、損してないか? 勿体ないな」
「・・・ラザさんって。驚いたりすると、そうやって素が出ますね」
「エメリー様。今すぐ忘れてください」
「無理ですね」
「そんな笑顔で言わなくても・・・」
「とにかくラザ。このコンソメスープのレシピ教えて!」
「後にしてください。今は紙に書く事は出来ませんよ」
「それもそっか。今はご飯を食べないとね」
ご飯を食べるのを再開をする。時間が経って、食べ終わる。食器を台所に持って行き、食器を洗う。洗い終われば、各自で勝手に風呂に入るに行く。オレはソファに座る。
風呂は最後にして、オレはどうしよっかな。待っていても暇だな。
「暇そうなら、つまみでも作ってくれ」
「本気でおつまみを作らせる気でいたんですか?」
「言っただろ。おつまみを作らせる気で呼んだんだ」
「でもそれって半分ですよね? 残り半分は何ですか?」
「残り半分を知りたいのか?」
「はい。知りたいですね」
イゼベル先生は少し考えるか、すぐにこっちを見る。
「――――――教える訳ねぇだろ」
「えぇ・・・・・・」
「分かったら、早くつまみを作れ」
本当に何て人だ。次は家に誘われても、絶対に行かない。
オレは立ち上がり、台所に行く。
「調理器具を借りますよ」
「好きに使っていいぞ」
コンロの上に鍋を置く。このコンロ。魔道具で出来ていて、魔力を流すと火が付く。
鍋を置いたのいいけど、つまみ何て作った事は無いな。大体料理何て、前世で家庭の授業で習った程度だし。後は親の手伝いだけだし。一体何を作ればいいんだ?
少し考えると、ポテトチップスと唐揚げが出てくる。唐揚げは他の材料が必要になるので、今回はポテトチップスにする。先に鍋に油を入れる。鍋に油を入れ終わったら、火をつけて温める。空間からジャガイモを5個出して水で一度洗う。洗ったら風魔法を使って、ジャガイモを乾燥させる。乾燥したジャガイモを薄く切って、ボウルの中に入れていく。油が温まったら、鍋に薄く切ったジャガイモを入れていく。待ってる間はトレーを出す。薄く切ったジャガイモが揚がってきたら、一度トレーの所に置いて油を落す。オレは食器棚から皿を取り出して、トレーに置いてあるポテトチップスを皿に盛り付けていく。量が多くなったが、気にせず塩を振っていく。出来たら、皿を持ってテーブルの所に行く。
「出来ましたよ」
オレは皿をテーブルの上に置く。イゼベル先生はこっちに来る。
「・・・何だそれは?」
「ポテトチップスですよ」
「ポテト・・・チップス? よく分からんが酒に合うのか?」
「さぁ? オレはお酒を飲んだ事無いので、分かりませんよ」
「何だ、飲んだことは無いのか。なら飲んでみろ」
「嫌ですよ。酒は20になってからですよ」
「15から飲めるだろ。お前まさか。酒を飲まされそうになったら、いつもそう言って言い訳をするのか?」
「そうですよ。これだけは絶対に破る気は無いですよ」
「変わってる奴だな。これはそのまま手で掴んで、食べていいのか?」
「はい」
イゼベル先生は1枚掴んで食べる。
「―――塩が効いていてうめぇな。これなら合うか」
イゼベル先生は空間からジョッキを出して、テーブルの上に置く。次は樽を出してテーブルの上に置く。
「テーブルが壊れませんかね?」
「大丈夫だ。このテーブルは丈夫に出来ている。そう簡単には壊れねぇよ」
ジョッキを持って、樽の下の方に付いている蛇口の栓を捻る。樽からジョッキに飲み物を入れる。
「それってエールですか?」
「エールだな。それ以外何がある?」
やっぱりビールは無いんだ。確かエールとビールは作り方が違う気がしたな。どう作るかは知らないけど。
イゼベル先生はエールを飲みながら、ポテトチップスを食べる。オレは鍋などを片付ける。片付けていると、エメリー様たちが来る。
3人戻ってきてるけど。もしかして3人で入ったのか? よく風呂に入れたな。
「今上がりました」
「ん。ラザ。先に行ってこい。わたしは最後に入る」
「分かりました」
オレは片付けてが終わったら、風呂に入りに行く。