第69話 電子レンジ
買い物が終わり店から出る。店から出たら、イゼベル先生の家に向かう。
「イゼベル先生って、実家暮らし?」
「いや、自分で買った家だ」
「自分で買った家か~。・・・自分で買った家!?」
「家って1人で買えましたっけ? オレの記憶が正しければ、一番安くて、金貨500枚くらいはした気がしますが?」
「まぁそれくらいはするだろうな。わたしが買った時の値段は、確か金貨2300枚だったか?」
「「「高っ!?」」」
「大きな家を買ったからな。今思うと、何であんな大きな家を買ったんだ? 何か言いくるめられて、買ったのか? それとも衝動買いか?」
「後悔するほど大きな家を買ったんですか? もしかして屋敷とか言わないですよね?」
「屋敷よりかは小さい。1人暮らしで屋敷何てものは、必要ないだろ」
「確かに必要無いですね」
「もう買ってしまったし、ぐちぐち言うのは止めよう」
「そうですね。ところでイゼベル先生は、教師寮に泊ってるのですか?」
「教師寮ではなく、家から通ってるが」
「寮があるのに、家から通ってるんだ。やっぱり家の方が落ち着くの?」
「そうだな。家の方が落ち着くな。寮とは違って、好き勝手に出来るからな。寮にいると、間違えて物壊した時に弁償しないといけねぇ。だが自分の家なら怒られねぇし、弁償しなくてもいい。それに楽な格好でいられるからな。寮生活になると、楽な格好は出来ねぇからな」
「そうですか? オレは楽な服装でいますが」
「わたしが言っている楽な格好は、下着しか着てない状態だぞ」
それを聞いて、イゼベル先生以外顔を赤くする。
「イ、イゼベル先生。そう言うのは、外で言わないでください!」
「あ? 別に聞こえてねぇから大丈夫だろ」
「だとしてもですよ! 女性がそんな事を言うのは、いけないと思います!」
「エメリー様に同意見です。流石に言うのはどうかと思いますよ」
「あぁ~分かった分かった。オメェーらに説教なんてされたくねぇよ」
説教されるような事を言うから、説教されてるのだが。
「あ、思ったのですが。何でマルル先生を呼ばなかったんですか?」
「マルル? アイツを呼ぶ必要あるのか?」
「え。な、無いですね・・・」
もしかしてイゼベル先生は、マルル先生の事は仕事仲間しか見てないのか? マルル先生、これはかなり厳しいですよ。
「ラザ先輩ラザ先輩。ちょっといいですか?」
「別にいいですけど。何か?」
「ちょっと歩く速度を落としてください」
サラサ様に言われるがままに、オレは歩く速度を落とす。
「それで何ですか?」
「マルル先生の事ですよ。マルル先生はもしかして、イゼベル先生の事が好きなのですか?」
「少ない情報でよく分かりましたね・・・。確かにマルル先生は、イゼベル先生の事が好きですよ。一時的にオレが恋敵と思われるほどに」
「なるほど・・・。あ、気付いた理由は合宿の時ですよ。先輩とマルル先生と話してる時に、少し立ち聞きしていたのです。もう少し情報はないのですか?」
「あまり関心出来ないですよ。情報でしたよね。好きって以外は無いですよ。告白する予定も聞いてませんし、イゼベル先生とデートに行ったっていう話も無いですし」
「そう・・・ですか・・・」
サラサ様は少し落ち込む。
「・・・もしかして、面白がってませんか?」
「面白がってますよ。あのイゼベル先生に、恋をしている人がいるのですよ。それを聞いて面白がったり、楽しむしかないじゃないですか!」
「・・・何かクリス様とは違う、楽しみ方ですね。似てるような似てないような・・・」
「似てません。姉上とは全く似てません」
「それクリス様に聞かれていたら、悲しむと思いますよ」
「寧ろ悲しんでほしいです」
実の妹にここまで言われるとは・・・。本当に一体何をしたんだ?
「話はこれで終わりですか? 終わりなら、早く先生たちの方に行きましょう」
「はい」
オレとサラサ様はイゼベル先生たち方に行く。数分後、イゼベル先生の家に着く。
「・・・2階建ての家ですか。これで金貨2300枚は高すぎですよ」
「この家は風呂があって、何個か魔道具があるから高くなっているんだよ」
「そんなに高いもんですか? 因みにローンはいくら残ってるんですか?」
「ローンなど無い。わたしは一括で買ったからな」
金貨2300枚を一括で!? カッコイイ・・・。
イゼベル先生は敷地に入りドアを開けてる。オレたちも付いて行って、イゼベル先生の家に入る。
「「「「お邪魔します」」」」
「玄関は少し広いね。あと1人入れそうだね」
「あぁそうだな。靴は脱いでくれよ。この家は土足禁止だからな」
この家って日本式なんだ。それにしても玄関だけでこの広さ。きっとリビングも広いんだろうな・・・。
靴を脱いでリビングの方に行く。リビングに入ったら、オレはある物に目が入る。
「電子レンジ!? 電子レンジがある!!」
「知ってるのか? わたしはあまり使ったことが無いから、どんなものかは知らん」
「凍っている食べ物を解凍したり、食べ物を温めたりするものですよ。あるなんて知らなかった」
「ん~、アタシの商会では扱ってないかな。アタシも今初めて知ったしね」
「私も初めて知りました」
「自分もです」
「まだ他に魔道具はあるんですか?」
「あぁあるぞ。ちょっと待ってろ」
イゼベル先生はどかに行く。待っていると戻って来る。
「この魔道具だな。これは掃除が楽になったな」
「掃除機!? 掃除機もあるんですか!」
「何だこれも知ってるのか。だが最近吸い込みが悪くて困ってるんだ」
「吸い込みが悪いんですか? フィルターに何か詰まってるんじゃないですか? フィルターにゴミなどが詰まってると、吸引力が落ちるんですよ」
「フィルター? 何処にあるんだそれ?」
「何処かボタンはありませんか? そこを押すと少し取り外しが出来ると思いますが」
イゼベル先生は掃除機に付いている、全てのボタンを押す。すると最後に押したボタンで、掃除機の一部が取り出せた。オレはフィルターをすぐに見つけて、それを取り出す。
「わ、汚い!」
「確かに汚いですね。これを掃除すれば改善されると思いますよ」
「このフィルターも掃除しねぇといけねぇのか。メンドクセェー・・・」
オレはフィルターをイゼベル先生に渡す。イゼベル先生は台所に行ってフィルターを綺麗にする。