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第60話 雰囲気が

 文化祭が終わって1月の上旬。放課後の図書室にて。


 ・・・・・・魔物の群れが王都に襲って来ない!? どうなっているんだ!? もう1月だぞ、そろそろ魔物が王都に襲ってくる時期だろ。本当は12月の終わりくらいだけど。このまま何も無ければいいけど。実は襲ってくる時期がズレたのか? それとも何かしらストーリーイベントで、フラグを回収してないから何も起きないのか? あるいはストーリーイベントから、逸脱する事をしていたから、全てが狂ったから何も起きなかった。・・・全く分からないな。でもこのまま何も起きなければ、それでいいんだよな。


「―――ラザ? そんな所で何してるの?」

「エディスさん。ただちょっと考え事ですよ。エディスさんは1人で何してるんですか?」

「アタシはちょっと調べ物だよ。隣いい?」


「いいですよ」


 エディスさんはテーブルの上に、本やノートを置いてオレの隣に座る。エディスさんは本を開いて、本に書いてある内容をノートに書き写す。


「・・・調合の調べ物ですか」

「そうだよ。アタシは卒業したら親が経営してる店に、そのまま就職することになってるんだ~。でもアタシは接客とかお金のやりとりより、調合の方がいいんだよね~。親には反対されたけど」

「何でですか? 調合の方がいいのであれば、調合をやればいいのでは?」


「そうなんだけど。親はそれよりも、客の前に出て接客してほしんだよ。人出不足だから」

「あぁそうなんですか。それでも調合の方がいいんですよね?」

「そうだよ。アタシが調合をすれば、少しは出費は防げるでしょ。それを親に言っても意味なかったけど・・・」


「アハハハ・・・。親はエディスさんの事を思って、言ってると思いますよ。エディスさんは調合の出来はどうなんですか?」

「良い方だよ。しかも3学年中5位に入るくらいにね」

「意外ですね。座学の方はちょっと危ないと言うか、数学が一番危なっていつも言っていたのに・・・」


「何か馬鹿にしてない!?」

「別に馬鹿にはしてませんよ。でも調合も数を間違えると、失敗しますよね」

「それはちゃんと憶えるから、大丈夫だよ。それに数を間違えても、失敗するとは限らないよ」


「まぁそうなんですが・・・」

「アタシより、ラザは大丈夫なの? いくら冒険者になるからと言って、試験に失敗するんじゃない?」

「イゼベル先生に鍛えてもらってるんですよ、試験に落ちることはほぼ無いですよ。もし試験に落ちる事があったら、イゼベル先生に殺されますよ」


「あぁうんそうだね。そう言えばさぁ、聞きたかったんだけど。何で冒険者にしたの? ラザの気配遮断があれば、他の道も選べたよね?」

「確かに選べましたよ。でも冒険者の方が自由でいいじゃないですか。そりゃあ安定した収入はありませんが、その分依頼を達成すれば丸々報酬が貰えるんですよ。どっかに就職して給料を貰った時に、色々引かれますよね」

「色々引かれるね」


「だから冒険者になるんですよ。依頼を達成していれば、お金が尽きることは無いですよ」

「でも危険な事ばかりじゃん。腕や足が無くなった時はどうするの?」

「その時は・・・・・・。その時になった時に考えますね」


「あっそう。まぁラザがそう決めたら、こっちは何も言えないよね」

「逆に何かしら引き止めようとすると、仲が悪くなる気がしますね」

「それは嫌だね」


「誰だって嫌ですよ。ではオレは寮に戻りますよ」

「ん、じゃあね」

「はい、さようなら」


 オレは椅子から立ち上がり図書室から出て寮に戻る。


 次の日。午後の冒険科の教室にて。先輩たちがぐったりしてる。


「どうしたんですか? 皆さんぐったりして」

「―――聞いてよ2人とも! 他の生徒たちが、あたしたちに暴力を振って来たり、罵声を言ってくるのよ!」

「暴力と罵声ですか。自分のクラスも雰囲気が悪いですが、クリオ先輩方はそこまで雰囲気が悪いのですか? 報復しに行きましょうか?」


 オレとサラサ様は、空間から木剣を出す。


「それは大丈夫よ。仕返しはやったしね。それでも雰囲気は最悪ね。この試験の結果で就職とかに影響が出るから、皆必死で勉強してるのよ。去年の先輩たちも言ってたけど、あたしら冒険者になるから、試験結果が悪くても実力と少しの知識あれば合格出来るからね。主に実力の方を見るから、楽と言えば楽なのよね」

「それに冒険者になった後で、図書館に行けば学ぶことも出来るからね。ただ、冒険者の実技試験が落ちそうで怖いよ・・・」

「なーにそんな事で悩んでいるのよ! 強くなってるから、合格できるに決まってるでしょ!」


「・・・やっぱりモリス先輩とクリオ先輩は、仲がいいですね」

「幼馴染って言うだけの事はありますね。出来ればこのままくっ付いてほしいですね」

「ちょ、2人とも聞こえてるよ!」


「聞こえるように言ってましたので」

「ラザ先輩の言う通りです」

「な、何て人たちなの・・・」


「―――ご、ごきげんよう」


 ナタル先輩が教室に入って来る。だが顔色が悪い。


「どうしたんですか? 何か暴力を振るわられましたか? それとも罵声ですか? 仮にそうなら報復しに行きますが」

「それには心配はありませんわ。きっちりわたくしが仕返しをしておきました。それよりも卒業試合ですわ。今年の卒業試合にお姉様がいらっしゃいますわ」

「ナタル先輩のお姉さんですか。それが嫌なのですか?」


「今回はお姉様は保護者ではなく、選手としてこちらにいらっしゃいますわ・・・」

「選手としてくるのですか。いつも通りに倒せばいいのでは?」

「お姉様とわたくしでは合わないの。わたくしは魔法を主に使います、お姉様は剣術と言った物理系を主に使います」


「そうかな? 魔法ですぐに攻撃をすれば、相手は近づけないと思うけど」

「それは難しいわね。相手がすばしっこく動き回れば、魔法何て当たらないわ」

「お姉様は正にそれですわ。こっちが魔法で攻撃をしようとすると、お姉様はすぐに移動して気付けば懐に入られ、そのまま攻撃を食らって負けますわ」


「それだと確かに相性が悪いですね。でもまだ時間はあるので、誰かにお願いをして練習をすればいいのでは?」

「練習・・・。ラザさん、練習相手になってください」

「あぁオレがやるんですか・・・」


「ラザくんしか出来ないからね。イゼベル先生はちょっと・・・」

「えぇ。イゼベル教師はあまり加減を知りませんから・・・」

「―――オメェーら席に着け」


 イゼベル先生が教室に入って来る。オレたちは席に座り授業を受ける。

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