表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/177

第53話 噂

 8月20日。夏休みの中盤だろうか。夏休みと言えば合宿だが、去年あんなことがあったのに合宿はやった。っと言うのも、生徒たちが合宿をしたいという意見が多かった。これを聞いた学園長は条件つきで、合宿をする事になった。本来は強制参加のところを自主性になり、合宿期間を短く騎士団による護衛をつけることになった。これで参加する人としない人が別れると思ったが、騎士科と冒険科は全員参加。これはこれでどうなんだろうか? 参加したオレが言うのは可笑しいけど。だが合宿期間は3日だったので、合宿はすぐに終わる。現在はオレは学園の昇降口前にいる。


「あ、エディスさん。エディスさんもエメリー様に言われてここに?」

「そうだよ。何で夜に集まらないといけないんだろうね?」

「さぁ? 何かやろうとしてるんじゃないですか?」


「・・・もしかして夜の学園散歩?」

「夜に学園を散歩するんですか。怖くないですか?」

「アタシは怖くないけど。もしかして~、ラザは怖いの~」


「怖いですよ。夜の学園何て怖い以外に何があるんですか? よし帰ろう」

「ダメだよ。ここにちゃんと残ろうか」


 エディスさんに掴まれて逃がそうとしない。普通に振り解けるが、勢い余って何処かにぶつけないかを心配をする。


「―――あれ、ラザとエディスじゃん。そこで何をしてるんだ?」


 こっちにエリオットが来る。


「エリオットさん? オレたちはエメリー様に呼ばれて、この時間にここに来たんです」

「そうなんだ。俺は夏休みの宿題を一部持って帰るのを忘れたんだ」

「えっ、何で宿題を持って帰るの忘れてるの? 貰ったら空間の中にしまうよね」


「あぁ俺ちょっと他の人と喋っていたから、ついつい机の中に入れっぱにしたからな。お陰で今頃になって思い出したよ・・・」

「ふーん。じゃあエメリーに呼ばれたんじゃないんだ」

「あぁ呼ばれてないぜ。そもそも俺何かが呼ばれる訳ないって。2人はいいよなーエメリー様だけじゃなく、ロザリー様やクリス様とも仲がいいんだろ?」


「偶然ですよ。それに仲がよくても、今でもちょっと気を使うんですよ」

「分かる。今でも呼び捨てで名前を呼べないもん・・・」

「俺なんか顔なんて見れないぜ」


「・・・あぁエリオットよりかは、アタシは慣れてるんだ」

「同じく」

「何か酷くないか!?」


 エディスさんとエリオットと暇を潰すように話す。


「―――お待たせしました」


 オレとエディスさんを呼んだ、エメリー様が来る。エメリー様だけではなく、ロザリー様とクリス様もいる。


「あ、エリオットさん。こんばんは」

「あぁこんばんは・・・」


 エリオットはロザリー様とクリス様を見て固まる。


「ん? エリオットがいたのか。まぁいいか。さてこんな夜に集まってもらったのは、この学園の調査をするためだ」

「学園の調査? もしかして幽霊調査でもするんですか?」

「そうだね。勿論学園長から許可は貰ってるよ。っと言うより学園長からの、依頼なんだけどね。これを生徒会のボクたちが解決する」


「それって最近噂になっている話?」

「そうだ。調べたい噂は1つだ、その噂は『夜な夜な何かを引きずる音が聞こえる』を調べる」


 意外と弱い噂だな・・・。


「引きずる音ってなに?」

「それは分からない。ある者は武器か何を引きずっている音、ある者は人を引きずっている音。だとか」

「後者の部分が怖いんですが!?」


「まぁ怖いな。こればかりは私もよく分からない。が。この噂が出るほど音を聞いた人が沢山いるわけだ」

「それは分かったけどさぁ、何でアタシとラザを呼んだの? 生徒会の人たちで解決すんだよね?」

「あぁそうなんだが・・・。今日は人が足りなくてな・・・、1人は風邪をひいたからな」


「もう1人はサラサなんだけど、怖がって行きたくないって。可愛いよね~」

「あ、オレも幽霊が怖いので帰ってもいいですか?」

「ハイハイそう言うウソはいいから、ラザはそれぐらいじゃ怖くないでしょ」


「・・・えっ、本気で学園を調査に連れて行く気。正気か? なぁ正気なのか?」

「わっ、あまりに怖さに敬語が抜けてるよ」

「ではこのくじ引きでグループを決めましょう」


「待ってください! オレも行かないといけないんですか!?」

「そうだが。その為に呼んだんだ。ここで帰っても明日明後日連れて行くが」

「何て人だ! 行きたくない所に行かせるなんて!」


「誰も1人で行けと言ってないだろ。ほらくじを引け、エリオットお前もだ」

「――――――え、俺も!?」

「サラサの代わりだ」


 オレとエリオットはくじを引く。中身を見ると2と書いてあった。その後一斉に引いたくじを皆に見せる。


「アタシとラザとエリオット。そっちはエメリーとロザリーさんとクリスさん。変わってないね」

「やり直しを要求します!」

「それは却下だ。時間が勿体ない」


「ねぇ何でグループ別けしたの? このまま6人で行けばいいじゃん」

「そうしたいが、実は引きずる音は2か所ある。引きずる音が聞こえたのは、実験室と解剖室だ」

「本校舎と別校舎に別れてるんだ」


「あぁそれなら、俺たちは本校舎にしてくれないか? 俺宿題を取りに行きたくて・・・」

「構わない。私たちは別校舎に行く」


 ロザリー様たちは別校舎に行く。エメリー様は悲しそうにオレとエディスさんを見るが、オレは手を振って見送る。


「何か止め刺してない?」

「オレは帰りたいと言っても、帰してくれなかった罰ですよ。じゃあ行きましょうか。先ずはエリオットさんのクラスですね」

「悪いな。じゃあ行こうぜ!」


 オレたちは昇降口に入って、先ずはエリオットのクラスに行く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ