第46話 国王陛下
12月27日。11月は特に行事が無いため、暇だったが。12月は期末試験があるから、勉強をしていた。その期末試験が終わり今は冬休みだ。実家に帰る予定は無かったが、親父が手紙で「帰ってこい」何て書いてあったらから。昨日帰って来た。そして今日親父の執務室で、国王陛下とロザリー様がいる。
「「・・・・・・」」
「そう顔を青くするな。別に貴様らをどうこうする気は無い」
「そ、そうでございますか! きょ、今日はどういった御用で?」
「うむ。今回はラザ・メルト・カルバーンに用があって来た」
「わ、私ですか。国王陛下。私は国王陛下に反旗をなど考えておりません」
「貴様は何を深く考えているんだ? 今回ここに来たのは、夏休み中に行っていた合宿の事だ」
夏休みの合宿!? ま、まさかオレは無意識で、法に触れることをしたのか!?
「貴様はまた変な勘違いをしているな。ロザリー、言ってやれ」
「はい。ラザ。合宿中にゴブリンの集落があった事を憶えてるか?」
「あぁ。私が無断で戻ってきてゴブリンを殺していたら、ゴブリンキングに一撃で気絶された話ですね」
「お前はどんな憶え方をしてるんだ?」
だって事実だし。・・・そう言えば和利にもそんな事言われたな。
「今回ここに来たのは礼を言いに来た。ありがとう。ラザが戻って来なかったら、今頃死者が出てたかもしれない」
国王陛下とロザリー様は、立ち上がってお礼を言って頭を下げる。
「頭を上げてください! 目上の人に頭を下げられると、これちらはとても困ります!」
俺がそう言うと、国王陛下とロザリー様は頭を上げる。
「しかし貴様は目上の人から、礼を言われるような事をした。素直に礼を受け入れろ」
「目上の人からお礼を言われるのが、初めて何ですよ」
「なら慣れろ。この先貴様が礼を言われることに、なるかもしれんぞ」
どうやって慣れろと? どう考えても無理なんだが。
「本来なら褒美をくれてやるべきだが、貴様にだけ渡せば他の奴らから苦情がくるため。褒美は無しだ。すまないな」
「いえ気にしてません」
「そうか。後は文化祭中に捕まえた何でも屋だが・・・。護送中に逃亡された」
「逃亡された!? 護送の護衛をしていた騎士たちは、大丈夫だったですか?」
「あぁ無事だ。しかし逃亡されても押さえる事が出来る、騎士達を護衛に回していたが。何でも屋の方が上だったとはな・・・」
何でも屋が逃げたか・・・。本来とは違うが『捕まって牢屋に行く』って事は無くなったな。つまり来年の文化祭も現れる訳だ・・・。いやどうだろ。何でも屋は不意打ちで倒れたが、少しはイゼベル先生の強さは分かったと思う。合図札を使ったらすぐに来たから、ただ者ではないって思てほしい。
「―――どうした? 何か考え事か?」
「あ、はい。申し訳ございません。勝手に自分だけ考え事をしてしまって」
「それはいい。だがその考えた事は言ってもらう。何でも屋は今後どう動くと思う?」
「・・・・・・分りません。今後何でも屋はどう動くかは分かりません。前の文化祭での出来事で、何でも屋が依頼者の依頼を断るか。あるいは依頼者は他の人を雇って再度襲ってくるか、何でも屋が私怨で襲ってくるか。どれも決め手が無いので、分かりません」
「そうか。もう1つ考えれば、学園にいる教師達を使って襲わせる事も考えられるな」
それは考えて無かった。教師全員が味方って訳でも無いのか。
「これで予定は終わりだ。ここからは私的話だ」
「私的話ですか?」
「学園でロザリーとエメリーはどう過ごしている?」
「ち、父上!? 何故そんな事を聞く!?」
「娘達が行っている学園での生活が、気になるのが親と言うものだ。で、どうなんだ?」
「ラザ! 答える必要は無いぞ、寧ろ喋るな!」
「そう言われましても・・・。私からは特に言えることは無いですよ。私はほとんど1人いる事が多いので」
「ほとんど1人? エメリーからは貴様の話をするが、貴様からエメリーの話はないのか?」
「無いですね。私の代わりにエディスさんが話していると思うので、私からは何も無いです。ロザリー様についても、特に言う事は無いですね。実際に会う事は少ないです」
会ったら会ったで、凄く絡まれるけどな。
「・・・・・・貴様はよく喋る人はいないのか?」
「そうですね・・・。教師のイゼベル先生ですかね。よく午後の授業内容を聞くので。自然とイゼベル先生と会話するのが多いですね」
「・・・貴様は友達を作るべきではないのか?」
「あまりそう言う事は言わないでください。今でも友達を作った方がいいのでは? って思っています」
「なら友達を作ればいいだろ。確か貴様は冒険科だったな。そこから作ればいいだろ」
「私以外皆先輩になるのですが。1年後2年後に卒業になりますね。今更自分のクラスの人と友達になっても、クラス替えでバラバラになるので意味があるのか無いのか・・・。来年になった時に考えてみます」
「友達が出来るといいな」
「はい」
「私的話もここまでにしておこう。ここから大人の話だ。子供は外で遊んでるといい」
それを聞いた親父は顔を更に青くする。オレとロザリー様は立ち上がって、部屋から退室する。ロザリー様と話し合って、一度リビングに移動する。
「し、死ぬかと思った・・・。急に国王陛下が来るとは、思いませんでしたよ」
「私が何か言っておけばよかったな。すまない、言う事が出来なくて」
「もう過ぎた事ですよ。それよりいつお帰りなるのですか?」
「明日だ」
「早いですね・・・。もう少し泊って行くと思いましたよ」
「父上は忙しい身だ。カルバーン家に行くのも無理して来たんだ」
「あぁ・・・そうですか・・・」
「ラザが悪い訳じゃ無い。悪いと決めつけるのであれば、合宿の周りをちゃんと調査しなかった、騎士団の怠慢だろう」
「そうですか。ところでこれからどうします?」
「そうだな・・・。宿題でもするか」
空間から宿題をテーブルの上にだして、宿題を終わらせる。