表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/177

第43話 文化祭その2

「いや~メイドのロザリーさんは綺麗だね~。今日と明日は告白の嵐だね」

「ロザリー様にとって、この2日間は嫌な思いをするのですね。それにしても何とも不思議な気分ですね、メイドがメイドに接客をするのは」

「そう? これくらい普通だと思うけど」


「私には普通とは思えないんですが。それよりも、メイドの格好をしてるとは言え、自分のクラスのメイドと間違えますかね? デザインが違うんですがね」

「ほぼ顔だけで判断したかもね。メニューを見ようか」


 オレとエディスさんはメニューを見る。料理を見るとどれも値段が高い気がする。


「・・・ラザ。割前勘定(わりまえかんじょう)で良いよね?」

「それで良いですよ。何でこんなに高いのでしょうか・・・」

「多分ロザリーさんが料理を運ぶんじゃない? あるいはクリスさんが運んでくるとか」


「ま、まさかそれだけの事でここまで値段が・・・」

「流石に無いよね。多分食材にこだわってるんだよ。ラザはもう決めた?」

「私はタマゴサンドイッチと紅茶にしますよ」


「アタシもそれでいいや。すみませーん!」

「ただいま参ります」


 メイドがこっちに来て、エディスさんは料理を注文する。メイドはそのまま厨房の方に行く。


 作ってる所が見れるのか。何かそう言う店もあったな~。


「今思ったんだけどさぁ、これって()()()だよね?」

「デート? ・・・あぁ! 確かにデートみたいになってますね」

「ちょっ! こ、声が大きいよ! そんな大きな声で言うと―――」


 エディスさんはごにょごにょ言いながら、顔を赤くする。


「そこまで恥ずかしいですか?」

「うん・・・。何でラザは恥ずかしくないの?」

「この格好してると慣れてきた。っと言うべきでしょうか」


「・・・可笑しいよね? 何で普通に慣れてきてるの?」

「多分ですが、普段エメリー様とエディスさんと一緒にいるせいでしょう」

「それだったらアタシだって慣れるはずだけど」


「それは人によると思いますよ」

「何かズルいよ~・・・」

「――――――お待たせしました。タマゴサンドイッチと紅茶になります」


 ロザリー様が料理を運んできて、テーブルに料理が置かれる。


「少し聞いてもいいでしょうか?」

「何なりと」

「ここのメニューのねだん――――――」


 値段の事を言おうとしたら、ロザリー様に睨まれる。オレはそれ以上聞かずに、他の事を聞く。


「クリス様はどちらにいるのでしょうか?」

「クリスは現在休憩中でございます」

「そうですか。ありがとうございます」


 オレはお礼を言うと、ロザリー様は一度会釈をして違う所に行く。


「これはあれですね。ロザリー様とクリス様が接客するから、その分値段が・・・」

「かもね。まぁあのロザリーさんとクリスさんが接客してくれるから、安いと言えば安いのかな」


 注文した料理を食べる。食べ終わった後は少し休憩をして、立ち上がって受付の方に行って会計を済ませる。割前勘定(わりまえかんじょう)で払ったのは、銀貨8枚。つまり合計で銀貨16枚ってこと。会計が終わったら教室から出る。


「次何処に行こうか?」

「・・・さっきまで顔を赤くしてた人が、言う台詞じゃ無いですね」

「うるっさいな! それはもういいでしょ!」


「そうですか。で、何処に行くのですか? 私は特に行きたい場所が無いので」

「もう少し楽しんだらどう?」

「楽しむ? 充分楽しんでますよ。エディスお嬢様が顔を赤くしてるところを」


「意外と性格が悪いね・・・。じゃあ―――」


 オレはエディスさんに連れられ色んなクラスに行く。途中ナタル先輩を見つけたが、この格好で声をかけるのは流石に恥ずかしいので止めた。午前を楽しんだら午後の仕事に行く。オレはエディスさんと別れて、このまま校門の方に行って、看板を持っているクラスメイトを見つける。


「交代の時間ですよ」

「おぉ・・・やっと救いが来た・・・」

「大丈夫ですか?」


「全然大丈夫じゃ無い。精神がもうズタボロだ・・・」

「この程度で精神がズタボロになっていると、明日はもう死んでますよ。明日は生徒以外の人も来るのですから」

「それを言うな! 折角忘れていたのに・・・」


「忘れていても明日は来ますよ。変わってください、貴方は休むべきです」

「あぁそうするよ」


 オレは看板を受け取って呼び込みを交代をする。


 さて呼ぶ込みになったけど、正直どうやればいいんだろ・・・。前の人に聞けばよかった。とりあえず少し看板を左右振って、宣伝をすればいいのか?


 オレは持っている看板を少し左右に振って、少し大きな声を出そうとすると。後ろから声をかけられる。


「すみませ~ん、そのメイド喫茶店は何処のクラスですか~?」


 オレは後ろを向いて答える。


「1年Cクラスの喫茶店です。メイド喫茶店ではなく、おかしな喫茶店です」

「お、おかしな喫茶店? 何処がおかしいの?」

「それは来店した時のお楽しみですよ」


「ふ~ん。行ってみよ」


 女子生徒たちは1年Cクラスに行くようだ。


「―――お、1年Cクラスってラザがいるクラスじゃないか?」

「あぁそうだったな。おいメイド、ラザはクラスにいるのか?」

「今貴方様の目の前にいますが」


「「「・・・・・・えっ?」」」


 スティース先輩たちは口を開けて、ポカーンとしている。数秒したらスティース先輩が喋る。


「オメーラザかよ!? 一体何をしたらそうなるんだよ!」

「メイクと女装したらこうなるのですよ。やっぱり変わりますか?」

「変わり過ぎだっ!」


「驚きましたね・・・。つまりラザのクラスは女装メイド喫茶店ですか?」

「それは言えませんね。来店してみれば分かりますよ」

「あんまり行きたくねぇが、行ってみっか」


 スティース先輩たちは1年Cクラスに向かう。オレは呼び込みを始める。


 数分後。交代が来て入れ替わる。クラスに戻って休憩をする。時間が経つと放送が入り今日の文化祭が終わる。色々片づけをして、明日の下準備をして寮に帰る。


 次の日。文化祭2日目は生徒以外にも王都の人たちが来る。クラスの準備をしようとしたら、放送でエリオット、エメリー様、そしてオレが呼び出されて職員室に行く。職員室に入ってイゼベル先生の所に行く。


「来たか。オメェーらにこの魔法陣が書いてある紙を渡す」


 いきなり紙を渡されて、オレたちはその紙を受け取る。


「その紙の使い方は、魔力を流して破れば発動する」

「イゼベル先生。いきなりそう言われても、オレたちは全く分かりませんよ」


 オレがそう言うと、エリオットとエメリー様は頷く。


「今から説明する。オメェーらに渡したのは『合図札』だ。使い方は様々だか、今回は何かトラブルが遭った時に使え」

「トラブルですか。それって使い魔が関係してますか?」

「察しがいいじゃねーかラザ。そうだオメェーらの使い魔が関係してる。今日は一般客も入って来るが、必ずしも一般客が来るわけじゃねぇ。人攫いや間諜(かんちょう)などが入って来る。今回一番危険視してるのは『何でも屋』の奴だ。正直そいつのほぼ情報がねぇ。名前や出身地、構成員の数や男か女かもわからねぇ・・・」


「何でも屋って言うのは?」

「その名の通り何でもやる奴だ。荷物を運んだり一時的に冒険者のパーティに入ったり。裏仕事なら殺人や誘拐もやるな」

「その人たち、あるいは団体の人が狙ってくるんですね。私とエリオットさんは分かりますが、ラザさんも必要なのですか?」


「必要だ。何せ2人の中で一番難易度が低い。エリオットのフランシスは上位精霊、そう簡単にはやられねぇだろ。エメリーのクリスタルドラゴンも同じだな。残ったラザはそう言はいかねぇ。普通のフォックスよりかは強いが、クリスタルドラゴンや上位精霊には足元も及ばない。そのラザを狙う可能性が高いが、2人の狙われる可能性もある」

「解りました。ですがロザリーさんも狙われると思いますが」

「それは他の先生が対応してるだろ。話は終わりだ。戻っていいぞ」


 オレたちはイゼベル先生から離れて、職員室から出る。


 きたなストーリーイベント。本来はオレは職員室に呼ばれないが、アイスフォックスのペールも珍しいから、攫われる危険性があるから、オレもイゼベル先生に呼ばれたんだろう。本番は午後だな。合図札を使ったあとは戦えるかな~・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ