第41話 メイク練習
2日後。教室で文化祭の準備を始める。早すぎるのでは? って思ったが、メイクや料理や道具などで色々やる必要があるので。早いうちからやる事になっている。授業の方が心配になるのだが・・・。
「エディスさん。本気でメイクをするんですか?」
「するよ。その為に一度家に戻って、メイク道具を持ってきたんだよ」
「そのメイク道具は店の売り物じゃないですよね?」
「あたり前だよ。ちゃんとアタシが自腹で買ったんだよ」
「わざわざ買ってきたんですか・・・。ラザさん。しっかりメイクを憶えてください」
「本番まで憶えないといけないんですか!? これ自分でやらないといけないんですか!」
「そりゃそうだよ。こっちもメイクして男装しないといけないから、男子たちの分まで出来ないからね」
「そ、そうなると。メイク道具を買わないといけないじゃないですか・・・」
「そうなりますね。でもラザさんは、お金を稼いでいるのでは? 確かイゼベル先生にお願いして、森に入って魔物を狩って。それでお金を得てるとか」
「えっ、そんなことしてるの? どれくらい稼いだの?」
「そんなに稼げてませんよ。何でエメリー様はそんな事を知ってるんです? 一体誰から聞いたんです?」
「姉さんから聞きました」
合宿中に言うんじゃなかった・・・。
「じゃあメイクを始めるよ」
オレはエディスさんにメイクをされる。何かよく分からないメイク道具を使って、メイクされていく。時間が経つとメイクが終わる。
「「・・・・・・え?」」
「え」って何ですか? もう目を開けてもいいですか?」
「うんいいよ・・・。きっと驚くよ」
俺は目を開けて鏡を見ると、鏡には知らない人が映っていた。
「・・・これオレですよね? かなり変わってませんか?」
「ラザだよ・・・。多分ラザだよ」
「メイクしただけでここまで変わるんですね・・・」
「一体どんなメイクをしたんですか? ここまで変わるとは思ってませんでしたよ」
「いや簡単なメイクをしたんだけどなー。何でここまで化けるんだろ?」
「ここまで来ると、ちょっと自信が無くなりますよね・・・」
「そこまで綺麗になってるんですか? 綺麗と言うより、誰って方が勝るんですよ」
「コイツ全然自分が綺麗だと思って無いんだけど。ちょっと殴っていいかな?」
「駄目ですよ。例え綺麗だと言う自覚がなくても、殴っていけませんよ」
それフォローしてるのか?
「どうした? ラザのメイクは終わったのか?」
「あぁイゼベル先生。終わったけど、何か女として負けた気分になった・・・」
「あぁ? そんなに変わってるのか」
イゼベル先生は俺を見る。
「・・・・・・お前ラザ?」
「ラザです。そんなに変わってますか?」
「変わり過ぎだ。今すぐ女装して歩いてこい。絶対に女と思われるぞ」
「そこまで言われると、何か悲しくなってくるんですが・・・」
「・・・いや、やっぱり止めておこう。他の生徒たちが勘違いをはじめる」
「ならこのまま女装を止めたいんですか」
「あ、それはダメ。ラザは接客より、呼び込みの方をやってもらうから。接客はちょっと荒れそうだしね」
「それとラザさんの髪形はそのままでいきます。流石に男性用のウィッグを使う訳にはいきませんから」
「ウィッグ?」
「カツラだよ。女性はウィッグって呼ぶことが多いかな。男性用のウィッグは売ってるけど、ラザは必要ないね」
「使わなくても人気が出るんですか?」
「人気が出るし最悪その場で、告白をされるんじゃない? まぁ来店した時にネタバレをするけどね」
「ネタバレした時に退店すると思いますが」
「そうかな? エメリーが男装して接客してくれるんだよ。少なくても女性客には良い反応すると思うよ」
それだと女装した男子生徒たちにとっては、複雑な気分になるのだが。
「あ、イゼベル先生も男装しませんか!」
「わたしが? 無いな。男装しても似合わねぇよ」
「意外と似合うかもしれませんよ。一度試したらどうですか?」
「ラザ。お前何か道ずれにしようとしてねぇか?」
「気のせいですよ。ただイゼベル先生だけ何もしないって言うのは、ちょっとどうか思うんです」
「あぁ~確かにイゼベル先生は何もしてないね。よし、メイクして男装執事にしよう!」
「おい。わたしはわたしで忙しいんだ。特に不審者がいないか警備をしねぇといけねぇのだが」
「でもそれって、ずっと警備する訳じゃないよね? 暇な時間が出来るよね?」
「それは休憩時間だ。エディス。わたしを男装執事にするには、無理があるぞ」
「そう言ってイゼベル先生は逃げてませんか? まさか自分だけ逃げるなんて言いませんよね?」
「・・・ラザ。午後の授業は厳しくされてぇのか?」
「調子に乗ってすみませんでした。でもイゼベル先生が男装執事をしてくれれば、1人の客は確保出来たんですが。そこは諦めましょう」
「1人だけ確保できたのか? そいつは誰だ?」
「それはちょっと言うのは止めておきましょう。本人の同意なく言ってしまうと、オレが消されるので・・・」
「・・・とりあえず何かあったらわたしに相談しろ」
「はい。ところで、そろそろメイクを落としてもいいですか? 周りから見られる視線が痛いんですが」
「あぁそうだったね。じゃあ浄化魔法で落としちゃって」
「流石に浄化魔法では落ちないと思いますよ」
「アタシは落とせたけど」
「えぇ・・・・・・」
「まぁ何でもいいや。アタシが落とすから。今度は一緒にメイクをしようか」
「いきなりやるんですか!? オレはやった事ないですよ!」
「最初は誰だってやった事無いんだよ。慣れるとすぐに出来るから」
エディスさんに浄化魔法を使ってもらい、メイクを落としてもらう。その後メイク練習が始まる。