第40話 男装女装執事メイド喫茶
9月8日。教室にて。5日に2年生が帰って、先輩とロザリー様たちからお土産を貰う。先輩たちからは、冒険に役立つ物やお菓子を貰った。ロザリー様とクリス様は甘いお菓子を貰った。
「よし全員いるな。今日は文化祭の出し物を決めてもらう。別に今日中じゃなくてもいいが、はぇー方がいいだろ。じゃあ後は文化祭実行に任せる」
イゼベル先生は左に移動して、空間から椅子を出して座る。その後文化祭実行委員が教卓に移動して、文化祭について話す。それが終われば出し物の話が始まる。
文化祭か・・・。前世では一度しかやってなかったな。確かお化け屋敷だったか。楽しかったが、準備と片付けが面倒だった気がする・・・。
「ねぇラザ。ラザは文化祭でなにかやりたいものってある?」
「ん~・・・。無難にお化け屋敷ですかね」
「本当に無難だね・・・。折角料理も出来るんだから、喫茶店なんてどう?」
「でもそれって、他の所も同じ事を考えてますよ」
「それ言っちゃたら、お化け屋敷もそうだよね」
そもそもお化け屋敷が通用するのかよ。って通用するか。日本が作ったゲームだからな・・・。
「エメリーは何かないの?」
「そうですね・・・。メイド喫茶はどうですか?」
「ちゃんとしたメイドがいるのに、よくそれ言えたね・・・」
「そ、それでしたら劇はどうですか?」
「劇をやるとしても、道具とか演技の練習をしないといけないですね・・・。それに教室でやると狭い」
「む~」
エメリー様は顔を膨らませる。ファンクラブが見たら、あまりにも可愛さで死ぬだろうな。
「なら2人は今出たもの以外で、何かあるんですか!」
「確か昨日、道具屋でわたアメ機がありましたので。わたアメ屋が出来ますね」
「ウィンナーもあるから、ウィンナーに棒を刺して。それを売るのもアリだね」
「何ならジャガバターでも売りますか。ジャガイモに切り目を入れて、後は蒸してバターを乗せればすぐに出来ますよ」
「少し手間だけど、クレープ屋でもいいね」
「ちょっと待てください。クレープ屋何てあったんですか?」
「つい最近出来た店だよ。今度一緒に行く?」
「あ、ペールと一緒に行くので大丈夫ですよ」
「そこは一緒に行く所でしょ・・・」
「・・・2人は何でそんなに盛り上がってるんですか!?」
「いやエメリーが他の出し物を言えって言ったから、アタシたちは言っているだけだよ」
「何か問題がありましたか?」
「あ、えっと・・・。な、無いです・・・」
何かちょっと酷い事をしたような気がする。
時間が経つと、一度出し物提案が始まる。生徒たちは色んな出し物を言う。ただ一部はエメリー様が提案した、メイド喫茶で決まりそうになったが。話し合って一旦保留になった。
「中々決まりませんね」
「でも今日中に決める訳では無いので、また明日決めればいいと思います」
「メイドと執事・・・、そして喫茶店・・・。ん~・・・。そうだ!」
エディスさんは何か思いついたようだ。だが、嫌な予感がする。
「はいはいはい! 執事喫茶とメイド喫茶を合体させて、執事メイド喫茶がいいと思います!」
エディスさんの発言を聞いて「なるほど~」って言う声が出てくる。
「いや、執事メイド喫茶って他のクラスもやるんじゃないのか?」
「そうだね。じゃあちょっと変えちゃおうか」
「変える? 変えるって何をだ?」
「執事は男性、メイドは女性が一般だよね。それを変えればいいんだよ」
「ちょっと待ってください。オレは凄く嫌な予感がするんですが・・・」
「そう、執事は女性メイドは男性! よって、男装女装執事メイド喫茶を提案する!」
「「「「「えええええええええええええ!?」」」」」
「中々面白れぇことを言うじゃねぇか」
「何て恐ろしいことを考えてるんですか!? 女性が男装するのはいいですが、男性が女装するのは気持ち悪いと思いますがっ!」
「「「「「そうだそうだ!!」」」」」
「えぇ~、でも面白いと思うよ。他のクラスはこんな事をしないと思うし」
「あたり前ですよ! 何が悲しくて女装しないといけないんですか! 男装執事喫茶でいいじゃないですか!」
「「「「「そうだそうだ!!」」」」」
「でも男装執事喫茶にしたら、男子たちが暇になるじゃん。かと言って、女装メイド喫茶にしても女子たちが暇になる。なら2つを合わせた方が、暇になる人は少なくなると思うよ」
「た、確かに・・・。でも何で男装女装執事メイド喫茶なんですか? 他に色々ありますよね?」
「それは勿論。面白そうだから!!」
「そんな理由で男子生徒たちを女装させるな!」
「も~、文句ばっかだね~。こうなったら・・・。ウチのクラスの最高権力者、エメリーに決めてもらうよ!」
せこ!? 最後の最後で権力者に頼るのかよ!
「私はいいと思います! みんな楽しく出来ると思います!」
エメリー様は、ここぞとばかりに笑顔でそう言う。
「――――――男装女装執事メイド喫茶で決まりだな」
「あぁそれしかないな。これ以外に何があるんだ?」
「終わり終わり。プリントに「男装女装執事メイド喫茶」って書いて終わり~」
「いや名前は変えようぜ。流石に長い」
男子生徒たちはもうこれで良いようだ。
「マジかよ・・・」
「アタシの勝ちだね。ラザは敗者として、女装してもらうよ」
「オレが着るんですか!?」
「そうだよ。大丈夫だよ。アタシとエメリーも男装するから」
「え、私もですか?」
「そうだよ。だって不公平じゃん。ラザだけ女装させといて、アタシとエメリーだけしないって」
飛び火したな。ってか何かグループ的なものが出来てないか? いつの間にかエメリー様、エディスさん、オレになっているのだが。
その後色々話が進み。明後日から文化祭の準備が始まる。