第29話 5週
何時間が経ってようやく合宿所に着く。オレとペールとイゼベル先生は息切れになってないが、それ以外の生徒と先生たちは息切れになってる。
「・・・だらしねぇな。少しはラザを見習ったらどうだ?」
「ハァ・・・ハァ・・・。ラ・・・ラザは・・・さんっざん・・・走らされ・・・た・・・、から・・・。へ、平気何だろ・・・」
「そうですね。徒競走を選んで良かったですよ」
「こ、こんなことになるのでしたら。ら、来年は、徒競走をえ、選びますわ・・・」
「ほぅ、ナタルはそんなにわたしの特訓が受けてぇのか。そんなすぐに受けてぇなら、今すぐに受けさせるが?」
「い、今すぐは無理ですわ・・・!!」
「そうか。冒険科の生徒たち告げる。10分の休憩をしたら、わたしの所に集まれ。宿に入るのは後だ。では解散!」
イゼベル先生は他の先生のところに行く。多分これからの予定を話し合うのだろう。
「あぁーしんどっ・・・。合宿はキツイときぃーてたが、ここまでキツイのかよ・・・」
「それが合宿っと言うものですわ・・・。ところで道中で言っていた、喧嘩ですが。もう少し後でもよろしくて?」
「あぁいいぞ。俺もモヤシポニテも本調子じゃねぇーんだ。こんなんで喧嘩をしたら、ぜっってぇ不完全燃焼で終わるわ」
「あぁ喧嘩はしないんですか。てっきり喧嘩をすると思いましたが」
「この状態で出来る訳ねぇだろ・・・。それより、オメーは誰かと喧嘩とかしねぇのか?」
「喧嘩ですか? 喧嘩をするくらいなら、イゼベル先生から教わった方が。まだ為になると思いますよ。まぁ確実に怪我はしますがね」
「オメー喧嘩よりとんでもねぇものを選ぶな・・・」
「それだけ冒険者として生きて行くために、必死になって学ぼうとしておりますわね」
「アイツには気配遮断があるだろ。何で自ら危険な道を選んだか、全く理解が出来ねぇな」
まぁ色々あるんだよ。先輩たちには悪いけど、何故冒険科を選んだかは言えないな。
「ところで。息が整ったら喧嘩をするんですか?」
「いいえ。時間が限られておりますわ。仮に喧嘩が出来る状態で始めると、絶対に遅刻になりますわ」
「あぁそうだな。じゃあとっとと先生のところに行くか」
「スティース先輩、まだ時間はありますよ」
「はぇー方がいいだろ」
「あまり早すぎるのも、相手に失礼に当たるので。時間の5分前や10前に行くのがいいと思いますが」
「あ? そうなのか? ならもう少し待つか」
オレたちは時間になるまで休憩をする。時間になる少し前にイゼベル先生のところに行く。
「よし集まったな。先ずは宿に入って、部屋で制服から練習着に着替えろ。着替え終わったらわたしのところに来い。今から鍵を渡すから、班の誰かが代表で取りに来い」
何人か代表で部屋の鍵を取りに行く。部屋は男女別である。オレはスティース先輩について行く。部屋に着いたら錠を開ける。
「お、いい部屋じゃないか。これなら枕投げも出来そうだな!」
あぁこっちでも枕投げってあるんだ。オレたちで枕投げしたら、絶対に怪我人が出そうだな・・・。
「ベッドは何処でもいいな。よし着替えてさっさと行くぞ」
オレたちは荷物を置いて、練習着に着替える。着替え終わったら部屋から出て、イゼベル先生のところに行く。
「揃ったな。先ずは軽く運動だ。そうだな・・・、道中少し変わった木があったな」
そう言えばあったな。あ、嫌な予感がする・・・。
「よし今からあの宿から少し変わった木の所まで、5週走ってこい」
あぁやっぱりそうなるよねー。あの少し変わった木はここから遠いんだよ・・・。
「先にわたしが少し変わった木の所まで行く。言っておくがサボろうとは思うなよ。サボったら・・・、分かってるな」
オレたちは顔を青くして頷く。それを見たイゼベル先生は、そのまま変な木の所まで走って行く。
・・・ペールは何処に行ったんだ?
オレはペールを探す。探していると、木の方に登っていて枝のところで寝ている。
「おのれペール。お前はそこで居眠りかよ・・・。まぁいいけど」
オレはすぐに移動して少し変わった木の方に行く。
騎士科の人たちも走っている。軽い準備運動するのはいいけど、まさか騎士科の人たちと一緒に走ることになるとは。もしかして騎士科を基準にしてないか?
「―――ラザじゃないか。お前も変わった木の所まで行くのか?」
横からロザリー様に声をかけられる。
「そうですよ。そちらは何週ですか? こっちは5週も走る羽目になってるんですよ」
「私のところもそうだ。ところで変わった木は何処にある?」
「かなり先ですよ。着くのにくらいは1時間かかるんじゃないですか?」
「そ、そんなに遠いのか・・・。だから今日はこれしかないのか・・・」
「えっ? これしかない? 私たちは軽い運動って言われたのですが」
「・・・どうも話が違うな。まぁ騎士科と冒険科自体が違うから、訓練内容も違うだろう」
「こっちはちょっと大変なんですが・・・。今日はベッドで眠れる気がしません」
「まぁ・・・その何だ・・・、頑張れよ」
「死なない程度に頑張ります・・・。では先に失礼します」
オレはロザリー様を追い越して先に行く。走って行くと大体の人たちは息切れをしていた。他の生徒たちを追い越して、少し変わった木の所まで行くとイゼベル先生がいる。
「やっぱりお前が1番か。ペールはどうした?」
「ペールは木に登って枝のところで寝てますよ」
「・・・使い魔だから別にいいか。それはそうと、お前が誰よりも早く終わるのは分かる。終わったらでいい、ぶっ倒れた生徒を宿の方まで運んでくれ」
「それオレがぶっ倒れたらどうするんですか?」
「お前がぶっ倒れる分けねぇだろ。なにを言ってるんだ」
「心配のし文字も無いんですか! 少しは心配してくれもいいじゃないですか?」
「何のためにお前を鍛えたと思っている。わたしが少しでも楽をするためだぞ」
「マジかよ・・・」
「分かったならサッサと行け」
オレはそのまま曲がって宿の方に走って行く。