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第28話 山ごもり

 8月1日。オレとペールは校門の前まで行く。


「おぉ~もう集まっているな。まぁ時間を見て遅く来たんだけどな」

「クゥクゥ~?」

「わざわざ遅く来る意味はあるのかって? あるよ。あんまり早く来ると絡まれるからな・・・」


「―――おっせーぞラザ! 時間ギリギリで来てるんじゃねぇーぞ!!」

「これでも集合時間の5分前に来たんですがね・・・。スティース先輩は何時にここに来たんですか?」

「朝の5時だ。文句あるか?」


「そんな朝早くから来ていたんですか!? 何でそんなに早く来てたんですか?」

「しょうがねぇーだろ、合宿が楽しみだったんだよ・・・」


 遠足が楽しみし過ぎて早く来た子供ですか!


「よっ、ラザ! コイツお菓子とか持ってきてるんだぜ。イゼベル先生にバレたら、怒られるかもしれないのに、それでも持ってきてるんだぜ」

「おはようございます、サハル先輩。スティース先輩、お菓子を持ってきたんですか? いくら何でも危険を顧みなさ過ぎなのでは?」

「オメーは後2年もあるが、俺たちは今日が初めて今日で終わりだ。だから暇な時は盛大に遊びたくてなぁ、だから持ってきたんだよ」


「そうですか・・・」

「――――――その菓子は後で、わたしにもくれるのだろうな?」

「「「えっ?」」」


 気付いたらイゼベル先生が来ていた。オレたちはイゼベル先生を見て怯える。


「なに怯えてるんだ? 別に菓子くらいでわたしは怒らねぇよ。わたしだって酒やつまみを持ってきてるんだ。菓子くらいは許容範囲内だ。だがしかし、練習中に食うなよ」

「・・・っしゃ!!」


 スティース先輩はガッツポーズを取る。


「おぉぉマジか・・・。許されちゃったよ・・・」

「まぁイゼベル先生がお酒とつまみを持ってきている時点、色々駄目な気がしますが。いいんでしょうか?」

「他の教師も持ってきてるんだ。ならわたしだって持ってくる」


 先生方がそんな酒とか持ってきて大丈夫なのか?


「よし、冒険科の生徒たちはわたしのところに来い!」


 冒険科の生徒たちは、イゼベル先生のところに集まって来る。


「これからの予定だが。先ず騎士科の連中が先に移動する。その後ろをわたしたちがついて行く。移動手段は徒歩だ」

「センセー、どれくらいの時間で合宿所に着くんですか?」

「あぁー徒歩だと大体5、6時間くらいじゃねぇか? 進み具合によってはそれ以上かかるかもな」


「うわぁ遠いい・・・」

「我慢しろ。必ずしも馬車が使える訳じゃねぇんだ。今のうちに徒歩で長時間の移動を慣れろ」

「はーい・・・」


「騎士科の連中が移動を始めたら、わたしたちも移動をするぞ」


 時間が経ったら騎士科の人たちが移動をする。オレたちも移動をする。王都から出て山の方に行く。


「イゼベル先生。騎士科の生徒たちって1年生と、2年生の数人ですよね?」

「あぁそうだ。因みに2年生と3年生も合宿はある。1年生が終われば2年生、2年生が終われば3年生だ」

「先生方も大変ですね。それに比べて冒険科は人数が少ないので、楽が出来そうですね」


「別に楽じゃねぇよ。オメェーらに生きる術を教えねぇと、いけねぇんだ。騎士科の奴らよりメンドクセェ・・・」

「そんなに面倒なら、何で学園の先生になったんですか?」

「わたしが貴族なのは知ってるだろ。次女の姉貴が学園で教師をしていたが。体調を悪くして教師として続けることが、出来ねぇ状態でな。急遽わたしが教師になった」


「えっ、じゃあその次女さんの体調が回復したら。イゼベル先生は教師を辞めてしまうんですか?」

「いや3年契約だから。姉貴が回復しようと、3年まで教師をする事になっている。何でわたしが教師をやらねぇといけねぇんだよ・・・」

「冒険で命を落とすより学園の教師にしておけば、死ぬことが無いからじゃないですか」


「まぁ前向きに考えればそうだし、食いっぱぐれる心配はねぇが・・・。どうも腕が鈍る。さっさとオメェーらは強くなれよ。じゃねぇとこっちが困る」

「無理ですよ。イゼベル先生並みに強くなるには、かなりの時間をかけないと強くなれませんよ。イゼベル先生が異常なんですよ。一体何をしたらそこまで強くなるんですか?」

「山ごもりをして修行をしていた」


「・・・・・・山ごもりをして修行をしていたんですか? よく生きて帰って来れましたね」

「実際何度か死にかけた。が、何とか無事生還した。家に帰ったときはかなり怒られたがな・・・」

「そりゃあ怒られますよね。・・・今回行く山ってもしかして」


「察しがいいじゃねぇか。そうだ、わたしが山ごもりをした場所だ。安心しろ、深く山に登らなければ強い魔物は出遭わねぇよ。まぁこっちに来る可能性はあるがな」

「何でそんな事を言うんですか!! 今すぐ帰りたくなりましたよ!!」

「もうおせぇよ。諦めろ」


「ラ、ラザの奴、よくイゼベル先生と喋れるな・・・。俺はちょっと嫌だぜ・・・」

「まぁ貴方みたいな印象最悪で低俗で脳筋バカの相手をするより、イゼベル教師と会話をした方がまだ為になりますわ」

「あ? 喧嘩売ってるのかモヤシポニテ。売ってるならいくらでも買うぜ」


「あらやだ。これだから低俗脳筋は、すぐに暴力で解決しようとしますわ。もう少し口論で喧嘩できませんこと?」

「口論するより暴力の方がはぇーだろ。・・・あぁ悪かったな、モヤシポニテには無理があったか!」

「ッ・・・、わたくしをバカにしてますの?」


「馬鹿にはしてねぇよ。ただ可愛かったからよぉ~」

「この・・・! そこまで侮辱をするのなら、合宿所に着いたら殴り合いますわよ」

「そう来なくっちゃなぁ! 合宿所に着いたら楽しみしておけよ!」


「その言葉、そっくりそのまま返しますわ!」

「「(どっちも脳筋・・・)」」

「あんな事を言ってますが、あの2人はいいんですか?」


「まぁよっぽどな事が無い限り、そのまま放置でいいだろ。それにしてもスティースやナタルは変わったな。ラザのお陰か?」

「スティース先輩はそうですが、ナタル先輩は違いますよ。ナタル先輩はスティース先輩の影響を受けて、変わったと思いますよ」

「そうかもな」


 騎士科の人たちについて行って、合宿所を目指す。

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