IF82話 ハシかぁ
時間が経って餅つきの体験が終わる。その後はついた餅を食べる。オレは普通に食べているが、皆餅が伸びてちょっと困っている。
「何でそこまで困るんですかね。チーズだって伸びますよね?」
「伸びるけど。何かチーズ以上に伸びてる気がするけど」
「気のせいですよ」
「気のせいでは無いだろ。チーズより伸びておるぞ」
「気のせいだから。熱いうちに食べておけよ。冷めると硬くなるぞ」
「そうは言うが。この伸びる状態でどう食べればいいんだ?」
「普通に噛み切れよ。自分で大体ここまで来たら、嚙み切ればいいだろ」
「出来たら苦労せんよ。それよりも主はもう食べ終わったのか」
「うん。美味しかった」
「早い・・・。何であんなに食べ終わるのが早いの? こっちは苦労しながら食べてるのに」
「これはきっと一度食べた事があるから、すぐに食べ終わるんですよ」
「初めて食べましたよ。このきな粉砂糖餅が美味しかっただけですよ」
「絶対に嘘ですね。どっかしらで食べてますね」
「仮にそうなら。オレはここに一度来てる事になりますよ」
「どっかで仕入れていたんだろ。そうすればここに来る必要はねぇよな」
「でも餅を仕入れる事は出来ますかね? 生ものって腐りやすいと思いますよ。それに餅は極東の文化なので、商人がそこまで行って仕入れているとは思いませんがね。何せ食べられるどうか分かりませんし、何よりも信用がありませんよ。信用がないと商売出来ませんからねぇ。仮に仕入れる事が出来るとしても、オレはこの街に餅があるなんて知りませんでしたよ」
「ッチ。この程度じゃ話さねぇか」
「話しませんよ」
「それよりもだ。モチをついてる時にエディスとサラサからの、視線が凄かったが。何か用でもあったか?」
「えっ!! と、特に無いよ! ただ真剣にやってるなぁ~って!」
「そ、そうですよ! 真剣にやっていてカッコいいと、思っていただけですよ!」
「・・・妾の前で嘘が通せると? 見ていたのは妾と言うより、胸だろ」
「「ッ!!」」
「しかもエメリーと教師も見てただろ」
「え? エディスとサラサはそんな所を見てたんですか?」
「ど、どうかなぁ~。見てたようなぁ見てなかったようなぁ・・・」
「ちょっと覚えてませんねぇ・・・」
「・・・さて小娘どもの罰はどうしたものか」
「「すみませんでした!!」」
「プリシラの罰は受けたくないんだな」
「精霊の罰は一体どんなものか分からねぇからな。で、ラザは見ていたのか?」
「見てないですよ。仮に見てバレたら殴られるだけじゃ済みませんよ。イゼベル先生は2人に見られて、大丈夫なんですか?」
「別に女に見られてくらいで、どうって事はねぇだろ。合宿や修学旅行ではよく見られてたからな」
「あぁそうですか」
餅を食べ終わったら皿などを返して、何個か餅を買って宿に戻る。
次の日。エメリー様たちの部屋で、朝ご飯を食べる。食べ終わったら、部屋から出て自分の部屋に行く。着いたら中に入る。
「今日で王都に帰るのか。もう一緒に食べなくて済むのか・・・」
「あの中で食べるのが辛いのか?」
「辛いに決まってるだろ。男性はオレだけだぞ。せめて後1人くらいいれば、まだ平気だな」
「まぁそれは叶わないだろ。ほれ片付けるぞ」
部屋の中を片づけをする。布団はそのままにしてもいいようなので、部屋からで受付で合流して会計を済ませる。会計が終わったら宿から出る。
「今日で終わりか~。何か早やかったな~」
「そんなもんだと思いますよ。帰りの時間になるまで、どうやって時間を潰しますか?」
「この辺のお土産屋に行って、後はここ以外の場所に行こうかな。先ずはお土産屋だね」
エディスさんについて行って、お土産屋に行く。
あ。ここは前に行こうっと思っていた、お土産屋だ。
中に入って各自で何を買うかを見る。
「木刀だ。木刀が売ってる。買っておくか」
「その木剣モドキを買うのか?」
「買うに決まってるだろ。京都とかで買うと、大体いらないものになるけど。ここで買うと使う日が必ずあるから、買っておいて損はしないだろ」
「あぁ主の前世では確かに不要な物になるな。その木剣モドキを買ったら、付与するのか?」
「精霊の魔力にしたらな。他は扇子に万華鏡におみくじ。これは手毬ってやつか? などなどあるが何か玩具系がばっかだな。食べ物は無いんだな。餅を買った時も入物は木箱だったな。まだお土産で生食べ物類は中々売りだせないか。修学旅行の時は買えたけど、こっちはまだ試行錯誤中なのか。他の所で買えばいいか。あ、箸が売ってる。買わないと」
「ハシ・・・。それは妾の分も買うのか?」
「あたり前じゃん。帰ったら使い方を教えるから」
「主からくれる物は嬉しいが。ハシかぁ・・・」
「箸だよ。使いこなせれば色々食べる時はかなり楽だから」
オレは外に出てる木刀を3本取って、箸を4膳を取る。会計に行って買い物を済ませる。オレとプリシラは一度店を出て、外にある店を見る。あったのは、米屋と味噌屋と醬油専門店だったのですぐに買いに行く。買い終わったらエメリー様たちと合流して、街を見て回る。時間になったら馬車乗り場に行って、幌馬車に乗って王都に帰る。