IF80話 同じように
ここの温泉宿は混浴が無くて良かったと思いながら、温泉を満喫する。満喫したら温泉から上がって、脱衣所に入って身体を拭く。浴衣があった事に驚きながら、壁に貼ってある浴衣の着方を見て浴衣を着る。着替え終わったら。カゴに入っている私服を浄化魔法で綺麗にして、空間の中にしまう。脱衣所から出て部屋に行く。
初めて着たけど。着替えるのに時間がかかったな・・・。慣れてる人はすぐに着替え終わるだろうな。
「ラザさ~ん! ちょっと待ってくださ~い!」
後ろからエメリー様の声が聞こえた。オレは心の準備をしてから、後ろを振り向く。振り向くと、予想通り皆浴衣を着ている。
―――あっぶねー。エメリー様のファンだったら、ぶっ倒れていた。和利だったら、あまりにも可愛さでぶっ倒れてる。アイツはエメリー様のファンだからなぁ・・・。
「大丈夫か主よ?」
「あぁ大丈夫。まだぶっ倒れないから」
「そこまでのものだったか?」
「そこまでのものだった。本当に倒れる所だったぞ・・・」
「倒れるって・・・。そこまで酷かった?」
「いえいえ。何処も酷い格好はしてませんよ。寧ろ全員似合ってますよ」
「そ、そうかな~? そんなに似合ってる?」
「似合ってます。これで似合って無いっていう奴がいるなら、オレはそいつを全力でぶちのめします」
何でエディスさんとイゼベル先生とサラサ様は、ゲームに出てこなかったんだろ? ゲームに出てたら、人気出てただろうな。
「似合ってる似合ってねぇは置いといてだ。このユカタだったか。胸が苦しい・・・」
「私も胸ちょっと苦しいです。もう少し緩めても大丈夫でしょうか?」
「妾もキツイな。もう少し何とかならんのか?」
「男性がいる前で、そんな話をしないでくださいよ・・・」
「別にお前には関係ねぇだろ。それにこの程度で気にしねぇだろ」
「オレを何だと思ってるんですか・・・。気にする時は気にするんですよ」
「何を気にするんですか?」
「えっ!? そ、それは・・・・・」
「それは?」
「それは・・・。い、言えません・・・」
「エメリー。そこは察してやれ。ラザも男だ。色々思う所があるだろ」
「はぁ。そうですか」
「で、本当の所はどうなんだ主よ?」
「言うと思う? この状況で言うと思うか?」
「言わんだろうな。ほれここにおると邪魔だろ。移動するぞ」
プリシラが言ってる事は最もなので、オレたちは移動する。
「――――――胸の格差・・・」
「また言いますか。いい加減諦めてくださいよ」
「無理ですよ。あの御三方の胸を見ると、いつも思うのですよ。きっと姉上も見ると同じように思いますよ」
「クリス様も同じ反応しますかね? 一昨年はそんな事なかったようなぁ・・・」
「実家に帰って来た時、少し気にしてましたよ。特にプリシラの大きかったと。自分も去年の夏休み中に思いましたよ」
「よく男性がいる前で喋りますよね? まさかですけど、他の男性の前でもそんな事言うですか?」
「そんな事言いませんよ。ラザ先輩だから言ってるんですよ。そうですよねエディス先輩?」
「うん。ラザだから言えるんだよ」
この世界の女性はどうなってるんだ?
「2人ともそんな話をしないでくださいよ・・・。こんな所で話さないで、部屋で話してくださいよ」
「そうだね。ラザはどうするの?」
「部屋に戻ってプリシラとゆっくりしてますよ」
「何かやる事であるのか?」
「特に無いけど。ただゆっくりしたいだけ」
「そうか」
「ゆっくりするだけなら、こっちの部屋に来る?」
「行きませんよ。と言うか。普通は行きませんし行けませよ。何考えてるんですか?」
「優しさで誘ってるけど」
「優しさなら、ラザ先輩なら大丈夫だと思いますが」
「サラサ様。もしサラサ様が1人で、他の男性4人いるとします。1人の男性が優しさで「部屋に来る?」何て言われたら、素直に行きますか?」
「行きたく無いですね」
「そう言う事です。オレの気持ちが解ってくれて、嬉しいですよ」
「―――それで来ないのですか?」
「小娘。人の話を聞いておらんな。ちゃんと耳付いておるよな?」
「付いてますよ。左右にちゃんと耳が付いてます」
「・・・病院に行った方が良いぞ」
「大丈夫です。まだ耳は遠くないです」
「そうじゃないんですがねぇ・・・。イゼベル先生も何か言ってくださいよ。普通は女性がいる部屋に行かないって事を」
「そうだな。普通は女性がいる部屋に男性が入るには、常識的に考えて駄目だな。だがラザだから良いだろ」
「イゼベル先生。教師としてそれはどうかと思いますが・・・。何でオレだから良いって言うんですか・・・?」
「ラザが部屋に来ても特に何もしねぇだろ。なら大丈夫だろ」
「完全に人畜無害だと思われているな」
「褒められてるのか貶されてるのか分からいな・・・。とにかく行きませんよ。何されるか分かりませんからね」
「アタシたちが何かするって思われてるよ。まぁそう言われてもしょうがないけど」
そろそろエメリー様たちの部屋に着く。オレはおやすみと言って、オレとプリシラは自分の部屋に戻る。部屋に戻ったら。光魔法で灯りを出して、ゆっくりしながら雑談をする。眠くなったら押入れから布団を出して引く。流石に布団では一緒に寝ないと思ったが、そんな事は無かった。灯りを消して布団に入って寝る。
次の日。アタシはラザとプリシラさんがいる部屋に行って、ゆっくり襖を開ける。目的はラザの寝顔を見るためだ。
「―――何をしておる?」
早くもプリシラさんにバレた。
「お、おはよ~。起きるのが早いね~」
「部屋を間違っておるぞ。はよ自分の部屋に戻ったらどうだ?」
「合ってる合ってる。こんな時じゃないと、ラザの寝顔は見れなからね」
「駄目だ。主の寝顔は見せんよ」
「そこを何とかお願いしたいんだけど・・・。ダメかな?」
「駄目だ。はよ自分の部屋に戻るといい」
「はぁ~い。ちょっとくらいいいじゃん・・・」
「聞こえておるぞ」
アタシは部屋から出て、エメリーたちの所に戻る。