IF77話 誰もが恐怖で
エディスさんを救助してから3日後。オレとエディスさんは教室に入って謝罪をする。謝罪が終わったら、文化祭の出し物を決める。それから3週間後。文化祭の準備をしている。
「女装しなくてよかったな」
「本当だよ。今年はエディスさんがいるから、また突拍子ない事を言うかと思ったよ」
「今年はお化け屋敷だな。去年もやった記憶があるな」
「去年はまぁちょっとレベルの低いお化け屋敷だったけど、今年はエディスさんがいるから。レベルの高いお化け屋敷になるんだろうな」
「衣装が去年よりレベルが高いな。流石大商人の娘と言った所か。この程度の服はすぐに集められるか」
「この程度って言うレベルか? かなりレベルが高いような気がする・・・。お化け役だけど、この白服と白ズボンに絵具を塗るのか・・・」
「去年もやっただろ」
「アレはまだ塗れたけど、これはちょっと・・・」
「主がやらんなら、妾がやろう」
プリシラは筆を持って、赤色で服とズボンに塗っていく。
「あぁ真っ白だった服とズボンが、どんどん赤く染まっていく・・・。しかもかなりいい感じに恐怖を与える事が、出来るように塗ってる・・・」
「これくらいでいいだろ。ほれ後は主がメイクをするだけだぞ」
「やっぱりメイクするのか」
俺は空間から化粧道具を出して、椅子に座ってメイクをする。
「―――出来た。出来たけど。中々傷の表現は出来ないな。傷の表現も出来たら、かなりお化けっぽいんだが」
「それをやったら、ほとんどの人が勘違いをするだろ」
「するだろうな。場合によって保健室に連れて行かれそう」
「程程にするべきだな。後は着れば完成だろ。服とズボンは乾かしている」
プリシラから服とズボンを貰って、更衣室に行って着替える。着替え終わったら更衣室から出て、プリシラの所に行く。
「・・・お化けと言うより、ただの負傷者だな」
「負傷者って言うなよ。どう見ても血塗れのお化けだろ」
「こんなお化けがおるわけが無いだろ。だが驚かすにはかなりいいだろなぁ。試しにそれで驚かして来い」
「良いな。さて誰を驚かせるか・・・。イゼベル先生にはやる訳にはいかないよな。絶対に拳か飛んでくる」
「やはりここはエメリーあたりだろ」
「そうだな」
俺は気配遮断をしてエメリー様の所に行く。エメリー様の横に付いたら、肩を叩くと同時に気配遮断を解いて驚かせる。エメリー様はオレを見て、持っている物を落してその場で固まる。
「・・・・・・エメリー様大丈夫ですか?」
声をかけても何も反応しない。失礼承知で体を揺らしても反応しない。その様子を見ていたのか、プリシラがこっちに来る。
「大成功ではないか。これなら誰もが恐怖で慄くだろ」
「どう見ても立って気絶してるだろ! エメリー様大丈夫ですか!」
「――――――! だ、大丈夫です!」
「大丈夫ですか・・・。すみませんでした。予想以上に驚くとは思いませんでした」
「想像以上に怖かったので、固まってしまいました。でも今ので大体の人は驚くと思います!」
「今のでエメリー様みたいに固まる事が分かりました。何処で人を驚かせればいいんでしょうか?」
「出口で驚かせばいいだろ。そうすれば店の中では邪魔にならんだろ」
「あるいは店内をウロウロすれば良いと思いますよ」
「・・・両方やりますか。ではオレは着替えてきますね。仕事の邪魔をしてすみませんでした」
オレは床に落ちている物を拾って、エメリー様に渡してから着替えに行く。
10月17日。文化祭2日目。オレは教室内で気配遮断をして、ウロウロしている。客を見つけたら、その客に付いて行く。
「な、何だよこのクラスのお化け屋敷は・・・。滅茶苦茶怖いだろ・・・」
「いつになったら出口に出れるんだ? もう無理だぞ・・・」
「は、早く出たいよ・・・」
「ウチも・・・」
何かこれかなり精神的に参ってないか? 昨日から思ったけど。このまま続けていいのか? あ、そろそろ出口だ。
客が出口までたどり着く。客はドアを開けたら、オレは気配遮断を解く。
「「「「で、出口だぁ~!」」」」
「お疲れ様でぇーす・・・」
「「「「えっ!!??」」」」
客が驚きながら後ろを振り向てオレを見る。客はオレの顔を見て声を出さずに逃げていく。
「声を出して逃げる人と、声を出さずに逃げる人がいるんだな」
「昨日も同じ事言っておったな」
オレは驚きながら右を見る。
「昨日も同じように驚いておるな」
「だって驚くだろ・・・。さて戻るか」
オレは出口のドア開けて中に入り、また客に会うまでウロウロする。
午前中の仕事が終わったら、オレは更衣室で着替える。着替え終わったら更衣室から出て、教室から出る。プリシラを呼んで、エメリー様たちを待つ。待っているとエメリー様たちが来る。
「何か待たせちゃったね」
「あぁ待ったぞ」
「長く待って無いだろ。それで今日はどうするんですか?」
「今日はサラサさんのクラスに行こうか。昨日は行けなかったからね」
オレたちはサラサ様のクラスに行く。サラサ様のクラスに着いて、中に入ってメイドに案内されて席に座る。メニューを見て頼むものが決まったら、メイドを呼んで注文をする。
「今サラサさんはメイド服着てるかな?」
「着てると思いますよ」
「そうだよね。ラザは着ないの?」
「何で着ないといけないんですか? このクラスと関係無いですよね」
「着て驚かせばいいんだよ。きっと驚くから」
「嫌ですよ。もう着ませんよ」
「もう一度見たかったですね」
「写真がありましたよね。それで見ればいいと思いますよ」
「私は実物が見たいです」
「しりません。写真で我慢してください」
話して待っているとサラサ様が料理を運んでくる。
「んん~、メイド姿のサラサさんは可愛い!」
「似合ってますよ」
「良いじゃないか? 主ほどでは無いが」
「それ言う必要あったか?」
「今度一緒に写真を撮りましょう」
などなどサラサ様と話す。テーブルに料理を置いたら、サラサ様はお辞儀をして仕事に戻る。オレたちは置かれた料理を食べる。