IF74話 会う前
8月7日。エメリー様たちが来て1週間経つ。そのエメリー様たちはお母さんと一緒にいる。イリナさんたちはメイドの仕事で、アレックさんは執事の仕事。自分の部屋で2人っきりになるのは、久しぶりだと思う。
「この時間で2人っきりなるのは、何か久しぶりな気がする」
「言われてみればそうだな。この時間は必ずメイドか執事がおるからな」
「その4人は今仕事でいないからな。騎士はここには滅諦に来ないしなあ」
「来るならあの2人か。だがあの2人は常に仕事をしてようなものだろ」
「ちゃんと休み貰ってるから。でも休みになってもここに来る用事は無いからな。部屋がかなり静かだな。何か落ち着く」
「いつも賑やかだったからな」
「話し変わるけどさぁ。プリシラを見てるといつも思うんだ。精霊界でどんな暮らしをしてるんだ?」
「妾がどんな暮らしを送っておるかって? 同じ精霊と話したり、何か新し事をやっておるな」
「同じ精霊と話してるのか。かなり気になるな」
「最初はほぼ話を聞いておるだけだったな。話がつまらんからな」
「つまらなかった? 今じゃあ想像つかないな・・・」
「だろうな。周りからも言われたよ。お前はかなり変わった。てな」
「そこまで言われるほど、差があるのかよ。それってオレと会う前の話か?」
「うむ。主と会う前の話だな。あの時はまぁ退屈が多かったな。話しもつまらんし、周りに集まる奴らもつまらんな。ある意味は生きていても、つまらないものだと思ったよ」
「つまらない尽くしだったか。でも今はどうなんだ?」
「今は・・・。前よりはかなりマシにはなったな。だが精霊界におってもつまらんな」
「精霊界にいてもつまらないだ。・・・プリシラってさぁ。プリシラって呼ばれる前の名前ってあるのか?」
「無いぞ」
「無い!? じゃあどうやってその精霊を呼ぶんだ?」
「お前や貴様や其方やテメェやおいなどなど。後は髪の色や服装で呼んでおるな。名前など無いな」
「何か暴言を言われている気がするが。気にしないのか?」
「全く。この程度で気にせんよ。一々この程度で気にするほど、精神は未熟ではない」
「凄いメンタル・・・。会う前のプリシラか。ちょっと見たいな」
「止めておけ。気に入らん事があったら、即死んでおるぞ」
「こわっ!? 会う前のプリシラ怖過ぎるだろ。え、じゃあ精霊を殺してたり・・・」
「簡単に死ぬと思うか? 皆妾と同じ精霊。強さも下級や中級とは違う」
「プリシラの周りには、強い精霊しかいないのか。そうだよな。多分下級や中級が近づいただけで、気絶しそうだもんな」
「近づけないのは合ってるな。だが気絶はしなかったな」
「普通の人間で良かった。精霊でプリシラに会っていたら、近づけないよ」
「どうだがなぁ。記憶を持った状態で精霊になり、妾会ったなら。妾はきっと気になるだろうな。前世の記憶を持った精霊に」
「あぁ。何かそんな気がする。プリシラは過去を見えるから、すぐにバレるな。何で人の過去が見れるんだよ」
「上級精霊だからな。それくらい出来て当然だ」
「絶対上級精霊で済まされ無いだろ。実は最上級だったりして」
「戯けた事を言うな。最上級はおるが、妾はただの上級精霊だ。最上級精霊が簡単に、召喚される訳が無かろう」
「上級精霊は簡単に召喚されたけど」
「・・・・・・たまたまだろ」
「目をそらしながら言うなよ」
「他に聞きたい事は?」
「強引いにそらしたな・・・。一昨年の夏休みで、召喚した精霊が召喚者を殺した話が聞きたい。何故そこまで召喚者が気に食わなかったんだ?」
「召喚されて早々、召使だとか隷属だとか奴隷だとか精霊実験だとか。色々言われ腹が立って、その召喚者を殺めた。そう言っておったな」
「いきなり召喚されて召使や奴隷何て言われたら、頭に来るな。だけど殺す必要あったか?」
「そいつが死なねば、違う精霊が犠牲になるだろ。あの場で殺めたのが正しかった事だ」
「何で精霊を召喚しようとしたんだよ・・・。一体何がしたかったんだ?」
「さぁな。だが酷い扱いをしようとしてたのは、確かな事だろう。ところで主よ。召喚札を買って、また何かを召喚しようと考えておらんか?」
「考えて無いけど。もし考えていたら、どうするんだ?」
「止める。もし召喚者を殺めた奴が出てきたらどうする。主が殺められるだろ。殺められなかったら、邪魔者が増えるだろ」
「邪魔者が増える・・・。邪魔者扱いは酷いだろ」
「酷くない。そもそも妾以外の精霊は必要無い」
「言い切ったな。まぁ召喚する気は無いけど。・・・複数使い魔がいても大丈夫なのか?」
「それは召喚者次第だな。反りが合わぬ奴もおるだろう。そう言うのをどうにか制御しなければならんな」
「うん。召喚はやっぱりしない方がいいな。緊急時以外は」
「緊急時になれば召喚する気か。召喚者を殺めた奴と、妾と同格じゃなければ許そう」
「緊急時は許してくれるんだ」
プリシラと喋っていると、ドアがノックされる。オレは許可をするとイリナさんが入って来る。
「珍しいですね。イリナさんが来るのは」
「はい。今回は早く終わったので、わたしが来ました」
「2人っきりは終わったな」
「退出しましょうか?」
「いやしなくていいぞ。特に如何わしい事はしていないしな」
「如何わしい何てするもんか」
「仲がよろしいですね」
「はい」
何でちょっと残念そうな顔で言うんだ?