第16話 運動会その2
3年の使い魔と二人三脚、1年の玉入れ、2年の二人三脚などが終わり。午前中最後の種目、1年の徒競走が始まる。
さて遂に始まるのか。オレが1位取れなくても、他の人が取ってくれるだろう。あ、1レースめが始まる。
「位置について。よーい、ドンッ!!」
生徒か一斉に走り出す。
「さぁ始まりりりりりりりりり!?!?」
流石の実況者もビックリするよな。オレもビックリするもん・・・。
「速い! 速すぎる! 2年と3年よりも明らかに速い! あれはどのクラスの生徒だぁぁぁぁぁぁぁ!? ん? あ、Cクラスですか。ただいま入った情報では、Cクラスの生徒ようだ!」
「確か1年Cクラスの担任の先生は、今年入ってきたイゼベル先生でしたね。イゼベル先生は元冒険者で、ランクはSランクでしたね。物凄く腕が立つので喧嘩売る際には気を付けてください。告白する時も気を付けてください」
実況しろよ。走っている生徒たちをちゃんと見ろよ。
「あぁいつの間にか終わってますね。第2レースが始まりました。あ、やっぱ―――」
「速過ぎるぞCクラスゥゥゥゥゥゥゥ!! 何なんだ一体Cクラスに何があったんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 今年の1年は化物の集まりかっ!?」
「・・・ここでイゼベル先生に解説してほしいんですが、本人曰く「トラウマになる奴がいるから無しだ。後普通にメンドクセェー」とのことです」
流石がイゼベル先生。いつも面倒事が嫌なんですね。
「ここまでCクラスが速いと、流石に他のクラスが可愛そうに見えますね」
「次は第3レースですが。もうここまで来ると分かります、どうせCクラスが1位になります」
あっ、もう実況を放棄してる・・・。
実況者が言う通りに、次々とCクラスの生徒たちが1位取っていく。その度に実況者は叫びだす。
「さ・・・最後の・・・レース・・・です・・・」
休んだら? 実況休んだら?
「位置について」
号令が始まり、オレはクラウチングスタートの体勢を取る。
「・・・えっと、そのポーズは何ですか?」
「・・・・・・あ、オレですか?」
「はい」
「えっと、走るためのポーズですか。ダメですか?」
そう言うと号令をかける生徒は、他の人に向かってジェスチャーをする。ジェスチャーが終わりこっちを向く。
「大丈夫ですよ」
「分かりました」
「では改めて。位置について。よーい、ドンッ!!」
オレたちは走り出す。先頭に立ち、オレはすぐにゴールに着く。
「なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!? ど、どう言う事だこれはぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 一瞬、一瞬でゴールに着いていた!! 何て速さだ! アイツは人間なのか!?」
人間だよ!!
「っとここで、他のクラスから「反則だ!」とか「魔法を使っている!」っと声が上がっています。えぇっと・・・。Cクラスのラザ選手は特に反則はしてません。最初の走る体勢は許可が出てるので、反則ではないですし、速過ぎではありますがちゃんとコースも走ってました。魔法が使っているのではないかと言う事ですが、特に魔法が使われた跡がないので、特にズルをしたという事はありません。残念!」
「さぁ全選手が走り終わりました。結果を言いますと、1位が全てCクラスになってしまいました! これはどう言う事だ!? 一体Cクラスの選手は何をしたらこんなことになるんだ!?」
全てはイゼベル先生のお陰です。
オレ含めて生徒たちは退場する。その後は昼ご飯が配布されて、好きな場所でお昼を食べる事になった。
「オレたちは自分たちの席で食べるか」
「クゥ」
貰った昼ご飯を持って、自分の椅子の所に行って座る。
「ストーップ! ラザは何先に食べようしてるの!?」
「えっ、だってお腹が空いてますし」
「クゥ~」
「そこは一緒に食べるところだよね!? エメリーも何とか言ってよ!」
「ラザさん。そこは少し待っているところですよ。こんな事は滅多にないんですから、一緒に食べましょう」
それはエリオットに言えよ・・・。と言うか、本来はエリオットがこうなるのだが・・・。何故オレになる? 待てよ。このままここにいるとあの2人も・・・。
「ってどうしたの!? 急に顔が青くなってるけど!!」
「だ、大丈夫ですよ。早くご飯を食べましょ」
「あっ、良いんだ。よし食べよう!」
エメリー様たちは椅子に座って、昼ご飯を食べる。
「・・・ペールさんは何を食べてるんですか?」
「ペールはペールで他のを食べてますよ。午後の最初の種目は使い魔徒競走から始まるので、あまり量はないですが」
「ふ~ん。それって足りるの?」
「契約した使い魔はご飯食べなくても、特に問題はないので少なくても平気ですよ。でもやっぱり食べた方がやる気は出ているようですよ」
「そんなこと言ってたね。アタシもミスベルにも昼ご飯あげた方がいいかな?」
「それは貴女の判断に任せますよ」
「私は普通にあげてますが、あまり嬉しそうに食べてくれないんですね・・・」
「生肉でも食べさせれば? ドラゴンだし」
「あるいはクリスタルでも食べさせればいいのでは?」
「・・・ラザさんは真面目に考えてますか?」
「全く」
「「・・・・・・」」
「何ですかその顔は?」
「いや、ラザも冗談を言えるんだなぁーって」
「意外です・・・」
そう言えばそんなに冗談を言ってなかったな。あまり冗談を言うと・・・、考えたくないな。
昼ご飯を食べて、その後午後の運動会が始まる。オレとペールは使い魔徒競走に出るために移動する。ロザリー様とクリス様がこっちに来なくて良かった。
「1年生の使い魔徒競走が間もなく始まります」
「1年生・・・。つまりまたCクラスが全て1位を、かっさらうっと言う事ですか!」
「いやいや流石にそれは・・・。っと、今は始まりました!」
1レース目が始まると、Cクラスの使い魔が先頭に立つ。
「速い!? 1体の使い魔が圧倒的に速いぞ!! この使い魔の主はまさか、まさかCクラスの使い魔なのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「今ゴールしました! 1位なったのは・・・、やはりCクラスの使い魔のようです!!」
「これはどういう事だぁぁぁぁぁぁ!? まさか使い魔までもがあり得ない速さで走る事になっているとは! これはもう1位争いではなく、2位争いになってしまったぞ!!」
ホント他クラスの皆さんには悪い事をしたような・・・。これはもうイゼベル先生のせいだな。
他の使い魔が走り終え、ついにペールが走る番になる。
「おぉっとこれは非常に珍しい『アイスフォックス』だ! アイスフォックスの主は・・・。ッ! ラ、ラザ選手が主です!! これはもう1位確定だぁぁぁぁぁ!!」
確定って・・・。もしかしたらペールが転んで、最下位なってしまうかもしれないだろ。
「位置について。よーい、ドンッ!!」
一斉に使い魔が走り出す。その中でペールが先頭に立つ。
「先頭はやはりペールだ! 走る走る、モフモフが走る! そのまま曲がり一気にラザ選手に向かって、ゴォォォォォォォォォォル!! ラザ選手、ペールを抱きしめて撫でまわす! 一心不乱にペールを撫でまわす!」
「――――――ッチ、モフモフ撫でまわしやがって・・・。そこを変われよ、ウチも撫でたいよ・・・」
「私の隣で嫉妬に駆らえてますが、私も嫉妬に駆られてます! 今すぐモフモフさせろ、今すぐだ!」
何か視線が痛いが気のせいだろう。
その後他の使い魔が走り終え。結果、1位はCクラスが独占した。