IF65話 隠してる
話している途中で、オレは洗い物をする。洗い物をしていると、エメリー様たちが来る。
3人戻ってきてるけど。もしかして3人で入ったのか? よく風呂に入れたな。
「今上がりました」
「ん。ラザ。先に行ってこい。わたしは最後に入る」
「分かりました」
「では行こうか」
オレとプリシラは風呂に入りに行くが、オレはリビングのドアの所で止まる。
「ちょっと待てプリシラ。お前まさか一緒入ろうとしないか?」
「入ろうとしてるが」
「1人で入れ。家ならまだしも、ここはイゼベル先生の家だ。かなり恥ずかしい。それに見ろ。先生たちが驚いてる」
「い、家では一緒に風呂に入ってる・・・。多分だけど。プリシラさんが入って行ったんだろうねぇ」
「アイツはそこまで関係か・・・。オメェーらどう思うって、2人は顔を赤して両手で隠してるな」
「だろうね。2人で入ってくればいいじゃん。こっちは気にしないよ」
「そうだぞぉ。わたしたちは特に気にしねぇよ」
「嫌ですよ! どうせ弄る為のネタが欲しいだけですよね!?」
「うん。それ以外に何があるの?」
「やっぱり! オレは絶対に1人で入るぞ」
「まどろこしい。ほれ行くぞ」
オレはプリシラに持ち上げられて、風呂に連れて行かれる。
「あ、連れて行かれた」
「良い弄りネタ手に入ったな。で、オメェーらはこれかどうする?」
「折角だから。アタシもエール飲むよ。校則では禁止されてないし」
「そうか。なら飲め飲め」
わたしは空間からジョッキを出して、エールを注ぐ。
「ありがと~」
エディスはジョッキを持って、エールを飲む。
「良い飲みっぷりじゃねぇか。ほらつまみも食え。手で掴んで食う食べ物だ」
「これをぉ~?」
エディスはポテトチップスを掴んで食べる。
「おぉ沢山食うなぁ。あんまり食うと、わたしの分が無くなるんじゃねぇか」
「だって美味しいだもぉ~」
顔が赤いな。エディスはもう酔ってるのか?
「ところで。2人はいつまでそうしてる気だ? こっちに座ったらどうだ?」
「「は、はい・・・」」
2人は椅子に座る。
「ま、まさかラザさんとプリシラさんが。い、一緒に風呂に入ってるん何て・・・」
「自分も驚きました。ラザ先輩から、いやプリシラさんからですよね」
「ラザが自分から一緒に入ろう何て言わねぇだろ。アイツは押しに弱そうだな」
「言えてるかもぉ~。意外とラザってそう言うのは、初心だろうしねぇ~」
「エディスさん。酔ってませんか?」
「多分ねぇ~。せんせーおかわり~!」
わたしはエディスのジョッキを持って、エールを注いでエディスに渡す。
「エディス先輩。飲み過ぎには注意してください」
「わかってるよぉ~。それにしてもラザはぁ、色々隠してるよねぇ~」
「隠してるだぁ? アイツは何を隠してるんだ?」
「色々だよぉ~。例えばぁ、プリシラさんを召喚した時とかぁ」
「そう言えば驚いたと言うより、何故? って感じでしたね。実は前からプリシラさんを、知っていたんですかね?」
「あり得るよねぇ。何で知ってるかは知らないけど、もしかしたらラザは未来でも見えてるのかなぁ」
「それはねぇだろ。仮に見えていたら、こんな行動とるか?」
「とらない、ですね。なら未来は見えて・・・。でもだとしたら・・・」
「どうしたんだ?」
「姉上から聞いたのですが。何でも屋のルイスを捕まえる時に、ラザ先輩はルイスの居場所をすぐに見つけていました。しかもその男性が何でも屋のルイスだって事も」
「・・・・・・確かにちょっと可笑しいな。ラザは何故迷わず、あの男をルイスだと判った? 顔も性別も判って無いのに何故すぐに判った・・・」
「分かりませんね。でも何処かで情報を得ていたんじゃないですか?」
「仮にそうなら、何故教えなかった」
「事情があったと思いますよ。いくらルイスの事が判っても、それを誰かに話しても信用してくれますかね?」
「簡単には信用しねぇよな。だから1人で。いや2人でやったのか」
「姉上は・・・。まぁ何もしてませんね。そもそも何のために、ラザ先輩たちと一緒にいたんでしょうか? 何もしないなら、何処か行った方がよかった気がします」
「ひでぇ言い方だな。クリスは2人が何かすると分かっていて、後をついて行ったんだろ」
「そうかもしれませんが。あの姉上の事です。どうせロクでもない事を、考えていたに決まっています」
「随分根に持ってるな。この話はここまでにしておこうか。わたしとしては、こっちが聞きてぇからな」
「何でしょうか?」
「オメェーらに聞くが。ラザの事好きなのか?」
「「はい!?」」
「アタシは好きだよ~」
「「ええええええっ!?」」
「だってぇ。何だかんだでちゃんと見てくれるじゃん。いろいろおしてくれたりぃ、しんぱいもしてくれるしぃ。それにぃ」
「「「それに?」」」
「それにぃ―――」
エディスは寝始める。
「ッチ。完全に寝やがったな」
「それで良かったと思いますよ。言ったら明日からどんな顔をして、ラザさんに会えばいいか分かりませんからね」
「だな」
「―――風呂から上がりましたよ、って。何でエディスさんは寝てるんですか?」
「酒を飲みたいって言っていたから、酒を飲ませたら。酔って寝た。酒が弱いとは思ってなかったがな」
普通未成年者に飲ませるか? ここでは成人だけど。
その後イゼベル先生から客間と、2階の部屋を話してくれる。エディスさんはエメリー様たちに、客間に連れて行かれる。俺は洗い物をしてから、プリシラと一緒に2階に上がって使って無い部屋に入る。入ったら空間から大きめの寝袋を出して寝る。
次の日。目が覚めて上半身を起こす。寝袋から出て、少しボーっとする。ボーっとするのを止めて、プリシラを起こして寝袋を空間の中にしまう。部屋から出てリビングの方に行く。ドアを開けて中に入ると、イゼベル先生がいたが。すぐにプリシラに目を隠される。
「主の前でその姿は止めよ」
「あぁ? わたしの家だぞ。家の中でどんな格好しようが、わたしの勝手だろうが」
「そうだが。主がいる前では止めよ。今すぐ着替えろ。着替えぬなら・・・」
「分かった分った。流石に精霊と戦えねぇよ」
何かよく分からない状態だったが。多分だがイゼベル先生は、まともな服を着てないようだ。
「全く。あの格好は無いだろ」
「プリシラが言えた事じゃ無いと思うが」
プリシラは両手をどかす。オレは台所に行って、朝ご飯を作る。朝ご飯を作っていると皆が来る。途中でエディスさんが手伝ってくれる。出来たらテーブルに置いて、椅子に座って朝ご飯を食べる。
「ラザ。お前はプリシラと風呂に入るだけじゃなく、寝る時も一緒なんだな」
「っ!?」
急にイゼベル先生が変な事を言いだしたので、オレは食べていたものが少し気管に入って咳き込む。
「――――――急に何言いだすんですか!?」
「なに朝のお返しだ。昨日寝る時にラザの寝顔でも、見てから寝おうとしたが。まさかプリシラと一緒に寝てるとはなぁ。いつもそうなのか?」
「答えませんよ。言っても先生方には関係ないですよね」
「いつもに一緒に寝ておるぞ」
「何お前は喋ってるんだよ!?」
「い、いつも一緒に・・・」
「やっぱりの召喚した時から色々あったんだ・・・」
「ラザ先輩は本当に押しに弱い・・・」
「この話はここでお終いですよ! 早く朝ご飯を食べますよ!」
オレが強引に話を終わらせる。食べ終わったら片づけをして、先生の家から出る。その後は買い物をしながら寮に戻るが、道中かなり弄られた。




