IF64話 知らない事を
店から出て数分後、イゼベル先生の家に着く。
「・・・2階建ての家ですか。これで金貨2300枚は高すぎですよ」
「この家は風呂があって、何個か魔道具があるから高くなっているんだよ」
「そんなに高いもんですか? 因みにローンはいくら残ってるんですか?」
「ローンなど無い。わたしは一括で買ったからな」
金貨2300枚を一括で!? カッコいい・・・。
「・・・主よ。あの教師に惚れてはおらんよな?」
「大丈夫。まだカッコいいだけで済んでるから」
「なら良いが」
イゼベル先生は敷地に入りドアを開けてる。オレたちも付いて行って、イゼベル先生の家に入る。
「「「「お邪魔します」」」」
「邪魔する」
「玄関は少し広いね。でももう入らないかも」
「靴は脱いでくれよ。この家は土足禁止だからな」
この家って日本式なんだ。それにしても玄関だけでこの広さ。きっとリビングも広いんだろうな・・・。
靴を脱いでリビングの方に行く。リビングに入ったら、オレとプリシラはある物に目が入る。
「これは電子レンジではないか? いや電気動いて無いから、魔道具か」
「まさかこんなのがあるとは・・・。変な所で現代技術があるなぁ」
「知ってるのか? わたしはあまり使ったことが無いから、どんなものかは知らん」
「凍っている食べ物を解凍したり、食べ物を温めたりするものですよ」
「ん~、アタシの商会では扱ってないかな。アタシも今初めて知ったしね」
「私も初めて知りました」
「自分もです」
「まだ他に魔道具はあるんですか?」
「あぁあるぞ。ちょっと待ってろ」
イゼベル先生はどかに行く。待っていると戻って来る。
「この魔道具だな。これは掃除が楽になったな」
「掃除機だな。どう見ても掃除機だな」
「本当に変な所で現代技術がある・・・」
「よく分からねぇが。2人はこれを知ってるんだな。何処で知ったんだぁ?」
「プリシラから聞いただけですよ。先生は掃除するんですね」
「するだろ。わたしを何だと思っている?」
「掃除が面倒な人だと思いましたが」
「ついでに言えば、料理も出来ない人だと思ったが」
「常にお金に困ってる人だと思った」
「常にお酒がいっぱいあると思いました」
「家の中はゴミでいっぱいいっぱいになってると思いました」
「オメェーら言いたい放題な・・・。んな事より。最近吸い込みが悪くて困ってるんだ」
「吸い込みが悪いんですか? フィルターに何か、詰まってるんじゃないですか? フィルターにゴミなどが詰まってると、吸引力が落ちるんですよ」
「そこにもゴミが付くのか?」
「細かいゴミがね。何処かボタンはありませんか? そこを押すと少し取り外しが出来ると思いますが」
イゼベル先生は掃除機に付いている、全てのボタンを押す。すると最後に押したボタンで、掃除機の一部が取り出せた。オレはフィルターをすぐに見つけて、それを取り出す。
「わ、汚い!」
「確かに汚いですね。これを掃除すれば改善されると思いますよ」
「このフィルターも掃除しねぇといけねぇのか。メンドクセェー・・・」
オレはフィルターをイゼベル先生に渡す。イゼベル先生は台所に行ってフィルターを綺麗にする。
「この掃除機も魔石で動いてるのか? 何処に付いてるんだ?」
「さぁな。ヘタに弄ると壊れるぞ」
「そうだけど。魔石は消耗品だろ。ならすぐに取り付けたり、取り出したり出来るはずだが。こう言う時に説明書あれば・・・」
「探すのか? 怒られるだろ」
「怒られそうだな」
「ねぇラザ。そのそうじきも、プリシラから教えてもらったの?」
「はい。プリシラはオレが知らない事を、よく知ってるんですよ」
「(本当は主の過去の記憶だがな)」
「やっぱり精霊になると、アタシたちが知らない事を知ってるんだねぇ」
「精霊界にはそう言った物が、存在してるんですね」
「そうだな」
「―――よし洗い終わった。時間が丁度いいから、作ってもらうぞ」
「本当に作らせるんだ・・・」
「私はてっきりイゼベル先生の手料理を、食べれると思いました・・・」
「わたしが作った料理何かを食うより、オメェーらの料理を食った方がうめぇに決まってるだろ」
「まぁ信用されているなら、別にいいかな。じゃあ自由に使わせてもらうよ」
「壊すなよ」
エメリー様とエディスさんはご飯を作り始める。
「ラザ先輩。仮にここでイゼベル先生の手料理を食べたら、マルル先生に何て言えばいいんでしょうか?」
「何も言わない方がいいかと。知ったら何て言われるか・・・」
「分かりました。自分たちも作りましょう」
オレとサラサ様は台所に行って、料理を作る。時間が経つと料理が出来る。プリシラとイゼベル先生は出来た料理を運ぶ。オレたちは椅子に座りご飯を食べ始める。食べ終わったら食器を片付ける。片付け終わったら、先にエメリー様たちが風呂に入る。オレはその間にポテトチップスを作る。出来たらプリシラに運んでもらい、イゼベル先生の所に行く。
「・・・何だこれは?」
「ポテトチップスですよ」
「ポテト・・・チップス? よく分からんが酒に合うのか?」
「さぁ? オレはお酒を飲んだ事無いので、分かりませんよ」
「何だ、飲んだことは無いのか。なら飲んでみろ」
「嫌ですよ。プリシラにも言いましたが、酒は20になってからですよ」
「15から飲めるだろ。お前まさか。酒を飲まされそうになったら、いつもそう言って言い訳をするのか?」
「そうですよ。これだけは絶対に破る気は無いですよ」
「変わってる奴だな。これはそのまま手で掴んで、食べていいのか?」
「はい」
イゼベル先生は1枚掴んで食べる。美味しかったらしく、酒を出して飲みだす。3人で話して、風呂に入ってる3人を待つ。




