IF63話 意外と暇
休みの日。オレたちは学園の校門前に着く。少し早く来すぎたかも、って思ったがそうでもなかった。既にイゼベル先生以外来ていた。
「集まるのが早いですね。言うのは失礼だと思いますが、意外と暇なんですか?」
「別に暇だったからじゃないよ。ただ楽しみだったからだよ」
「何時くらいに集まったんですか?」
「2時ですね」
「1時間早く来たんですか? その間暇になりませんか?」
「暇じゃなかったですよ。ラザさんが一体どんな服を着て来るかを、考えて待ってましたので」
「え・・・。それは男性が考えると思うんですが」
「じゃあラザは。アタシたちがどんな服で来るか考えた?」
「全く考えてませんが」
「何も思ってなかったな。妾も同じだがな」
「酷いねぇ・・・。もうちょっと考えてくれてもいいじゃん」
「そんなの考えていたら、ただの変態ですよ」
「流石に服くらいで変態扱いしないよ!」
「どうでしょうかねぇ・・・。男性は怖い生き物と言いますが、女性も同じで怖い生き物ですよ。いつどこで変態扱いをしてくるか、分かりませんからね」
「しないって! 一度もしてないでしょ!?」
「そうですね。でも今後の事を考えると・・・」
「だからしないって! よっぽどな事がない限り、変態扱いはしないよ!」
「そうですよね。エディスさんがそんな事しませんよね。聞いて安心しましたよ!」
「・・・・・・アタシって弄られてた?」
「そうですね。珍しい事もあるんですね」
「いつもならエメリーが弄られるのに、今日は何でアタシが弄られてんだろ・・・」
「たまたまですよ。エメリー様は何か言いたいようですね」
「私は弄られ担当じゃないですよ!」
「「「えっ?」」」
「何で3人で驚くんですか!?」
「・・・・・・随分と仲がいいですね。いつもこんな感じなのですか?」
「いつもこんなだよ。大体アタシとエメリーが、話を振るって感じかな。ラザから話しかけてくる事なんて、ほぼ無いからね」
「そうなのですか?」
「はい。ラザさんから何か話題を振ってくるのって、あまり無いですね。さっきみたいに話を振ってくるのは、稀ですよ」
「稀と言われるほど、話しかけて無かったですかね?」
「うん。全然話しかけてこないね」
「意識してませんでしたね」
「もう少し人付きを良くした方が良いよ」
「考えておきますね」
「―――オメェーら来るのがはぇーよ。いつからいたんだ?」
「あ、イゼベル先生。オレとプリシラは2時半過ぎに来ましたが」
「アタシたちは2時に来たよ」
「はぇーよ。ラザとプリシラ以外来るのがはぇーよ。暇だっただろ?」
「そうでもないですよ。色々話題は尽きなかったので、暇では無かったですよ」
「気付いたらラザ先輩が来てましたしね。ところで。イゼベル先生の私服姿を、見るのは初めてです」
「初めて? 学園にいる間も私服を着ているのだが」
「アレが私服だと? どう考えても仕事で着る服だろ」
「どう考えても仕事着だな」
「わたしが私服と思ったら、それが私服だ。それよりも、ラザの私服を初めて見たぞ」
「あ、自分もです」
「ラザの私服って、あまり見ないよね~。見たのは1年生の夏休みだっけ?」
「あぁそうですね。それ以降は一度も、どっか行ったりしませんでしたね」
「お前は誰かと一緒に、何処かに行かねぇのか? プリシラ以外でな」
「・・・使用人の人たちと」
「使用人も含めねぇよ」
「なら今回が初めてかもしれませんね」
「お前は・・・。まぁいい。今から買い物に行くぞ」
「先生。買い物って、一体何を買うの?」
「食材や調味料だ」
「食材と調味料? 先生が作ってくれるの?」
「わたし1人なら作るが、オメェーらに作らせるためだ」
「「え?」」
「ちょっと待ってください。ラザさんたちから聞いてませんよ」
「だって言ってませんし」
「言う必要は無かったからな」
「仮に言ったら来ないと思います」
「・・・アタシたちが呼ばれたのって、料理をさせるため?」
「半分はそうだが、半分は違うな。分かったら行くぞ」
イゼベル先生が先に行って、オレたちはイゼベル先生について行く。街の方に着いて、食材などを買うために店に行く。店に着いたら中に入る。
「スーパーだろ。色々揃ってるぞ」
「たまたまかもしれんぞ。ほれ中を見るんだろ。先に教師たちに言っておいたぞ」
「ありがと。じゃあ見て回るか」
オレたちは見て回る。お菓子コーナーが無いのは、ちょっと残念だ。
「あ、調味料コーナーだ」
「もしかしたら砂糖や胡椒以外の物が、あるかもしれんぞ」
「あるといいな」
調味料を見て味噌や醬油を探してみるが無かった。代わりにコンソメを見つける。
「マジか! コンソメ売ってるよ! でも値段は高いだろうな・・・。値段は・・・、銀貨60枚。塩より高い。砂糖はこんな値段だしな。日本だったらこれより、安く買えるんだろうな」
「これがコンソメか? 主の記憶でしか見てないから、判断がつかんな」
「コンソメだよ。何個か買っておこう」
コンソメが入った瓶を何個か取る。その後イゼベル先生と合流して買い物を終わらせて、イゼベル先生の家に行く。




