IF61話 過保護
春休み。ロザリー様たちが卒業して春休みになる。
「まぁ卒業試合は楽しめたと言えば、楽しめたな」
「見てるだけだったけど。何故か楽しめる。アレって何だろうな?」
「さぁな。しかし驚いたな。選手が入場した所を見たか? あの出入口が塞がれたな」
「戦っている最中に、攻撃がそっちに行かないようにしてるんだろ。後は選手が逃げださせないようにだろ」
「逃げるのは許され無いってやつか。次は主が戦う事になるのか?」
「そうだな。冒険科の3年生はオレだけだし。仮に途中で入って来ても、代表はオレになるよ」
「途中から入って来た人が代表にはならんか。そうなると妾はどうなるんだ?」
「原則使い魔の出場は禁止だから、精霊界にいるか観客席で見るしかないな」
「妾もおれば、すぐに終わると思うのだがなぁ」
「プリシラが出たら駄目だろ・・・。でも精霊魔法は禁止されて無いから、卒業試合の前に魔力を精霊の魔力にすれば・・・」
「それしかないな。精霊魔法の力を思い知らせるには、その方法しかないだろうなぁ」
「あまり使いたく無いけどな」
「仕方がなかろう。使い魔の出場は禁止されてるんだ。なら代わりに妾の力とも言える物を、主に貸しても特に問題は無かろう」
「確かに無いけど。そろそろ始めるか」
「うむ。では先ずは寄生種を創ってもらう。教えた通りにやれよ」
オレはプリシラに教えてもらった通りに、寄生種を創ってみる。
「よしできた。かなり魔力を使ったような気がする・・・」
「最初はそんなもんだろ。その寄生種を相手の口に入れて体内に入れるか、相手の身体に撃ち込んで体内に入れる。好きな方法でやってみろ」
「2つとも難しい気がするんだが。やる前に先ずは魔物を見つけないと」
今いる場所は王都の北にある森にいる。今回は先生はいない。本当なら先生がいる必要があるが、その先生が別件で忙しいのでいない。代わりに騎士がいる。
「こう見ると。かなり過保護だよな。何か遭ったらマズいのは分かるけど、ここまでしなくてもいいんじゃないか?」
「そこまでしないと親が怒るのだろ。最悪死ぬからな。特に主は厳重にするだろうな。その原因は妾だろうな。・・・すまんな」
「別にいいって。怒ったところで何にもならないし。そもそも気にしてないしな。それよりも魔物だよ。全然この辺にいないぞ・・・」
「・・・こっちの数が多いからだろ。数に警戒をして魔物たちは息を潜めておるか、迂回をしているかもしれんな」
「数のせいか・・・。もう少し人数を減らしてほしいけど。無理だろうな」
「人数が減って、主が危険な目に遭って死にました。何て言われたら。護衛をしている騎士は全員クビか、極刑だろうな」
プリシラがそう言うと、騎士たちは頷く。
「だよなぁ~。さてどうしたものか。・・・前みたいにプリシラが、連れてきてくれるか?」
「そうしたいが。前はメイドのヴィクトがおったから出来たが、今回は誰もおらんのだ。流石に出来んよ」
わぁ・・・。ハッキリ言っては無いけど。よはここにいる騎士たちじゃあ、護衛にもならないって事だろ。
「―――ラザ様。ホーンラビットを見つけました」
「何処にいますか?」
「あちらです」
騎士が指を指してる所を見る。オレはその場所を見てホーンラビットを見つける。オレは気配遮断をして、ホーンラビットに近づく。近づいたら、手で捕まえて無理やり寄生種を飲ませる。完全に飲み込んだら地面に下ろす。ホーンラビットは寄生種を吐き出すとするが、吐き出す事は出来ずに身体から木の根っこが出てくる。ホーンラビットは俺の所まで来て、頭を下げる。
「これで出来たのか?」
「あぁ。後は命令すればいいだけだ」
「命令する事なんて無いんだけどなぁ。どうしよ・・・」
オレは少し考える。考えた結果。特に命令する事が無い。元々寄生種が使えるかどうかを、試したいだけだから命令とか考えてなかった。
「―――そうだ。何でもいいから魔物を探してくれ」
命令をすると、ホーンラビットは頷いて魔物を探しに行く。オレはその間に寄生種を創る。創り終わったらオレは後ろに倒れるが、地面に着く前にプリシラに支えてもらえた。
「もうほとんど魔力が無い・・・」
「2個が限度か」
「なぁこれって魔力ポーションを飲んでも、意味ないよな?」
「そうだな。回復するにはこのままでいるか、譲渡をするかだな。今主に触れておるから譲渡が出来るぞ。ちと時間がかかるが」
「それ以外の方法は?」
「キスだな」
「普通の譲渡でお願いします」
「流石にこの人数いる中でキスをするのは、中々度胸がいるよな」
プリシラから魔力を譲渡される。時間が経つと魔力が完全に元に戻る。オレはプリシラから離れる。
「ありがと。・・・かなり身体が軽くなったな。どうなってるんだ?」
「精霊魔力のせいだろ」
「何かこう軽くなると、もう普通の魔力に戻したくないものだな。あ、戻って来た」
ホーンラビットはこっちに来る。オレはホーンラビットに、場所を案内してほしいと言うと。ホーンラビットは案内をしてくれて、魔物がいる所に着く。
「・・・なぁアレってフォレストタイガーじゃないか?」
「そうだな。ほれサッサと寄生種を撃ち込んでやれ」
「何で疑問とか持たないんだよ・・・」
オレは持っている寄生種を、フォレストタイガーに撃ち込む。撃ち込まれたフォレストタイガーは、暴れ回ると木の根っこが出てくる。フォレストタイガーはオレを探して、見つけたらオレの所まで来て頭を下げる。
「フォレストタイガーも寄生出来ちゃったよ・・・」
「これくらいは余裕だ。次はどうする?」
「終わりだよ。流石に魔物がいなくなってるだろ」
「・・・・・・確かにおらんな。なら魔物を殺めろ」
「酷い・・・。生かして解放するよ。今回は狩りが目的じゃないし」
オレは2体に命令をする。2体は何処かに行って、オレは寄生を解く。寄生が解くのが分かったら、王都に戻る。