IF57話 疑問に
職員室で中に入って、再度ルイスさんから説明を受ける。それが終わったら南門の詰所に行く。
「来たか。話は聞いている。これが魔法を封じる魔道具だ」
門番の人から魔法を封じる魔道具を受け取る。オレは片手を自分で付ける。
「プリシラ。もう片方も付けて」
「主よ。もうちと躊躇しろ。いくら偽物とは言え手錠だぞ」
「玩具みたいなもんだろ。それなら子供の頃つけた事がある。ただあの時は、鍵が何処にいって探すのが大変だった・・・」
「何をしておるのだ・・・」
「さっきも言っていたが、偽物だから普通に魔法は使えるぞ。後、その気になれば引き千切る事も出来るぞ」
これを引き千切れるのか? 使っている素材が違うなら、引き千切れるかもな。
プリシラに片手を付けてもらう。そのついでにプリシラは、エメリー様に手錠を付ける。
「・・・何でしょうかねぇこの背徳感は。全く悪い事をして無いのに、濡れ衣を着せらて、無理やり手錠付けさせている気がします」
「自分はとんでもない事をした気がします・・・。今日でクビにされる気がします」
「大丈夫ですよ。ちゃんと演技だと分かってますから」
「はい・・・」
「ついでに足でも縛っておくか。その方がもっと捕虜らしい」
「プリシラ。それはやり過ぎだ」
「そうか? 妾はそうは思わんがな」
「お前は・・・。オレ以外どうなっても良いって思ってるだろ」
「思っておるが。他者がどうなろうが、全て些事だ」
「酷い・・・」
「とにかくこれで人質は出来た。先に謝っておくぞ。すまないねぇ。お仲間さんに信用されるように、2人を殴ったり蹴ったりする」
「それは覚悟の上ですよ。本気で来てください」
「・・・この第2王女様はかなり強気だねぇ。ちょっと遠慮しちゃいそうぉ」
「本人が良いって言っておるんだ。本気でやれば良かろう。主にやったら殺めるぞ」
「プリシラ。少しは落ち着け」
「騎士のアルバです。使い魔は私が案内をします。ついて来てください」
「ふむ・・・。主よこの小僧が変な事をした場合は、ぶちのめしていいのか?」
「殺さないようにぶちのめせ」
「だそうだ小僧。変な事はするなよ」
「わ、分かっております・・・」
「ミラワール。あの人について行ってください。勿論変な事をして来たら、軽く痛めつけてください」
ミラワールは頷く。プリシラとミラワールは、アルバさんについて行く。
「ん~。去年も精霊を見けど。やっぱりえ―――」
「それ以上言ったらその顎砕きますよ」
「そ、そいつはすまねぇ・・・。じゃあ森に行きますかぁ」
ルイスさんはフードで顔を隠す。ルイスさんついて行って、詰所から出て南門から出る。そのまま道から外れて森に入る。そこには2人の男性がいた。
「随分と来るのが遅かったじゃないですか。一体何をしていたんですか?」
「ちとこの男が暴れちゃってねぇ~、中々連れて来れなくって」
「放せよ庶民が風情が! 汚い手でオレ様に触れるな、薄汚い汚れが付くだろ!」
「うるさいガキだなぁ」
オレはルイスさんに腹を殴られる。その場でオレは膝が地面に着ける。
「(おいおい変わり過ぎじゃない? おっさんびっくり)」
「(ラザさんは何処で、そんな演技を身に付けたのですか??)」
「おい何でも屋、あまり傷付けるな。1人は分かるがこの男は誰だ?」
「この男が精霊を使い魔にした奴だ。よくいるボンボンの奴だがな。名前は後で聞けばいいだろ」
「精霊を!? 本当に精霊を使い魔にした人がいるんですね。過去にもいたと話は聞きますが、まさかこんなガキが・・・」
「コイツはかなり金が貰えそうだぜ。早く移動しようぜ。オイ立てよ」
オレはよろよろと立ち上がる。そのまま男性2人について行く。ついて行くと幌馬車と人攫いの同業者が何人かいる。オレとエメリー様は幌馬車に乗せられる。
「後は目的の場所まで連れて行くだけですね。何でも屋もお疲れ様でした」
「もうこんなのはやりたくないよ。おっさには荷が重い」
「そうですか。では我々はこれで」
話が終わり、幌馬車に人が乗るのが分かる。少ししたら幌馬車が動く。
「あぁおっさんから一言。夜道に気を付けて!」
オレとエメリー様は合言葉を聞く。オレは風魔法で幌馬車を破壊をする。
「なっ!? テメェ何してやがる!」
「こいつらを押さえろ!」
「遅いです!」
エメリー様は素早く押さえようとする人の、金的を蹴ったり腹を蹴ったりする。
「ふ、普通に金的を蹴ってる・・・。恐ろしい人・・・」
「あまりそんな事言わないでください。ただ男性の弱点がそこだったので」
「やっぱり恐ろしい人」
「もう言わないでください! 早くここから離れますよ!」
オレたちは幌馬車から降りて移動する。移動してるとルイスさんを見つけたが、裏切る可能性があるので。警戒をしながら近づく。
「いやいやそんなに警戒しなくてもいいじゃん。おっさんは裏切らないよぉ~」
「どうでしょうかねぇ。ここまで来て裏切る可能性が無いとは、言い切れませんので警戒はしますよ」
「まだ私たちは信用してませんよ」
「何か泣きたなくなるなぁ~。それはそうと、その手錠を外そうか」
オレとエメリー様は、ルイスさんに手錠を外してもらう。
「よしオレたちも」
「既に終わっておる。ほとんどが雑魚だったな」
「早い・・・。人質役とかいらなかったんじゃないか?」
「確実に捕まえるために必要なんだよ。後は大人が引き継ぐから、帰っていろ。一応護衛も付く。何でも屋はこのまま残れ」
「はいよ。じゃあお2人さん、お疲れ様」
「お疲れ様です。先ほどの言葉使いはすみませんでした」
「いいっていいって。そうしないと疑われるからねぇ」
「ラザさんの演技に疑問に思いましたが。お疲れ様です」
エメリー様はミラワールに会う。その後は騎士に護衛をしてもらって、学園の寮に戻る。




