表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/177

第15話 運動会その1

 6月25日。運動会当日。


「宣誓! 我々は魔法を使わず運動能力だけで正々堂々と、競い合う事を誓います!」


 宣誓が終わった後、準備運動して各学年各クラスに移動する。


 この運動会が終わったら、あの地獄の練習をしなくてすむ・・・。来年再来年はどうなるかは知らないけど。


「おーいラザ! こっちこっち!」


 エディスさんに手招きされる。オレはそっちに行く。


 可笑しいな。オレは違う所に椅子を置いたのに、何でエメリー様の隣にオレの椅子があるんだ?


「エディスさん? 何でここにオレの椅子があるんですか?」

「アタシが移動させたから」

「何やってくれてるんですか? オレはペールと一緒に楽しむ気でいたんですが」


「御1人でモフモフ・・・」

「ズルいよね・・・」

「いやいやズルくないですよ。オレが召喚した時にペールが出て来たんですよ。これは運ですよ、運」


「「・・・・・・」」

「その目やめてください」


 オレは自分の椅子に座る。


 それにしても。何で女性の体操着は短パンではなく、ブルマ何だよ・・・。これは開発者の欲望何だろうか? ゲームだけでもアニメだけでも、せめて二次元だけでも実現させたかったのか? おかげでこっちは色々と目のやり場に困る・・・。


「どうしたの?」

「――――――! い、いえ何でもないですよ」

「? 変なの」


 とりあえずオレはペールを呼び出す。呼び出されたペールは、オレの太ももの所に座る。


「むむむむ今日こそは!」


 そう言ってエディスさんは、ペールに触ろうとするが、ペールはエディスさんの手を叩く。


「ううぅぅ・・・。今日もダメだった・・・」

「何度も言いますが。アイスフォックスは自分が認めた人以外は、触られたくないんですよ。エディスさんの使い魔、ミスベルだって同じだと思いますよ」

「そうだけどさぁ・・・。やっぱり触ってみたいじゃん! そうだよねエメリー!」


「はい! 何が何でも触りたいです!」

「ククゥゥゥ!?」


 ペールは驚く。が、すぐに臨戦態勢を取る。


「あ・・・」

「あぁ~あ、エメリーが怒らせちゃった」

「ごめんなさい・・・」


「クゥクゥ」


 ペールは頷きながら臨戦態勢を解く。


「それより3年生のリレーを見なくていいんですか?」

「見る必要ある? 特に仲の良い先輩はいないし」

「科目別とかで会いますよね?」


「ぜんっっっぜん会わないね。会ったとしても、仲良くなれる気がしないね」

「エ、エディスは言い過ぎですよ」

「そうかなー?」


 言いすぎだと思うけど。


 それから3年のリレーが終わり、2年の徒競走も終わり。1年の借り物競走が始まる。


「借り物競走か・・・。ペールは2人が1位になれると思う?」

「クゥ―?」

「ペールに聞いても分からないか」


「クゥ」


 オレたちは借り物競走を見る。特に自分のクラスは仲が良い人がいないので、正直応援をした方いいのか迷ってしまう。仮に応援するならエメリー様とエディスさんくらいだろう。


「クゥ!」

「ん? あぁエディスさんの出番か」


 オレたちはエディスさんを見る。スタートの合図が出て、生徒たちは走り出す。他のクラス生徒たちがテーブルに着いて、テーブルの上に置いてある紙を手に取る。少し遅れてエディスさんもテーブルに着く。


「借り物競走って仲の良いクラスメイトがいないと、色々きついんだよな~」

「?」

「ペールは分からないか」


「ラザー! ちょっとペールを貸してー!」


 エディスさんは走りながら、貸してほしい物を言う。


「と言う事だペール。少しの我慢だ、行ってこい」

「クゥ」


 ペールはオレの太ももから離れて、エディスさんの方に行くが、そのまま追い越す。


「えっ!? ちょ、速いよ!?」


 エディスさんはすぐにペールを追いかける。


 流石だペール。抱きかかえられたくないから、エディスさんを追い越して先に行ってる・・・。でもそのおかげで2位になってる。後はエメリー様だけだが、まだ出番ではないようだ。ペールはこっちを見て戻りたいようだが、この種目が終わるまではそのままだ。


「撫でていい?」

「クゥ」


 ペールは首を横に振る。


「1回だけっ! 1回でだけでもいいから!!」

「クウゥゥゥ」

「アイタッ!?」


 アタシはペールに叩かれる。


「叩くほど嫌なのっ!?」

「クゥ!」

「・・・アタシの事そこまで嫌い?」


「クゥゥゥ・・・、クゥ」

「普通。普通なのね?」

「クゥ!」


「普通・・・。普通か~・・・。はぁ・・・」


 何やっているんだあれは? まぁいいや。最後はエメリー様か。


 オレはエメリー様の方を見る。スタートして生徒たちが走っている、その中で一番遅いのがエメリー様だった。


 確かに運動が苦手そうだな。本当はオレも苦手なのだが、色々鍛えられたから普通に出来るようになってるな。転生をしてから少しは成長してるのか? ・・・ゲームのやり過ぎだな。


 そう考えていたら、種目に出てる生徒たちがいない。周りを見ると生徒たちはクラスの方に行っていて、物を借りていた。その中でエメリー様の探してみると、他学年の方に行っていた。


 あぁロザリー様たちの方に行ったのか。一体何を借りたかは知らないが、借りることは出来たか。ん? 何かクリス様がこっちを見て手を振ってるような・・・。何でこの距離で気付いた!? 何なのあの人!? い、一応手を振っておくか。


 オレはクリス様に手を振る。するとクリス様は嬉しそうな顔をする。


 何であの人喜んでいるんだ? 何か子供みたいにはしゃいでるんだろう? あ、いつの間にか借り物競走が終わってる。


 障害物競走が終わり、種目に出ていた生徒たちが戻って来る。


「クゥ!」

「ハイお帰り」


 ペールはすぐにオレの太ももの上に座る。


「ただいま~」

「お帰りなさい」

「・・・何かお母さんみたいな言い方」


「普通じゃないですか?」

「そうかな・・・。ねぇラザ、そろそろ敬語じゃなくてよくない? もう2ヶ月経ってるし」

「あぁ~これはちょっと癖になっちゃいまして・・・。今更タメ口って言うのは・・・」


「えぇ~・・・。あっ、エメリーが戻ってきた」

「ただいま戻りました」

「おかえり~」


「お帰りなさい」

「ねぇ聞いてよ~、ラザってばまだ敬語は抜けないんだよ~」

「それを言ったら、私だって敬語ですよ」


「・・・あ。何で2人して敬語で話してるの?」

「「癖です」」

「何かアタシだけ仲間外れみたい・・・」


 その仲間の中にオレも含まれているのか? 含まれてそうだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ