IF56話 ドン引き
修学旅行から帰って来て1週間経つ。放課後。オレはあまり使われてない、教室に入る。
「来たか。そこの椅子に座るといい」
去年と同じように椅子に座る。
「二度も接触するとは・・・。去年言っていた事は、冗談じゃなかったんですね。それで何ですか? ロザリー様のファンクラブには入りませんよ。それに入ってもロザリー様は後数ヶ月で卒業しますよ」
「まだ聞いて無いが、即答だな・・・。確かに貴様が言っている事は合っている。だがな。ロザリー様は卒業後騎士になる。その騎士団の所で非公式のファンクラブを創る」
「ストーカーだな。早々に潰した方が良いだろ」
「ストーカーではない。ラザは何故そこまで拒む?」
「拒みますよ。去年も言いましたが、絶対に白い目で見られる気がしますって。それにオレにはプリシラがいるんですよ。そんな非公式のファンクラブに入ったら・・・。考えただけでも死にたくなりますね」
「流石の妾もちと軽蔑をするな。妾だけなら話は別だがな」
「そう言う事なので、絶対に入りません」
何かプリシラが最後に変な事を言ったような・・・。
「中々『はい』とは言わないか」
「それよりも自分たちの身の安全を、心配したらでどうですかね」
「身の安全だと? 何をバカな事を言っている。自分たちは特に身の危険があるわけではない」
「そうですか。ではこのまま捕まってください」
俺が言い終わると、ドアが勢いよく開く。
「生徒会だ! お前たち非公式のファンクラブを拘束する!!」
「何だと!?」
生徒会の人と多分手伝いの人が、ファンクラブの人を拘束する。
「な、何故バレたんだ!?」
「オレが何も言わないわけが無いですよ。この事はもう去年ロザリー様に話しましたよ。すぐに拘束しようとしてましたが、流石にすぐには出来ないのようなので、色々と証拠を集めてきたようですよ」
「先ずは今みたいに強引な勧誘でしょ、ロザリーにストーカー行為に一部の人に暴行。後は一部の商品を買い占めなどの迷惑行為。これだけで十分キミたちを拘束出来るよ」
「まさか捕まるとはな・・・。受けよう。我々は拘束を受け入れる」
「随分と素直だな。てっきり抵抗してくると思ったが。まぁいいだろ。後で詳しく聞かせてもらうから」
「望むところです。我々は何時間でも相手をしましょう!」
ロザリー様の顔を見ると、かなりドン引きをしている。ファンクラブの人たちは、何処かに連れて行かれる。
「・・・ラザ。お前もあんな感じなのか?」
「あの会長たちと一緒にしないでください。オレは普通です」
「そうだよな。一応聞くが、護衛はいるか?」
「いらんよ。妾が付いておる」
「だろうな。では私たちは失礼する」
ロザリー様たちは部屋から出る。オレたちも部屋から出て、自分の部屋に戻る。
10月17日。2回目の文化祭で2日目。イゼベル先生に呼ばれて、職員室に行く。職員室に入って話を聞く。話を簡単にまとめると。捕まえた何でも屋のルイスが一度逃げ出して、またこの学園に来た。今度は誘拐では無く、同じ誘拐仲間を捕まえる事になった。何でも屋のルイス以外の人攫いを捕まえるために、人質役をやってほしいとの事だ。オレは真っ先にそれに志願した。プリシラに滅茶苦茶怒られたけど。そしてもう1人志願する人がいた。それはエメリー様だった。志願した理由は俺1人でやらせたくから。勿論先生たちも止めたしオレも止めたが、無理だった。変な所でロザリー様に似ている・・・。
話が終わって解散して、オレとプリシラは何でも屋のルイスと、一緒に文化祭を回っている。
「いやぁ~この歳で文化祭を、楽しめるとは思わなかったよ」
「何で普通に文化祭を楽しんでいるんだよ・・・」
「いくらお仲間さんたちが、王都に入って来ないからと言ってぇ、監視がいないわけじゃないしねぇ。どうやって監視をしてるか、分からないけど」
「そうですけど。何か普通に馴染んでませんか? 一般客として」
「まぁね~。そうしないと怪しまれるし。こうやって一般客として振舞っておけば、怪しまれる心配も無い」
「あぁそうですね」
「しかしまぁさか第2王女が参加するとはねぇ~。おっさんはびっくりしたよ」
「オレも驚きましたが、あんまりその話をしないでくださいよ。バレますよ」
「それは失礼。ついつい口に出してしまった」
「気を付けてくださいよ」
「ところでぇ。精霊はどうした? いないと困るんじゃないか?」
「プリシラなら姿を消しながら、護衛をしてますよ。堂々と姿を現していると、監視に怪しまれますよ」
「なるほど。それだと一緒にいても、すぐに逃げられると判断されるか」
「そうなると全てが失敗しますよ。失敗したら、貴方が捕まる事になりますよ」
「そぉいつは勘弁。おっさんはもう捕まりたくないからねぇ~」
「もう一度捕まればいいのに・・・」
「ひぃどい」
「別に酷くないですよ。本来貴方は捕まるはずだったんですから」
「それを言われると、何も言い返せないなぁ」
オレたちは文化祭を回って時間を潰す。時間が来たら何でも屋のルイスと別れて、オレたちは体育館の方に行く。終わったら教室に戻って、片付けをして帰りホームルームをやる。終わればすぐに職員室に行く。




