IF54話 驚かせるのは
5階の実験室に着いたら、中に入って調べてみる。
「オレの右足が掴まれた以外、特に何も無かったな」
「妾はアレで終わるとは思わんがな。違う所に行く時に、また同じようなものが出るだろ」
「勘弁してくれよ。また掴まれたくないぞ」
「そう言われてもなぁ。向こうから姿を現せてくれんと、こっちは何も出来んぞ」
「そうだよなぁ~。ここは特に何も無いから、次の場所か。クリス様はぁ」
「わっ!!」
「っ!?」
オレは驚いて身体がビクッとする。オレはすぐに後ろを見る。
「クリス様! いきなり驚かせるのは止めてくださいよ!」
「ごめんごめん。ついやりたくなっちゃって」
「本当に止めてくださいよ。オレは幽霊を警戒をしてて、ほぼクリス様の警戒はしてないんですよ」
「その言い方だと。常にボクを警戒してると言う事になるけど。何でかなぁ?」
「さぁ何でしょうかね」
気を抜いたら高確率でイタズラされるからなぁ・・・。それを警戒をしてる言えないよな。
「ここには特に無かったから、このまま昇降口前まで戻っても良いけど。隣の準備室も調べようか。すぐに入れるからね」
「良いですよ」
クリス様は先に行く。オレたちはクリス様に付いて行く。準備室に入って光魔法で照らして、何か引きずる物がないかを探す。
「なぁプリシラ。このクリス様は本物だよな?」
「本物だな。急にどうした?」
「ちょっと疑ってるんだよ。こう言うのは気付かずに、本人と入れ替わっている可能性があるんだよ」
「あぁそう言うのもあるのか。だが大丈夫だろ。これでも妾が対策をしている。いくら幽霊でもこれを破る事は出来んだろ」
「相変わらず凄いな・・・」
探しても特に何も無かったので、実験室に戻って廊下に出る。
「ここから戻るのかぁ。怖いな・・・」
「あ、なら手でも繋ぐ?」
「止めておきます。そっちの方が怖いです」
「どう言う意味?」
「だってこのまま手を繋ぐと、何かしらイタズラをされそうで・・・。サラサ様から色々と聞いてますよ」
「サラサは余計な事を・・・。何もしないから、手を繋ごうよ」
「プリシラがいるので。大丈夫です。手は繋ぎませんが」
「妾は手を繋いでも良いんだがなぁ」
「2人っきりだったら、手を繋いでいたよ」
「ふ~ん。ボクが邪魔だって言うんだ・・・」
ヤバい。ちょっと刺激を与え過ぎたか? これは何処かでイタズラされそう・・・。
「まぁいいや。それより前から白い人型がこっちに来るけど。逃げた方が良いよね?」
「浄化すればいいだろ」
プリシラが浄化魔法で、白い人型を浄化する。1体だけかと思ったが、更に出てくる。オレも浄化魔法を使って浄化をする。
「何かどんどん増えてないか!? クリス様も手伝ってくださいよ!」
「そうしたいけどね。ちょっと助けてくれないかな? 何故か魔法が使えないんだよ」
オレはクリス様を見ると、両手両足に白い手に掴まれていた。オレはすぐに浄化魔法で浄化する。
「助かったよ、ありがと。じゃあボクも浄化を手伝わないと、ね!」
クリス様も浄化魔法を使う。オレたちは浄化魔法を使って、学園の昇降口前まで行く。
「や、やっと昇降口前まで戻って来た・・・」
「いやぁー、何か違う物が出て来たね! まさか本物の幽霊を見るとは思わなかったよ!」
「何でクリス様はそこまで、楽しそうにしてるんですが? 流石にちょっと異常ですよ」
「失礼な事を言うね。本当に楽しかったから、言ってるだけだよ」
「オレは死ぬんじゃないかと思いましたよ・・・」
「アハハハッ! 流石に幽霊相手だと死なないと思うよ。キミでも面白い冗談を言えるんだね」
「あぁ・・・。そうですね」
「―――戻って来ていたか。そっちはどうだった?」
「こっちは本物の幽霊が出たよ。ボクたちちょっと疲れたから、話は後でね」
「待て! 本物の幽霊だと!? 今話さないか!」
「疲れたって言ったでしょ。部屋で話せるんだから、後でいいでしょ。そう言うわけだから、じゃあね2人とも~」
クリス様は先に帰る。よく分からない状態で解散する事になった。後日。エメリー様から話を聞いた。別校舎で音の正体が分かった。何か先生が荷物を引きずる音だった。
夏休み最終日。オレたちは何故か城の書庫にいる。
「何で城の書庫で、本の整理をしないといけないんだよ!?」
「主が本の整理が上手だからだろ。まさか呼ばれるとは思わなかったがな」
「夏休み最終日はゆっくりしたかったんだよ・・・」
オレは本を整理する。他の人もいるが、全ての本を整理する事は出来ない。
「――――――ラザ。本の整理は順調かね」
「こ、国王陛下!」
オレはすぐに本を整理して、国王陛下所まで言って跪く。
「そう畏まるな。楽にしていい」
「はい・・・」
「場所を変えよう。ついてまいれ」
オレは立ち上がり、国王陛下に付いく。途中でプリシラが殴りかかろうとしてたが、すぐ止めた。国王陛下ついて行くとリビングに着く。国王陛下は椅子に座ると、2人の使用人が椅子を引く。オレとプリシラはその椅子に座る。
「今日はいきなり呼び出してすまなかった。手の空いている人がいなかった故、本の整理に慣れている貴様を呼び出した。今日は何か予定でもあったか?」
「いえ。今日は部屋でゆっくりと過ごす気でいました」
「そうであったか。実は1つ聞きたい事があってな。貴様の実家では何やら井戸に、手押しポンプと言うものがあるが。本当か?」
「はい。私の実家にある井戸は、全て手押しポンプになっております」
「全てか・・・。その手押しポンプは今あるのか?」
「あります。許可を貰えるのでしたら、城にある井戸のロープなどを外して、手押しポンプに変える事が出来ます」
「是非やってくれ。かなり水を汲むのが楽になると聞いている。おい。誰か手の空いている奴はいるか?」
「ここに下ります。すぐに井戸の所まで案内をします」
「うむ。では行くとするか」
立ち上がって、使用人の案内で井戸の所に行く。井戸に着いたら。空間から手押しポンプと説明書を出して、何人かの使用人にも手伝ってもらい、手押しポンプを設置する。設置が終わったら、使い方を説明をして国王陛下自ら使う。
「驚いたな。これなら使用人も楽に水を汲めるだろ。ラザよ。まだ残っているか?」
「はい。設置をした物を含め、10個あります」
「残り9個か。至急残りの井戸に手押しポンプを設置する。手の空いている者は、ラザから手押しポンプを受け取り、井戸に設置せよ!」
「「「「「「御意」」」」」」
すぐに使用人がオレの所に集まり、オレは手押しポンプを出して渡す。手押しポンプだけだと設置するのに、時間がかかるので。プリシラに頼んで説明書を複製してもらい、それを使用人に渡す。
「これで城にある井戸はロープではなく、手押しポンプになるだろう。足りなければ、何処かで買えるのか?」
「マキレイ商会に既に卸してあります。お求めなる際は、是非マキレイ商家でご購入してください」
「マキレイ商会か。すぐにでも買おうとしよう。後で褒美をやる」
「でしたら。これを作った、ドワーフたちに渡してください」
「貴様や父親ではなく。父親が雇っているドワーフたちにか?」
「はい」
「良かろう。褒美はそのドワーフたちに渡そう」
「ありがとうございます」
「ところでだ。貴様騎士になる気はないか?」
「毛頭ありません」
「即答だな。騎士になれば娘たちも喜ぶものだがな」
「寧ろ怒られるかもしれませんね」
「そうかもな。では余は仕事に戻る。貴様は娘たちの相手をしていろ」
「御意」
国王陛下は仕事に戻る。すれ違いでロザリー様たちが来る。ロザリー様たちが来て、先ずは手押しポンプの話をする。