IF44話 可変鉱石
「ではクズ石から僅かな鉱石の抽出ですが。目で見ても分からないので、拡大魔法かこの拡大魔法が付与された眼鏡を使います。どうぞお使いください」
ネルディアさんから眼鏡を借りて、眼鏡をかける。
「この拡大魔法は目に見えない物を拡大をして、見る事が出来ます。ただこれは魔法や魔道具で拡大をしてるので、魔法を使うのを止めたり眼鏡をはずしたりすると、また見えなくなります」
あれだな虫メガネや顕微鏡だな。この魔法があるって事は、微生物が存在してるって分かってるのか?
「次はこのクズ石の断面を眼鏡で見てください。拡大したいと思ったら、魔力を流してください」
オレたちは眼鏡に魔力を流して、拡大をして断面を見る。
「細かく見れますね。ここまで細かく見れるのは凄いですね。でもこれではどれが鉱石か分かりませんね」
「そうですね。こればかりは勉強をしないと、分かりませんからね。こちらの方で紙に鉱石をまとめてあるので、これを見て判断してください」
拡大を解除して、ネルディアさんから紙を受け取る。
「素人。などと戯けにしながら言っておったが。説明の時はまともなんだな」
「ちゃんと説明をすれば、鉱石の素晴らしさを教える事が出来るので、真面目に説明をします。では実際に抽出をするので、抽出作業をしている人の隣に座って、見学をしてください」
イリナさんは他のエルフの所に行く。オレとプリシラは1人エルフの所に行く。
「よろしくお願いします」
「は、はい・・・」
何か凄く怯えられてる・・・。特に何もしないのに何で怯えられてるんだ? クビにされるのが怖いのか。
男性エルフが早速作業を始める。オレは眼鏡に魔力を流して、拡大をする。男性エルフの話を聞きながら、鉱石を探す。
「これですね。これは海鉱石ですね」
「この水色がそうなんですか?」
「はい。これから抽出しますね」
男性エルフがそう言うと。魔法を使って海鉱石を抽出する。抽出された海鉱石は透明な物に包まれて、宙に浮いてこっちまで来る。それをトレーに置く。
「これで抽出は終わりです。鉱石を見つけて抽出。これが私たちの仕事です」
「凄いですね。抽出も魔法でやってるんですよね」
「はい。これはエルフ族が使っている魔法になりますね。他の種族が使っているのは、あまり見ませんね」
「何故その魔法を広めん? 鉱石を抽出するだけの魔法では無かろう」
「あぁあまり広めなくてもいいかなって、思ってるだけです。広めすぎるのも何かと問題は出ますよ」
「確かに出ますね。これを知ったら色々と聞き出されそうですね。ところでネルディアさんの事どう思います?」
「変人過ぎでこっちが色々とヤバい。何であぁなっちゃったんだよ・・・」
「やっぱり変人でしたか。貴方を含めて、他の人たちは普通ですよね?」
「普通です。アイツだけなんですよ。あそこまで変人なのは・・・」
「ネルディアのせいだったか。何回クビされたんだ?」
「5回です・・・。ラザ様。6回目にならないよう。どうかご慈悲を・・・」
「えぇっと。クビにするのは親父なので、オレの一存じゃ決められませんよ。大丈夫だと思いますよ。他の人に迷惑をかけたり、何か破壊とかしなければ大丈夫だと思いますよ」
「そうだと思いたいですね。では作業を続けますね」
男性エルフがそう言って、作業を再開をする。オレとプリシラは紙を見て、鉱石を探すのを手伝う。2時間後。オレはある鉱石を見つける。
「この黒くて線が入ってる鉱石は何ですか? 紙には書いて無いんですけど」
「・・・・・・これですね。抽出してみますね」
オレが気になった鉱石が抽出される。トレーに置かれたら、確認をする。
「これは・・・。『可変鉱石』ですね。ちょっとネルディアを呼んで来ますね」
男性エルフがそう言って立ち上がって、ネルディアさんを呼びに行く。待っているとすぐに来る。
「可変鉱石が出たようですね! あぁこれですねぇ!」
「あのネルディアさん。涎、涎が出てますよ」
「あぁこれはすみません。でも可変鉱石ですよ! 滅多に出てこない鉱石なんですよ!!」
「その可変鉱石は何だ?」
「可変鉱石って言うのは。武具にした時に元の形から違うもに、形を変える事が出来るんです。例えば剣から槍に、兜から鎧に変わる事が出来るんです!」
「色々と可笑しくないですか? 剣から槍に変わったり、兜から鎧に変わるのは」
「まぁそう言う所を気にするのは、当たり前なんでしょうが。そんなの気にしてたら、何も出来なくなりますよ」
「いやそうですけど・・・。でもそんな可変するような物を・・・。あ」
「そうです。第3の団長さんが使ってますよね。彼女が使っている武器はまさしく、可変鉱石で作れられ武器です。確かハルバードから槍に、変わったはずです」
「実際に見た事がありますよ。だからすぐに武器が変わっていたんだ・・・」
「この可変鉱石はこれだけですか?」
「そうですね」
「じゃあこちらで回収しますので、また見つけたら言ってくださいねぇ~」
ネルディアさんが嬉しそうに持って行く。
「あ、抽出の見学はここまです。何か質問はありますか?」
「抽出した鉱石はどうするんですか?」
「同じ鉱石どうしてくっ付けます。そうすればインゴットに出来ますしね」
「抽出が出来るって事は、純度100の物が出来るのではないのか?」
「出来ますけど。色々大変な事になりますよ。コレクションにするなら話別ですけどねぇ」
「また涎が出てますよ」
「失礼。他に質問は?」
「ありません。見学をさせてくれて、ありがとうございます」
「いえいえ。何か鉱石を手に入れたら、是非持って来てください。いい値で買いますよ」
「持ってこれたら持って来ます。イリナさん行きますよ」
イリナさんは立ち上がって、こっちに来る。オレたちは眼鏡を外して他のエルフの人に返す。部屋から出て自分の部屋に戻る。夜。オレたちは違う執務室で受付の採用試験の合格者を決める。