IF37話 広くする
次の日。起きて身支度を済ませたら、朝ご飯を食べに行く。食べ終わったら一度部屋に戻る。
「よし。騎士の所に行くか」
「新人たちに挨拶しにか?」
「そう。まだ顔を知らないし、向こうも知らないだろ。だから会いに行く。待っていたら、すれ違いするだろうし」
オレはドアの所に行って、ドアを開けたらアレックさんがいた。
「ラザ様。どちらに行かれるのでしょうか?」
「騎士の所ですよ。アレックさんはオレの付き添いですか?」
「はい」
「そうですか。では一緒に行きましょう」
オレとプリシラ部屋から出る。オレ達は騎士がいる所に行く。
「アレックさん。ダンジョンの方はどうなっていますか?」
「今ダンジョンは一時的に使っています。今は王都から来た、第3騎士団がダンジョンに潜ってます」
「げっ。第3騎士団って言ったら、ルトリさんがいるじゃないか・・・。マジで来てたのかよ・・・」
「主よ。素が出てるぞ」
「おっと。これは失礼しました。他に来ている騎士団は?」
「第9騎士団が来ています。カルバーン家の騎士団と合わせると、3つの騎士団がいますね。第3騎士団とはお知り合いで?」
「知り合いって言っていいのか、分かりませんが。多分知り合いです。それにしても騎士団は3つですか。第3と第9はちゃんと宿舎で、眠れているんですかね?」
「あぁまだ新しい宿舎は出来て無いんですよ。今の所は仮の宿舎で寝てますね」
「そう簡単には出来んよな。他の騎士団は何をしておるんだ?」
「今は街の警備と訓練ですね。ダンジョンが出来て、色々と外から人が来るんですよ。今頃役所が大変な事になっていますね」
「それでも全員は受け入れてはないですよね?」
「はい。急に増えるとこちらも困りますので、厳しい条件を付けています。それでちょっと苦情がくるんですよね・・・」
「それはしょうがないかと。ダンジョンは騎士団が使ってますが、冒険者からの苦情は来ないのですか?」
「今の所ギルドマスターとそのギルド職員ぐらいですね。冒険者からそんなに来ませんね。一部の冒険者もダンジョンに潜ってますからね」
「潜っておるのか。それは調査のためか?」
「はい。ランクの高い冒険者パーティを募集して、ダンジョンに潜ってもらっています。仕事の内容はダンジョンに潜って、魔物の強さや階層などの報告書の作成。報酬はお金とダンションで手に入った物ですね」
「かなり大変な内容ですね。よく冒険者方も参加してくれましたね」
「それだけの報酬だったので、すんなり受けてくれましたよ」
一度外に出て、別の所に行く。
「・・・ウチはここまで広かったでしょうか?」
「最近拡張しました。人が増えるので、屋敷周りも広くする必要があったんです。勿論国王様からの許可は貰っています」
「広くするのに国王の許可が必要なのか?」
「王国全体は国王が所有してるからな。色んな所に街や村があるけど、街だけは色々と条件が付いてるんだよ。街の領主は貴族が多いだろ。その貴族が好き勝手にさせないために、色々条件を付けているんだ。例えばさっき出て来た、街を広くするとか。大規模な街の改装とかな。もし許可とかなく好き勝手にやったら。他の街とかの衝突や、勝手に何とか王国とかやり出す人が出てくるだろ。何だったら戦争もするかもな。村に関してはほぼ関係無いからな。規模小さいしね。ただ村を造ったり、村から街にする時は許可が必要」
「随分と面倒だな。で、主はこれを何処で知った?」
「授業で習った。憶える必要はほぼないかもしれないけど、一応ね。それにしても広い」
「騎士の紹介が終わったら、一度案内をしましょうか?」
「お願いします」
「分かりました」
オレたちは騎士がいるであろう、訓練所に行く。着いたら、ウチにいる騎士団長を探す。見つけたら声をかける。
「リュシスロさーん! 今良いでしょうかー?」
リュシスロを呼ぶと、急いでこっちに来る。
「おぉラザじゃねぇか。どうした何か用か?」
「リュシスロさん。ラザ様にその言い方は無いと思いますが」
「まぁいいじゃねぇか。本人が気楽でいいって言ってるんだ。俺はそれに従っているだけだぜ。そうだよな?」
「そうですね。今日は4月に入って来た騎士たちに、自己紹介しに来ました」
「自己紹介しに!? コイツは済まねぇ。こっちから行くはずが、ラザに手間かけさせちまって・・・。すぐに呼んで来るぜ」
リュシスロさんは急いで呼びに行く。
「全く。いくらラザ様が許しているとは言え、そう気軽に話すもんですかねぇ・・・」
「良いんですよ。オレはその方が楽で話しやすいんで」
「はぁ・・・」
「―――待たせた! こいつらが4月に入団した、クレトリーとトラヴィスだ!」
「クレトリーです」
「トラヴィスです」
「カルバーン家の三男、ラザ・メルト・カルバーンです。オレの隣にいるのが、精霊のプリシラです。基本的に敬語じゃなくても構いません」
「マジで? じゃあいつも通りにするわ」
「おいトラヴィス。失礼だろ」
「だってラザ坊ちゃまが基本的に敬語じゃなくてもいいって、言ってるんだぜ。そうだよなラザ坊ちゃま」
「はい」
「ほ~ら。ラザ坊ちゃまは他の貴族と比べて、まだ器はデカいぜ」
「トラヴィス! すみません。トラヴィスがタメ口で喋ってしまって・・・」
「構いませんよ。クレトリーもどうぞタメ口で、喋っても構いませんよ」
「し、しかし・・・」
「だっはっはっは! クレトリーは一生馴染めねぇかもな。ここの貴族様は、基本的にこうだぜ。使わないといけねぇところ以外は、タメ口でもきにしちゃいねぇ。長男と次男を除いてな」
「あぁー。兄たちはかなり気にしますからねぇ・・・。兄たちに紹介はまだですかね?」
「まだだぜ」
「では気を付けてください。特にトラヴィスさん」
「うぇオレ!? 当たってると言えば当たってるけどよぉ・・・」
「気を付けろよトラヴィス。まぁ何か遭ったらラザに言っておけ。何とかしてくれるぜ」
「団長・・・。丸投げですか?」
「そりゃそうだよお前。俺らが何か言っても変わらねぇ奴は、もう奴らの身内に任せるしかねぇだろ。それ以前にクビされる可能性がある・・・」
「アハハハ・・・。何か遭ったらオレの所に来てください。ぶちのめすので」
「なっ。ラザはかなり良い奴だろ。堅苦し事はほとんどねぇ」
「ちょっと問題があると思うんですが・・・」
「ラザ坊ちゃまが良いって言ってるんだろぉ。そろそろそのカッテェー頭を何とかしろっての」
「お前は逆に柔らか過ぎるんだよ。その頭の中にスライムでも入ってるのか?」
「入ってねぇよ! 入ってるのは脳だ!」
「何か喧嘩始まりましたよ。止めた方が良いのでは?」
「放置で構わねぇよ。こいつらはこっちで何とかするから、ラザは用事を終わらしてこい」
「ありがとうございます。失礼します」
リュシスロさんたちその場に残して、オレたちは違う所に行く。