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IF36話 紹介

「―――書類整理終わったぞ」

「終わったか。・・・随分と少ない所があるが、これは?」

「これは冒険者ギルドからの要望だよ。主にダンジョン権利の譲渡だな。内容がほぼ似てるから、全部読む必要は無いよ」


「まだ言ってくるか・・・。いい加減諦めてほしいものだな」

「ダンジョン権利はこちらが持っておるのか?」

「持っている。裁判で勝ったからな」


「不正はしてないよな」

「するわけ無いだろ! そんな事をすれば、すぐに首が無くなるわ!」

「まぁそうだよな。外はもう夜か。通りでお腹が空くわけだ」


「なら晩御飯でも食べるか。手紙で書いてあったと思うが、騎士と執事とメイドの紹介される。詳しくはトーマスたちから聞け」

「はーい」


 執務室から出て、リビングに晩御飯を食べる。食べ終わったら一度部屋に行く。


「何か疲れた・・・」

「帰って早々書類整理をするからだろ」

「そうだけど。あの書類の量を見ただろ。あれは1人でやるものじゃないだろ・・・。トーマスさんは何処にいたんだ?」


「さぁな。先に風呂に入ったらどうだ?」

「お言葉に甘えて、先に入って来るよ」


 オレは部屋から出て先に風呂に入りに行く。脱衣所で服を脱いで風呂場に入って、身体などを洗ってから湯に浸かる。


 あぁ~やっぱり風呂はいい~。疲れが飛んでいく~。


 オレはそう思いながら湯に浸かる。


 前々から思ったが、何でこんなに広いんだ? ここは使用人が入る風呂場じゃないんだから、ここまで広く無くてもいいだろ。やっぱり見栄か? 見栄のためにここまで広いのか? ウチの家は大きいけど、ここまで広かったか? ・・・魔道具を使ってるのか。それなら納得する。


「相変わらずこの風呂場は広いな。ここまでする必要があるのか?」

「あるんじゃない。他の貴族に見られても良いように、広く造ってちょっと豪華にしてるんだろ」

「あの石像は絶対にいらんだろ」


「確かにいらないな。でもないと貴族としての見栄が無い、って判断されるんだろ」

「本当に貴族と言うのは面倒だな」

「別に貴族だけが面倒って訳じゃ無いだろ。今更思い出したが、有名な人もこうする羽目になるんだよ。有名なブランドの服とか武具を身に付けて、他の人に舐められないようにする必要があるんだよ」


「だが見栄ばかり気にしていると。今度は本当に凄いのかと疑われるぞ」

「疑われるかもな。有名になると面倒だけど、しょうがないと言えばしょうがないんだろうな」

「主も有名になるのか?」


「どうだろ。いくら冒険者になるとは言え、それが成功するわけじゃないから。分からないな。有名になったら考える」

「そうか。まぁ有名になったら、色々面倒が来るぞ」

「来るだろうな。貴族から指名依頼とか、商人からオススメ商品の紹介されるだろうなぁ。・・・・・・ん?」


 オレは隣にいる人を見る。隣いたのはプリシラだった。オレは一度前を見て、もう一度プリシラを見る。


「プリシラッ!? なななななな何で一緒に風呂に入ってるんだよ!?」


 オレはすぐにプリシラから離れる。


「―――呆れたぞ。普通に会話をしてるから、てっきり気付いておったと思ったが。今まで気づいておらんかったのか」

「オレも何で気付いてなかったのか、疑問に思ってるよ・・・。もしかして。ほとんど一緒にいたから、一緒にいて当然だと思ってたのか?」

「なるほど。普段から一緒にいたから、それが普通だと思い込んでいたか。ほれもうちと近寄れ」


「無理。近づける訳が無い・・・」

「さっきまで大丈夫だっただろ。別に何もせんよ。ただ近くにいるだけだぞ。いつも変わらんぞ」

「いつもは服を着ているだろうが。流石に裸の状態で・・・」


 オレはもう少し離れようとすると、身体が動かくなる。


「何をした!?」

「『重力魔法』を使っただけだ。これで近づけるだろ」


 そう言ってプリシラは近づく。近づいて抱き着いて来ると思ったが、そうでもなかった。


「・・・抱き着いて来ないだと? いつもならするのに」

「抱き着いてもいいが。重力魔法を解いて押し倒しそうになると思ってな」

「押し倒されたら、水死しそう・・・」


「水死させんぞ。そう言うわけだから、(わらわ)は抱き着かん。主がどうしてもって言うなら、抱き着くが」

「止めてください水死します」

「・・・本気で殺められると思っておるのか?」


「全く。プリシラがオレを殺すとは思ってないけど」

「・・・次は問答無用で襲うぞ」

「ふざけ過ぎました。すみませんでした」


 プリシラに重力魔法を解いてもらう。数分後。オレは先に湯から上がって風呂場から出て、身体を拭いて寝間着に着替えて部屋に戻る。その後でプリシラが戻って来る。プリシラが戻って来たら、すぐにドアがノックされる。オレは入室の許可をすると、トーマスさんたちが入ってくる。


「夜分遅くに失礼いたします。ラザ坊ちゃまに紹介しておきたい、人物がいます」

「大丈夫ですよ。手紙に書かれていた、新しく入って来た人たちですね。その4人がそうですか?」

「はい。先ずは執事の方から。アレック」


「はい。今年の4月に執事として入りました。アレックです」

「アレックは私の孫でございます。まだまだ未熟な所がありますが、仕事は出来ます」

「トーマスさんのお孫さんですか。失礼ですが、執事になってからどれくらい経ちましたか?」


「まだ2年です」

「そうですか。また失礼な事を聞きますが。このカルバーン家に来る前は、何処の家の執事をしていましたか?」

「デセル家です・・・。あの家はその・・・」


「すみません。失言のようでしたね」

「大丈夫です。もう過去の事なので、気にしてません」


 絶対に気にしてるな。これは言わないようにしないとな。


「ではメイドの方の紹介をします。右から。イリナ、ヴィクト、ミシュです。彼女たちは元傭兵です」

「元傭兵!? 一体何があったらメイドに転職するんですか・・・?」

「わたしが説明します。今年の3月まで東の街で魔物と戦っていました」


「東の街と言うと。新聞でも話題になっていた、フィンタナ街の事か? 確か魔物の群れに襲われた、と書いてあったな」

「はい。わたしたちはそこで傭兵として、魔物を殺していました。魔物討伐が終わったあと、わたしたちは飛行船で、王都に戻って来たのですが・・・。王都の周りは基本的に平和の為、傭兵の仕事は全くありませんでした。そこでわたしたちは思い切って、転職をしようと考えたわけです」

「それでメイドですか・・・。かなり思い切りましたね」


「はい。ですがそれが良かったのです。この街の近くにダンジョンが出来たので、腕が鈍らずに済みます」

「それは良かったですね。自己紹介が遅れました。カルバーン家の三男、ラザ・メルト・カルバーンです。オレの隣にいるのが、精霊のプリシラです。基本的に敬語じゃなくても構いませんが、使う所では使ってください。ところで兄たちにはもう会いましたか?」

「まだ紹介していません」


「そうですか。兄たちにも紹介されるかもしれません。が。もし兄たちが失礼な事をして来たら、遠慮なくオレに言ってください。兄たちをぶちのめします」

「「「(ぶちのめす!?)」」」


 ミシュさんは何故って顔をする。


「兄たちは何かとプライドが高いので、アレックさんたちに何かしら、暴言や暴力を振るってくるかもしれませんので」

「わ、分かりました」

「ではラザ坊ちゃま。私たちはこれで失礼します。おやすみなさい」


「おやすみなさい」


 トーマスさんたちは部屋から出る。オレたちは少し休憩をしてから寝る。

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