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IF32話 花言葉

 4月中旬。食堂にて。


 1年生が入学して1週間以上経つ。特に1年生との接点は無い。プリシラからオレには過去に、これと言って特に親しい人はいなかった。ほぼ1人でいる事が多かったようだ。つまり1年生が入学しても特に何にも無い。


「何にも無いはずだが。プリシラがいるからそうはいかないよな」

(わらわ)は精霊だからな。精霊見たさで寄って来るのだろ。今でもジロジロと見られるな。迷惑をかけてすまんな・・・」

「プリシラを召喚した時から、こうなるって分かっていたんだ。気にしては無いよ」


 ゲーム上だけど。エリオットも色々苦労はしたんだろうか。そう言うシーンが無いから、分からないけど。


「ところで主の前に、運動会実行委員がいるが。何故(なにゆえ)ここにおる? 他の所で食べたらどうだ?」

「お気になさらず。私はただの置物だと思ってください」

「置物か。なら他の所に移動させるか」


「丁度お2人が端の方でお昼ご飯食べていたので、私もそちらで食べようと思いました」

「素直でよろしい。ではサッサと他の所で食べろ」

「酷い言い方。別に良いだろ。特に何かあるわけじゃ無いし」


「そうですよ。私か何かするとでも?」

「その隣に置いてある瓶は何だ? よもや媚薬じゃないだろうな?」


 プリシラはそう言うとアリスさんは、瓶を持って空間の中に入れる。


此奴(こやつ)本当に媚薬を持っておったか・・・。それで何をしようとした?」

「ラザさんが食べているものに、ちょびっと入れて、既成事実を・・・」

「殺めていいか?」


「やり過ぎだ。アリスさん。流石に食堂でそんな物を、持って来ないでくださいよ。騒ぎになりますよ」

「それでもそうですね。盛るなら人が少ない所で、盛るべきでしたね」

「反省のする気無し。やはり殺めるか」


「だから止めろって言ってるだろ。アリスさんもいい加減にしてください」

「冗談ですよ」


 冗談には聞こえなかったんだよな・・・。


「―――ラザとプリシラさん見っけ~」

「アリスさんもいますね。ラザさんとは同じクラスですか?」

「同じクラスです。今年はお2人は別のクラスですね」


 エメリー様はプリシラの隣に座り、エディスさんアリスさんの隣に座る。オレはプリシラを見ると、機嫌が少し悪くなっている。


「本当良かったよ~。エメリーと一緒のクラスで。別だったら困るよ」

「私も困りますね。今の状態で他のお友達は・・・。期待できませんね」

「そうですかね。エメリー様なら出来ると思いますよ」


 ゲームじゃ無いから、きっと友達何てすぐに出来るだろ。


「ラザはどうなの?」

「オレは何と言うか、昔からの友達と会った言うべきですかね」

「へぇ~ラザにそんな人いたんだ」


 オレもそう思う。ラザに昔からの友達がいたと思わなかった。あれは友達と言うより、ライバルと言うべきか。


「・・・私はどうなのでしょうか?」

「アリスさんですか? ・・・正直言いますと。ほぼ他の人と一緒にいたような気がします」

「うん。アタシも同じだね。あんまりアタシたちと喋ってないよね」


「オレもちょっとしか喋ってないですね。運動会とか文化祭とか」

「自分て言っておきながら、確かにあまり喋ってませんね。この機会にどうですか?」

「パスで」


「主と同じ意見で」

「2人とも即答だね・・・。何かあったの?」

「先ほどありましたよ」


「この小娘が媚薬を持ち出していてな。その媚薬を主に盛ろうとしておった」

「えっ、媚薬・・・」

「・・・・・・」


 2人は顔を赤くする。1年生の時の夏休みを思いだしているのだろう。


「ねぇアリス。ラザに媚薬を盛ろうとするのは、止めた方がいいよ。逆に媚薬を盛られて放置されるから」

「まぁ。それが本当なら違う対策をするべきですね」

「何でラザさんに、媚薬を盛ろうとしてたんですか?」


「御家の事情と言うべきでしょうか」

「あぁ・・・。大変だね」

「いえ。これも次期当主になるための試練と言うべきでしょう」


「「「次期当主?」」」

「次期当主です。我が家は代々女性が当主になっています。現在の当主は父では無く、母になります」

「そんな事があるんだ。もしかして媚薬を盛ろうとしたのって、既成事実?」


「はい。それさえ作れば、後は簡単に結婚が出来ます」

「「結婚・・・!」」


 こ、こえぇぇぇ・・・。貴族ってそこまでやるのか? 貴族社会って怖すぎだろ・・・。


「貴族社会、怖すぎる・・・」

此奴(こやつ)は危険すぎるな・・・」


 オレたちは昼ご飯を食べたら、各科目の教室に行く。その日の放課後。図書室で植物図鑑を持って椅子に座って、サザンカの花言葉を調べる。


 サザンカサザンカ・・・。あった。へぇ色によって花言葉が変わるんだ。ピンク色は・・・。


 オレは花言葉が分かった瞬間。本を閉じる。 


「主よ。あのサザンカをくれぬか? 寧ろ寄こせ」

「あげる訳ないだろ! あんなの告白と同じないか!」

「良いではないか。そのまま告白をしても、何も問題は無いだろ」


「オレにあるんだよ。何でピンク色に咲いたんだよ・・・」

「空気を呼んだから、ピンク色が咲いたんだろう」


 ピンク色のサザンカの花言葉は『永遠の愛』。これをあげたら告白と一緒だろ。

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