IF28話 転写魔法
11月の休み。今日は冒険科と調合科の合同で、森で魔物を狩りをしている。調合科の1年生が少しでも、自分の身を護りたい事なので。オレたち冒険科が協力をしている。引率者としてイゼベル先生もいる。
「「「「「「つ、疲れた・・・」」」」」」
「だらしねぇーな。1年生でもアリーナで模擬戦はやってるんだろうが」
「や、やってはいますが。魔物との戦いがここまでキツイとは、思ってなかったですよ・・・」
「午後の授業はその分野に特化かした授業を受けてるんだ、差が出るのはしょうがないだろな」
「しっかし何で俺たちと、合同でやろうと思ったんだ? 俺たち冒険科より、騎士科の連中の方がいいだろ」
「言っちゃ悪いですが、人数がほぼ一緒なんですよ。騎士科の人たちって人が多いですよね。人が多すぎると教えてもらう時に、色々偏りが出るんですよ。その点冒険科は私たちとほぼ同じ人数名なので、偏りが無いと判断したんですよ。それに一番の理由は、騎士科より冒険科の方が強い。です」
「1年の騎士科が涙目になりそうな言い方ですね。事実と言えば、事実なのですが」
「それに人が少ないから、話しやすいんだよ。これでも顔見知りは、多いと思ってるよ」
「それはエディスだけじゃねぇーか?」
「・・・そうかも」
「何だあの状況は? オレたちが見回りから帰って来たら、何か疲労困憊になってるぞ」
「妾らが見回り中に、魔物を殺めながら自身の身を、護っていたのだろう」
「身を護るために魔物を狩るとは、思わなかったんだろうな。まぁこれが一番手っ取り早いんだよな」
「お、ナタルたち戻ってきたか。何か強い魔物はいたか?」
「特に周りには強そうな魔物はいませんでしたわ」
「いたとしても。勝手にイゼベル先生が殺してるよ。ぼくたちの出番は無いよ」
「そうよね。イゼベル先生が勝手に戦って、勝手に終わってるもんね」
「そのイゼベル先生は何処にいるんでしょうか?」
「イゼベル先生なら、さっき何処かに行ったぜ」
「また勝手に魔物を狩りに行ったんですか・・・。オレたちの事はどうでもいいんですかね」
「プリシラさんがいるから、大丈夫だと判断したんじゃない?」
「確実に大丈夫とは言えないと思うんですが。それよりこれから何をするんですか?」
「殺した魔物の解体だな。魔物の解体をやりてぇー奴はいるか?」
「アタシやりたい」
「他はいねぇーか?」
何人か手を上げる。スティース先輩は空間から、殺した魔物を出す。各自魔物死体を受け取る。冒険科のオレたちは、オレ含め何人かは調合科の補佐に回る。オレはエディスさんの方に付く。
「何で自分から解体したいと言ったんですか?」
「解体の経験をするためかな。アタシは商人の娘だから、魔物の素材をよく見るんだよ。ただ解体をやった事が無いんだよね」
「魔物の解体は基本的には冒険者か、ギルドで解体をしますからね。どっかの店で解体をするのは、あまり見ませんからね」
「アタシの店は解体とかやらないからねぇ。今回は良い経験になるよ」
「それはいいが。それ以上厚く切ると、肉も一緒に付いてくるぞ」
「えっ。あ、本当だ」
エディスさんは少しナイフを手前に戻して、肉も切らないように皮を剥ぐ。
「ラザはやらなくてもいいの?」
「オレは後でやりますよ。どうせイゼベル先生が追加で持って来ますよ」
「持ってきそうだな。だが大丈夫だろ。魔物の解体書の写しは出来たんだろ」
「つい最近出来たな。もっと時間がかかると思ったけど、そうでも無かったな」
「『転写魔法』を使って移せばよかっただろ」
「こう言うのは魔法を使わず、自分で手で書くのがいいんだよ。その方が憶える事も出来る」
「そうかもしれんが。後で憶えてもよかっただろ」
「まぁそうだけど。別に良いんだよ。オレがそうやりたかっただけだから」
「時間の無駄とは思わんのだな」
「よっと。ふぅ~。やっと解体が終わったよ」
「・・・・・・ギリギリ合格ですね」
「そりゃラザと比べると出来は違うよ。ラザの方が解体慣れてるでしょ」
「慣れてますよ。狩るたびに解体をしてますからね。いやでも慣れますよ」
「慣れぬと溜まっていく一方だからな。あの教師が戻って来ておるぞ」
「戻って来たって事は、解体か?」
「そうでもないぞ。ただの休憩のようだな」
「あっそう。解体をしなくていいなら良いけど」
「ところで調合科の教師はどうした? 流石にイゼベル教師だけでは、人を見るのが大変だろ」
「それなら調合科の先生。メラリ先生がいるよ。ほらあそこに」
エディスさんが指を指した所を見る。
「あのおなごが教師なのか? 1人でおるが大丈夫なのか?」
「いつもの事だよ。常に1人でいる事が多いんだよ。授業では普通に喋るけど、授業以外はこっちから話しかけないと、喋らないんだよね~」
「1人でいる事が好きなんでしょうね。話しかけても無視されるよりマシですよ」
「そうだけど。もう少し話しかけてくれもて、良いと思うんだけどな~」
「事情があるのだろ。ほれそろそろ再開をするみたいぞ」
プリシラに言われてエディスさんは、スティース先輩たちの所に行く。オレとプリシラは休憩をする。




