表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/177

IF25話 メイド服

 待っているとドワーフの店員さんが戻ってくる。


「研げたぞ。これが研いだ木剣だ」


 ドワーフの店員さんは、オレに木剣を渡してくる。オレは木剣を受け取る。


「普通の剣と一緒だ。木剣だと形だけだから、斬る事は出来なかったな」

「主よ。丁度ここに木の板がある。これで試し斬りをしてみろ」

「・・・プリシラは空間収納魔法でも使えたのか?」


「使えるが。逆に使えないと思うたか」

「マジかよ・・・」


 オレはプリシラが持っている木の板を、木剣で斬る。斬ると木の板は綺麗に斬れる。


「木剣で木の板を斬れちゃったよ・・・。何かあった時に使うか」

「それにしても。何だぁその木剣は? 一体何をしたって言うんだ?」

「あぁ実は。精霊魔法を試すために、この木剣に付与魔法と強化魔法を使ってみたんですよ。そうしたら想像以上の効果がありまして・・・」


「そんでこの硬さか・・・。お前さん。今後人前で精霊魔法を使って、武具に付与すんじゃねぇぞ。ヘタすると国宝級と思われるぜ」

「肝に銘じておきます」

「んじゃ代金だがよぉ。今回は特別価格で銀貨20枚だ! 無論今回使った剣の代金は入ってねぇ。これはミスリルの砥石を使った代金だ」


 オレは空間から銀貨が入った袋を出して、銀貨20枚を出してドワーフの店員さんに渡す。


「すんなり出したな。負けてくるかと思ったぜ」

「まだ懐に余裕があるからですよ」

「そうかよ。ところでミスリルの砥石は必要か? 1個銀貨500枚で売ってやるぜ」


「あ、そこまでお金はありませんよ」

「何だねぇのかよ。ならしょうがねぇな」

「お金が貯まったら、買いに行きますね。ではオレたちはこれで」


「おう。何か入用ならまた来よ」


 オレたちは店から出る。ついでにこのまま他の店に行く。


 9月20日。男子寮の自室にて。


 文化祭の出し物が決まってから、色々準備をしてきた。今手元にあるのは文化祭で使う衣装だ。


「まさか女装する日が来るとはな・・・。何でこんな喫茶店に決まったんだろ・・・」

「確か男装女装をする喫茶店『おかしな喫茶店』だったか。決まったのは、あのエメリーがやりたいと言ったからだろ。その結果おのこの生徒たちは、賛成をしたんだろ。あの後後悔してたがな」

「何でエメリー様の言葉で決まるんだよ」


「第2王女だからだろ。で、着るのか? メイド服を着るのか?」

「着るしかないだろ。サイズが合って無かったら、作り直しって事があるだろ。着たくないけどな。先にメイクをするか」


 オレは空間からメイク道具を出して、自分でメイクをする。


「主はメイクをすると化けるな。本当はおなごだったのではないか?」

「どう見ても男だろ。メイド服に着替えるけど。後ろ向いとけよ」

「別に見られても平気だろ」


「・・・お前さぁ。お前みたいな美人な人に肌を見られるのは、凄く恥ずかしいだろ。だから後ろを向いていろ」

「ほぉ~肌を見らえるのが恥ずかしいのか。その感情も持っていたか。持って無いと思ったがな」

「絶対にそう思って無いだろ。人の過去を見れるんだ。そう言ったものは既に知っているだろ。分かったら後ろを向いていろ」


「分かった分った。後ろを向いていればいいのだろ」


 プリシラは後ろを向く。オレはすぐにメイド服に着替える。着替え終わったら、プリシラをこっちに向かせる。


「――――――何とまぁ変わるものだな。初見では絶対に見抜けないぞ」

「すぐに見抜いてほしいな。可笑しなところはあるか?」

「無い。後は髪を梳かしてサラサラして、胸に詰め物を入れれば。完璧なおなごになるな。喋るとボロは出るだろうがな」


「詰め物は流石にやらないぞ。・・・さっきからじわじわとこっちに来てるが、何か顔に付いてるのか?」

「なにちと顔に触れたくてな。そう怖がるな。悪い事はせんよ」

「いや来るな。真正面からお前が来ると、恥ずかしいからな。鼓動が大変な事になるからな」


 オレがそう言うと、プリシラは無言で更に近づく。


「おいおい何で更に近づいて来るんだよ!?」

「なに。一部の貴族はメイドを愛でたりする奴もおるのだろ。(わらわ)はそれをやろうとしてるだけだ」


 プリシラはオレに近づき、両手で顔を優しく触る。オレは顔を赤くする。


「なななななな何をする気だ!?」

「ここまでくれば分かるだろ。それとも、言わないと気付かないのか?」


 プリシラは顔を近づけてキスをしようとする。オレはキスされそうになるが、すぐプリシラを突き放す。オレは顔を両手で顔を隠してしゃがむ。


「―――はぁ。反応がおなごそのものだな。初々しいと言えば聞こえが良いが、逆に根性無しや度胸無しとも受け取れるぞ」

「キスは駄目だろ・・・。そう言うのは()()駄目だろ・・・」

「まだ、か。いつかキスもまぐわいもしてくれるのか?」


「・・・・・・やっぱり永遠に駄目かな」

「主が駄目と言われても、(わらわ)が手を出すかもな」

「止めてくれ・・・。後ろは何か変な所は無いか?」


 オレは顔を両手で隠した状態で立って、後ろを振り向く。


「特に可笑しい所は無いぞ。初めて着た割にはすぐに着こなしてるな」

「オレもそう思ってるよ。後は動いても大丈夫かだな」

「(それにしても切り替えが早いなぁ)」


 オレは両手を顔から離して部屋の中を歩き回る。動きづらい事は無かったので、メイド服から私服に着替える。オレは本番当日まで着ないと決める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ