IF21話 甘く
王都に戻って来たら。他の騎士たちに連れられて、城に行く事になる。そこで2日休む事になった。2日休んだら玉座の間で国王様に怒られる。怒られた内容は大体分かる。勝手にゴブリンの集落を壊滅しに行った事と、第1王女を討伐隊に入れた事と、生徒を討伐隊に入れた事。教師が生徒を止めなかった事などなど。当然怒られるだけではなく罰を下された。
先ず討伐隊に参加した騎士たちは、シエルティス学園の夏休みが終わるまで、休暇と2ヶ月分の給料は4割カット。それプラス。実家に帰って家族に罰を下された事を、隠さず説明をする事になった。教師は2ヶ月分の給料は3割カットと、反省文50枚を国王様に提出。期間は夏休みが終わるまで。期間中に提出出来なかったら、2ヶ月分の給料は5割カット。そしてオレたちは夏休みが終わるまで、騎士たちと特訓と書庫にある本に整理。ロザリー様は騎士たちとの特訓ではなく、王女としての作法の特訓になる。
これでもかなり甘く見ているらしい。ゴブリンの集落の潰した事と、死者0名で帰還したことで甘く見てるらしい。なおオレたち生徒は夏休みが終わるまで、城で泊まる事になった。
それから1週間後。書庫で本の整理中。
「だー疲れる! 何でこんなに本があるんだよ・・・」
「そりゃあ書庫だからな。本が沢山あるのは当たり前だろ。逆にラッキーだろ。おれたちの知らない情報が、ここには沢山あるんだぜ。見なきゃ損するぜ」
「そうですよ。お陰様で興味深い本が見つかりましたよ。ラザさんは何か見つかりましたか?」
「魔物の解体書ですね。写しが出来るので、ラッキーっと思いましたよ」
「そう言えばオメーは図書室でそんな事やってたな。他の事はやらねぇのか?」
「やってはいますが。あんまりやり過ぎると、どっかでぶっ倒れますね」
「だろうな。しっかしラザがいて助かるわ」
「言えてるな。ラザがいなかったら、本の整理がここまで進まないな」
「ワタシたちだけだと、夏休み中には終わりませんね」
「そうですかね。オレがいても終わる気がしませんが」
「「「確かに」」」
「これゼッテー終わらねぇよ・・・。いや終わらせろって言われてねぇから、いいんだがよ」
「罰だからしょうがないからな。それにしても騎士の特訓って、あんなに優しんだな」
「優しかったですね。あんな優しい特訓でよかったんでしょうか? こっちは勝手に追加してやってましたが」
「良いと思いますよ。ただ騎士たちからは、可愛そうな目で見られましたが」
「俺らがやっていた事は、かなり異常だったんだろうな」
「イゼベル先生しか教わってないからな。おれたちの中であれが普通だと、思ってるからな」
「慣れって怖いですよね」
オレたちはせっせと本を整理をする。本の整理をしていると、エメリー様が来て休憩の時間と言う。オレたちロザリー様たちと合流して、書庫から出て中庭に移動する。中庭に着いたら、先に椅子に座っているクリス様とエディスさんがいた。オレたちは空いてる席に座る。
「毎度毎度と思うんだが。クリスとエディスは暇なのか?」
「今日は休みだから、アタシは遊びに来ただけだよ」
「ボクは暇だったから」
「だかと言って普通に来るものなのか? 城と言うのは、気軽に来る場所では無かろう。特にエディスはそうだろ」
「そうだけど。許可は貰ってるよ」
「・・・それでは何も言えんな」
「別に怒る事は無い。ラザたちに聞きたいが。騎士たちとの特訓はどうなっている?」
「イゼベル先生とは違って、優しいですね。あんなに優しい特訓をされると、こっちはかなり鈍りますね。出来れば外に出て魔物を狩りたいですね」
「許可は出ないだろうな。こっちは王女としての作法が辛すぎる・・・」
「真面目にやらなかった姉さんが悪いと思いますよ」
「そうだよ。ボクも一緒にやろうって言っても、中々やらなかったんもんねぇ~」
「普通の作法さえ出来ればいいだろ・・・。ラザたちに聞く。一度騎士の特訓と王女の作法を交換しないか?」
「「「「謹んでお断りします」」」」
「少しは悩んだらどうだ?」
「悩むほどの内容ですか? 交換なんてしませんよ。仮に交換しても、やらせてもらえませんよ。それにロザリー様の罰になってません」
「そうですよ。何のための罰ですか?」
「・・・・・・2人してそこまで言わなくてもいいだろ。そんなに私に作法やらせたいのか?」
「「はい」」
「何て奴らだ・・・」
「これが普通だからね。ロザリーは大人しく罰を受けるといいよ」
「クリスも言うのか」
「言うよ。勝手に討伐隊に参加したロザリーが悪い。これでもまだ怒ってるからね。ラザもだよ」
「まだ怒ってるんですか? ちゃんと謝罪をしたと思いますが」
「それでもダメ。多分だけど。キミはまた無茶をやると思う」
何でこの人そんなこと分かる訳? 確かに無茶をやりますよ。文化祭で。
「やりませんよ。オレだってまだ命が惜しいのですよ」
「・・・まぁそう言う事にしておくよ」
絶対に嘘だとバレてるな。
クリス様はロザリー様と話す。エメリー様はエディスさんと話す。
「お、おいラザ。オメーよく王女様たちと話させるな」
「あぁ慣れですよ慣れ。慣れないと後々面倒ですよ」
「ラザは凄いなよな。おれは今でも会話出来ないぜ」
「ワタシもです」
「高ランク冒険者になれば、嫌でも大商会や貴族と話すことになりますよ。今のうちに慣れないと、本当に面倒になりますよ」
「分かってるがよぉ。流石に相手がワリィだろ・・・」
「精霊の相手をするよりマシかと。王族とか貴族と言っても、同じに人ですよ。精霊は違いますよ。気分を損ねると、その場で消されます」
「主よ。妾を何だと思っている?」
「別にプリシラの事を言った訳じゃ無いよ。ただの例えだよ」
「そうか。まぁ主が言っていた事は、あながち間違えではないな」
「「「「えっ」」」」
「過去に召喚された精霊がな、召喚者が気に食わなかった故。その場で殺めて帰って行ったな」
「しょ、召喚された使い魔や精霊って、無害じゃ無かったか?」
「そんなわけが無かろう。名前を与えられぬ限り、契約をしてないのだから。当然殺める事が出来る」
「マジかよ・・・。俺らよく生きていたな」
「おれ機会があったら、召喚札を買って召喚しようと思ったけど。止めとくわ」
「ワタシそうします」
「精霊ってやっぱり怖いな・・・」
それぞれ休憩時間を過ごす。休憩時間が終わる、また書庫に戻って本の整理をする。