IF17話 単純
合宿所から東北東に行く。その場所にゴブリンの集落がある。
「あの戦闘好きのおなごを唆さなくても、周りの人が言ってくれたお陰で。ゴブリン集落を潰せるな」
「そうだけど。何かお前も嬉しそうに言ってないか?」
「そんな事は無いぞ」
「本当か? 話は変わるけど。何でロザリー様やエメリー様とクリス様は、婚約者がいないんだ?」
「言われてみればそうだな。王族なら婚約者がおると思ったが、そうでもないのだな。恋愛結婚を推奨しているかもな」
「なるほど。納得できるな。まぁオレには関係無いからいいけど」
「そうだといいんだがな。今の状況を見ると、ひょっとしたら。何て事もあり得るぞ」
「いや無いだろ。と言いたいが、ちょっと否定が出来ないんだよな・・・。普通婚約者でもないの人の家に来るものなのか?」
「来ないだろうな。ただ。仲の良い友達なら、来ても可笑しくはないだろ。それに1人で来たわけでもないだろ。複数連れて来たから、そう言った感情は無いとも思える」
「でも分からないんだよなぁ・・・。プリシラならもう分ってるんじゃないのか? 人の過去を見れるんだから、あの3人の過去を見て答えを知ってるんじゃないのか?」
「残念だが答えは得られなかったぞ」
「そっかー・・・」
「な~んかおもしろくもない話をしてるけど。結婚とかしたものなのかなぁ?」
「人にもよると思いますよ? 団長は結婚したいと思いますか?」
「あたしはする気無いねぇ。それよりも戦いの方が好きだからね。それとあたしはルトリ。ちゃんと憶えてねぇ」
・・・ヤバい人に目を付けられたか? 今回はゴブリンと戦う事になるけど、後ろから刺されないだろうな?
「それでぇ。ラザちゃんは結婚したいと思うの?」
「どうでしょうね。今は学園を無事卒業するって言う、目標があるので恋愛にかまける暇は無いんですよ」
「無いんだ。あたしと一緒だね。確か冒険科だっけ? 騎士にはならないの? 給料は良いよ」
「なりませんよ。騎士になると面倒な事が多いじゃないですか」
「まぁそうだねぇ。お前が騎士になってくれるなら、すぐに第3騎士団に迎えたのになぁ」
笑顔がこわっ!? この人の笑顔怖いぞ! これだけで何人か殺してるだろ・・・。
「遠慮しておきますよ。まだ死にたく無いので」
「勿体ない。気が向いたらいつでも言ってきても良いよぉ。いつでも歓迎するから」
「アハハハ・・・。そうやって誘ってますが。実は戦いたい人は傍に置こうとしてませんか?」
「・・・・・・やっぱり分かるぅ?」
「はい」
「気を付けろよ主よ。この小娘はあの手この手で、傍に置こうとするぞ。過去に何度もやっているぞ」
「あれぇ? あたしの過去なんて、一言も言って無いけど」
「プリシラは人の過去を見れるので、色々丸見えなんですよ。プリシラの前では隠し事は効かないですよ」
「ヘぇそうなんだ。どうでもいいけど。それよりまだ見つからないの?」
「あともう少しです団長。それにしてもいいんですか? 危険がある先頭に、ラザ君を配置して」
「大丈夫だよ。どうせプリシラちゃんが何が何でも護るでしょうし」
「護るが。そのちゃん付けは止めんか。もうそう言われる歳では無い」
「「えっ?」」
ルトリさんと騎士の人が驚く。
「驚く事は無いと思いますよ。精霊は年を取ってもそう簡単には、見た目は変わらないので。見た目が変わるのは、かなりの時間がかかるようですよ」
「それ初めて知りましたよ。団長は知ってましたか?」
「あたしも知らないね。そもそも精霊って契約できること自体が、奇跡じゃないの?」
「奇跡ですよ。オレ以外にも精霊と契約した人はいますよね?」
「いますけど。かなり昔の話ですよ。大体の人は王族とか皇族に仕えていたそうですよ」
「げっ、王族や皇族に仕えていたんですか? 聞きたくなかった・・・」
「おもしろいこと言うねぇ。普通なら喜ぶところだよ」
「普通じゃ無いから喜んで無いんですよ。これ絶対に国王様に何か言われるよ・・・」
「はぁーいるもん何ですね。王族に仕えるのに、嫌そうな顔する人何て」
「世界は広いからねぇ。探せばいくらでもいるでしょ。見えてきたけど。あれがゴブリン集落?」
「はい。あれがゴブリン集落です。仲間に連絡をして来ます」
騎士の人は連絡をするために、後ろに行く。
「じゃああたし達はゴブリンどもを見ようか」
「分かりました」
オレとプリシラはルトリさんについて行く。
「家がもう10は超えてるねぇ。あの家の中にもいるね」
「洞窟もありますね。あの中にキングやクイーンがいるんでしょうね」
「いるだろうな。にしてもちと規模が大きいな。時間がかかるな」
「そうだな。このまま戦うと死者が出そうだな」
「・・・あの家を囲んで洞窟の出入口を塞げば、少しはマシになると思うが」
「確かにマシにはなるねぇ。でもプリシラちゃんは出来るの?」
「出来るとも。あれは『木魔法』で囲んで出入口を塞ぐ事も出来る」
「便利ねぇ。じゃあちょっと待ってて」
ルトリさんは他の騎士の所に行く。作戦の話をしているのだろうか、色々と話が弾んでいる。その会話が終わり、こっちに来る。
「これからあの集落をぶっ潰します。作戦は至って単純です。先ずはプリシラが魔法で、家を囲み洞窟の出入口を塞ぎます。それを合図に魔法で一斉にゴブリンどもぶち殺します。最後は白兵戦でゴブリンどもぶち殺します。これらを達成しましょう。先ずは出来るだけ包囲するような形で、配置に着いてください。魔法で攻撃する人は、出来るだけで高い位置にいてください。騎士達は馬を何処かに、置いていってください」
ルトリさん元い団長の指示で動く。
「プリシラは責任重大な」
「そうだな。まぁ失敗する事は無い」
「失敗したらプリシラ1人で、何とかしてもらおうかな」
「それでも良いが。隣におる戦闘好きが許すとは思えんがな」
「そうだよぉ。あたしの分が無くなったら、ラザちゃんで埋めてもらうからねぇ」
「絶対に失敗しないでくれ。オレはまだ生きていたい」
「大丈夫だ。ほれ始めるぞ」
プリシラは木魔法を使って、家を取り囲んで洞窟の出入口を囲む。それが終われば魔法で一斉に攻撃が始まる。