IF13話 弱い
7月29日。中庭で気配遮断の特訓中に、ロザリー様が木剣を持って勝負を挑んて来たので。返り討ちにした。
「・・・弱いですね? それで騎士科の2学年でトップですか?」
「そ、そうだ。魔法を使ったのに、返り討ちにされただと・・・?」
「イゼベル先生に鍛えられてますからね。ロザリー様も教わったらどうですか? 今までのは遊びだったのか。って何りますよ」
「そこまで変わるのか?」
「変わりますよ。やっぱり一度は強者と戦った方がいいですよ。自分が雑魚だとハッキリと確認が出来ます」
「確認が出来るのか・・・。つまり私は雑魚以下だと言うのか?」
「そうですね。雑魚以下ですね」
「ハッキリと言うな・・・。私は少し休憩をするが、ラザはまだ続けるのか?」
「続けますよ。目標は誰にもバレないようにすることです」
「目標が凄いな。だがラザが常に気配遮断をしていたら。私たちも気配察知が上達すると思うが」
「上達するでしょうね。それと同時に私の気配遮断も上達します」
「・・・私はエメリーたちの所に行く」
ロザリー様はエメリー様たちの所に行く。すれ違いでプリシラがこっちに来る。
「あれはすぐに再戦を言ってくるぞ」
「だろうな。次の再戦は合宿中かな。その時も返り討ちにしてやる」
「あの小娘はこの国の第1王女だろ。花を持たせる気は無いのか?」
「最初はそうしようとしたけど。ロザリー様が手加減無しで戦えって言うから。手加減をしながら叩きのめしてるんだ」
「・・・ん? よく分からんぞ」
「仮にオレが手加減をしなかったら、どう戦うと思う?」
「主なら気配遮断を使って、すぐに倒すな」
「その気配遮断を使わないで戦ってるんだ。気配遮断を使うと、すぐに勝負は終わるからな。勿論魔法は使って戦っている。これでロザリー様と戦っているんだ」
「なるほど。本人は知っているのか?」
「知ってるだろ。オレが気配遮断を使ってない時点で知ってるだろ。本人は半分納得して、半分納得してないだろうな」
「そうだろうな。妾も同じ立場だったら、納得はせんだろうな。ところで。今は気配遮断だけの練習か?」
「そうだけど」
オレは気配遮断を使う。オレは少し移動すると、プリシラはちゃんとオレを目で追う。
「では前に話した。精霊魔法の続きを話そうとするか。前に妾の魔力を主に譲渡する話をしただろ」
「してたな。確かプリシラが持ている魔力の1割、オレに譲渡する話だったな」
「その通り。今からやるぞ」
「今から!? ちょっと待て。譲渡されたらオレは血を吐くんだろ」
「吐くな。間違いなく血を吐くな。なら吐かないように、今ここで魔力を使え」
「ここでか!? 危ないだろ!」
「上に向けて魔法を使えばいいだろ。はよやれ」
「何かあったら、プリシラが何とかしてくれるのか?」
「勿論」
オレはそれを聞いて、右腕を上に上げて水魔法を使う。ただ普通に使っても消費する魔力が少なので、色々試してみる。先ずは水を螺旋のようにして高速で出す。
「『スパイラルウォーター』か。かなり速いな。あれが何かに当たったら、一溜りもないな」
次は水の矢を複数出したり、水の槍を複数出す。最後は水をミサイルの形にする。
「な、何かさっきから魔法が上に出ているけど。ラザだよね」
「ラザだろうね。何か上達してるなぁ。ちょっと見つけるのに苦労するね」
「ラザに勝つには、あの気配遮断を何とかしないといけないのか。あれは見つけられるのか?」
「気配察知が上達しないと、無理かもしれませんね。プリシラさんは凄いですね」
「精霊だから。あの程度は余裕なんだよ。プリシラさんから教わろうかな」
「そうかプリシラから学べばいいのか・・・」
「何だあれは? 何処で見た事があるぞ」
「気のせいだろ。どうだ? プリシラの魔力が1割入るか?」
「それだけ空いていれば入るだろ」
「・・・どれくらい魔力を持っているか、分かるんだ」
「これくらいは分からないでどうする? ほれ魔力を譲渡するぞ」
プリシラはオレの右肩に手を置く。置かれたところから、魔力を感じてそのまま身体中に流れる。
「他者から魔力を貰うのは初めてだな。何か満たされるな」
「どう満たされるんだ?」
「ん~・・・。例えるなら。空腹の時に水を飲むと満たされていく感じ」
「そんな感じか。で。身体に変化はないか?」
「今の所は無いけど。意外と大丈夫じゃ」
オレはすぐに口を押える。胃から何かが出る訳では無いが、吐き気があって気持ち悪い。
「どうやら変化があったようだな。大丈夫か?」
オレは首を横に振る。
「声も出せぬ状態か。ほれ寄りかかってこい」
オレはプリシラに言われた通り、オレはプリシラに寄りかかる。
「ラザさんどうしたのでしょうか? 急に見えるようになっと思ったら、プリシラさんに寄りかかってますよ」
「体調でも崩したんじゃない? 今日は色々やっていたから、疲れが溜まったんじゃない?」
「これは私のせいだな。私が急に勝負を挑んだのが悪かったな・・・」
「多分違うと思うけどね」
数分後。吐き気が治まりプリシラから離れる。
「もう治ったか。もうちとあのままで良かったのだがなぁ」
「離れた場所でロザリー様たちがいるんだよ。見られていたら恥ずかしい」
「本当に恥ずかしいと思っているのか? それを言えば妾が離れると思ってるのか?」
「本気で恥ずかしいと思ってるが。それより治ったって事は、オレの魔力は精霊の魔力なっているのか?」
「なっておるぞ。後は実際に魔法を使ってみるのがいいが・・・。それは合宿中にやるといい」
「合宿中か。因みにいつになれば普通の魔力に戻るんだ?」
「1ヶ月後だな」
「長っ!? そんなに長く保つのかよ」
「保てるな。それよりちと休め。吐き気が治ったとはいえ、また吐き気を催すかもしれんぞ」
「そうだな。休憩をするか」
オレとプリシラは休憩をするために、ロザリー様達の所に行く。