IF12話 戯け
「5分経ったかな。プリシラ。先に入ってくれ」
「妾が先に入るのか? 主が入っても大丈夫だろ」
「本当に大丈夫だと思うか? 媚薬だぞ」
「・・・あぁそう言う事か。なら妾が先に入ろう」
オレはドアから離れて、プリシラは中に入る。待っていると、ドア越しで入って良いと言われる。オレはドアを開けて中に入る。
「・・・・・・意外と普通なんですね」
「意外とは失礼だね。まぁそう思って仕方がないか」
「最初こそ色々大変だったが。冷静になってエディスに浄化魔法をかけたら、元に戻った」
「浄化とは一体? 個人が使う浄化魔法は色々と違うんですかね」
「そうだと思いますよ。これもイメージの違いだと思いますよ」
多分浄化魔法じゃ無くって、違う魔法になってるかもな。
「それでエディスさんはベッドで何してるんですか? しかも毛布で包まって」
「恥ずかしい思いをしたから。こうしてるの・・・」
「そうですか。で、貴女方は反省をしましたか?」
「「「「はい」」」」
「次からちゃんと前もって言ってくださいよ。前日に言われても困りますからね」
オレはそう言って、ベッドに座る。付くてくるようにプリシラもベッドに座る。
「あの青瓶は何処に行きました?」
「アタシが回収したよ。ラザに渡す物じゃないね」
「次渡して来たら。それも飲ませますからね」
「本当に気を付けます!」
「そうしてください。それで何でここにいるんですか?」
「ラザさんがいるからですよ」
「そんな理由でオレの部屋に入らないでくださいよ。普通男子の部屋に入りますかね?」
「普通なら入らないね。でもほら、そこはキミだから。特に問題は無いと思ってね」
「大アリ何ですが。少しは入るのに躊躇してくださいよ」
「ナイナイ。ボクたちがラザの部屋に入るのに、躊躇しないよ」
「それは女性としてどうなんですかね・・・」
「だって如何わしいモノが無かったからね」
「おいクリス。喋り過ぎだ」
「あ」
「ちょっとクリス様。なに人様の部屋で物を漁っているんですか?」
「あぁいやちょっと、興味があってね。ついちょっと漁っちゃって・・・」
「ついで部屋の中を漁らないでくださいよ! パッと見全然分かりませでしたよ」
「それはそうだよ。ボクはキチンと元に元したからね」
「得意げに言っても。かっこよく思えませんよ」
完全に油断してたな・・・。この人他者から持ってくる面倒は、徹底的に排除する癖に。自分が気に入った人に対しては、これでもかって言うほどの面倒を起こす。これはまだ序の口だろうな。
「じゃあさぁ。今度ボクの家に招待するかさ。その時ボクの部屋を漁ってもいいからさ。勿論ボクの目の前でね」
「人の目があるとこで物を漁るほど、精神がたくましい訳じゃ無いですよ。いなくても漁りませんし、クリス様の家には行きませんよ」
「なぁ~んだ。来ないんだ」
行ったら生きた心地がしないもん。
「ところでラザさん。さっきからプリシラさんに、頭撫でられてますけど。いいんですか?」
「別に良いんですよ。いつもの事ですから」
「いつもの事なのか」
「そ。いつもの事なんですよ。――――――えっ? 頭撫でられてたんですか?」
「撫でていたが。何か問題もあったか?」
「あるよ! 何普通に頭を撫でてるの!? 撫でるなら人がいない所でやってくれ!」
「見られる事が恥ずかしのか?」
「恥ずかしいに決まってるだろ! 見ろよこの4人を、完全に興味津々で見てるぞ!」
4人がオレに近づいて来る。
「もっと撫でられないのですか?」
「別に私たちが見ていても問題は無いだろ。先まで平気だっただろ。ん?」
「これでだけでアタシは満足かな」
「あ、何ならボクが撫でようか?」
「止めてください。オレがぶっ倒れます」
「ふ~ん。ぶっ倒れるんだ」
クリス様はこっち来る。オレは逃げようとするが、エディスさんに捕まる。
「何で捕まえるんですか!?」
「さっきのお返しだよ!」
「お前実は反省してないな!」
クリス様はオレの所まで来て、頭を撫でようとするが。プリシラに叩かれる。
「クリスの小娘。それは妾が許さんぞ」
「別にラザの頭が減る訳でも無いでしょ」
「それでも許さん。そもそも目の前で他者のおなごに触れられることが、我慢できるものか?」
「確かにそうだね。それでボクは触るよ。それにいいの? エディスがラザを触っていたけど」
「今は触ってないぞ。あのまま触っていたら、手が無くなっていたかもな」
「放してて良かった・・・」
「何か大変な事になってますが。いいんですか?」
「もう放置していいかと。オレが何やっても意味が無いかと」
「お前が大人しく撫でられていれば、こんな事にはならなかったと思うが」
「エメリー様が何にも言わなければ、よかったと思いますが」
「あ・・・。すみません・・・」
「もういいですよ。怒って無いので」
時間が経ったらオレとロザリー様で、2人を止める。
その日の夜。部屋でプリシラが帰って来るのを待っていると、プリシラが戻って来る。
「風呂から上がったぞ」
「お帰り。何か事件でもあったか?」
「主の度し難い戯け兄たちが、風呂の前でまで来ていたな」
「はぁ!? アイツらは馬鹿なのか!?」
「戯けだろうな。風呂場にまで侵入してこなかったから。特に何にも起きてはないぞ」
「メールたちかな。あの人たちのお陰で助かった。ロザリー様たちには気付かれてないか?」
「何も気づいてはおらんな」
「気付いて無かったか。兄たちは親父にかなり叱られるだろうな。風呂は皆上がったのか?」
「上がっている。今なら1人で満喫出来るぞ」
「嘘だったら、当分話さないからな」
オレは部屋ら出て風呂に入りに行く。