第86話前半 失敗
すみません。今日は少なめです。
「なん……だ?こいつ……?親父は?アイツの所に送るんじゃ……!?」
その獣がニタリと笑う。
左手の指がグニャリと歪む。
「──ッ!!」
空間が一直線に裂かれる。
寸前に玲音が背中を押していなければ、真っ二つだっただろう。
「あ……?なん────」
鋭い突撃から蹴りを放つ。
首が変な方向へと曲がる。
「──馬鹿っ……ゆーじ!!しっかりして!!ゆーじッッ!!!!」
優司に掴みかかり、呼びかける。
メキメキという音を立てて首が再生する。
「へへっ……!!」
だが、鋭い爪が玲音を襲う。
咄嗟に左腕で庇うが、その勢いのまま空へと放り出される。
「くっ!?」
「あっ?」
その腕が一瞬で傷だらけになる。
その攻撃を放ったのは黒の少女。
「てめぇ……なにやってやがる……!!こいつは仲間じゃねえのかよ!?」
「………へ。」
なんの躊躇いもなく傷の付いた左腕を引き千切った。
「……なんだこいつ……人間じゃないのか!?」
「違う!ゆーじは……」
人間、そう言い切る前にソレが笑った。
「はは、はははは!!!!!」
全身からトゲが生え、そのトゲが伸びる。
「くっ!?」
「野郎……ッ!!」
ソレが作った裂傷を『天野優司』の形をした獣が満足気に眺める。
「……ゆーじ、ボコボコにするよ。」
玲音の姿が掻き消え、直後の破裂音で獣が吹き飛ぶ。
「ぐへっ!」
吹き飛びながらも、その獣は笑っていた。
目が爛々と輝く。
「来る……!」
口がパカリと開く。
黒い波動の塊が射出される。
「擬似空蝉ッ!!」
一瞬、玲音が存在しなくなる。
再度現れたその時には既に黒弾は通り過ぎている、黒弾を回避した勢いでそのまま蹴りを放つ。
「へ……!」
だが……やはりと言うべきか、全くそのダメージを意に介さない。
「くっ……やっぱり無理か……!?」
「……その口振り……お前やっぱり知っているらしいな。
アレが何か説明して貰おう。」
「……分かった。ゆーじも、今は絶対に知れないし。」
いつも読んでくれてありがとうございます。
早めに補填を投稿します。