第79話 全員。
遅れてすみません。
『ーー最上位権限!!!』
ハッキング、脳のデータが痛みの感覚と共に書き換えられて行く。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーッッッッ!?!!!!?!!!」
獣の叫び声の様な壊れる声がした。
焼け付く痛みと響く高笑いが混ざり合った。
『貴様が私を殺す?笑わせるなぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
「だ……ま…………れェェェェェッッッ!!!!!!!!!」
獣の様な咆哮だった。左目に手を掛け、その手に力を掛ける。
『なに……!?』
ゴトン。それが嫌な音を立てて落下した。
それと同時、スピーカーが粉砕される。
「……っ!?」
「お前……それ……!?」
顔の左半分が剥がれていた。
髪の毛の垂れ方が頭の凸凹を型どった。
「なんて事ねえよ。問題ねぇ……!!!寧ろスッキリした。」
パンパン、手を二度叩く。
それは1人と1匹の約束。
『クォォォン?』
生まれた時から一緒だった。
唯一の友達だった。
……きっと、それを裏切る事になる。
「……連れてけ。」
そっと、囁いた。
絶対に裏切らない友達に。
『……クォォォォ……。』
「行けッッ………!!!!」
「なっ!?」
「お、お前!?」
ガシッ、ステルスモードのポチが2人を掴む。
『クォォォォォォォン!!!!!!!』
泣くような咆哮があった。
いかに高機能と言えど、感情を獲得するハズは無かった。
感情を持つ、それ自体が奇跡だった。
……だが、機械の魂は命令に逆らえない。
「…………これで、いい。」
くるりと、踵を返し、不敵に妹達を眺める。
「オ……ネ………サ………」
1人が呻いた。
「こいよ、全員楽にしてやる。」
剣を構える。
視界は不良、感覚が無い、身体から迸る火花。
だからどうした。
飛び掛かり斬撃を放つ、その三方向の連携を力技で薙ぐ。
「……そんなもんかよ。もっと来いよォォォォッッ!!!!」
視界が変わる。
光る銃口から数百の光弾が放たれる。
圧倒的物量のそれを斬る。
「らァァァァァァァァッッッ!!!!!!」
同じ力をぶつけ、相殺。
砂煙を抜け、蒼電で斬り込む。
だが、それは敵陣に1人隙を晒す行為だ。
集中砲火が飛ぶ。
だがそれを飛び上がり回避。
お互いの弾丸に、攻撃に当たる。
「チィッ…!!」
だが、足が焼かれる。プロテクトが崩れ落ちる。
空中で銃を乱射する。『目』を破壊した影響か、照準が定まらない。
着地を狙う攻撃を防げない。
……だが、
「『ヴィーグ』ッ!!」
それを自身に放つそれは『移動』。
空中で軌道を変え、遠くで落下する。
「はぁ……はぁ……っ!!これで……29人……!!」
それをものともしない集中砲火。
色取り取りの光が飛んだ。
地面を斬り、壁にする。
「絶対に……絶対に全員救ってやるからなぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」
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