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第171話 希望(前編)

玲音は少しの間だけポカンとしていたが、すぐに、


「えへへ……まさか私がゆーじに助けられるなんて。」


そう言ってはにかんだ。


「あぁ!いつまでも玲音に助けられてばっかじゃカッコつかないからよ。」


「ちゃんとカッコ良かったよ、ゆーじ。」


ここまでは仲睦まじい幼馴染な会話だったのだが……ここからが亜流玲音のテンプレ。


「…………隣に居るやつのパンツ確認しながら褒められても何も嬉しくないんだが……?」


そう、テンプレ(変態性)である。

スカートに顔面を突っ込まれてるカオスも心なしかげんなりとしていた。


「私の予定はいつだってかわいい女の子優先なんだよ!!」


「あ〜……そうでしたね玲奈さん。」


しかし、恐ろしいのはカオスの対応力だ。


「あはは……女の子の予定も考えて貰えると助かるんだけど……。」


怒らず、恥じらわず、なんなら微動だにせず。

正にその心意気は明鏡止水。


「ところでどうしてそんなに顔を紅くしてるの?」


逆に返しの言の()で玲音の肩がギクリとでも言うようにビクリと跳ねる。


「な、な、な、な、な…………!」


────数十秒前。


「ちゃんとカッコ良かったよ、ゆーじ。」


……と口にしたあと。

ふと、玲音は自分の身体に違和を感じた。


(あれ〜?大した運動もしてないのに、なんか体が暑いや。

……ん?これ、暑いの体というか…………顔?)


そこまで行けば、違和の理由に辿り着くまではいとも容易い事で。


「…………あ。」


(あれ?もしかして私、照れちゃってる?……ドキドキ、しちゃってる……?普段から散々煽ったり思わせ振りな態度取っといて……?)


自覚すればするほど、顔はどんどん熱く、どんどん紅くなっていく。


(やばい!ゆーじには……ゆーじにだけはバレないようにしないと…………!!)


しかし、そう都合良く顔を隠す方法などあるはずも────


(そうだ!カオスちゃんのスカートの中に隠れちゃえ!)


──というわけで、思わぬ方向から自身の状態をバラされ、混乱状態の玲音は、ぐるぐると目を回しながら力いっぱいスカートを引っ張り始めたのだった。


(バレたバレたバレたバレたバレたバレたバレた〜~ッッッ!!!!!)


そして、勿論それで困るのはカオスだ。


「ちょ……ちょっとォ!!スカート引っ張らないで!!」


何度か玲音にパンツを強奪されたりした影響で羞恥心は軒並み消え去っていたが、それでもパンツをモロ出しにするのは恥ずかしいらしく、必死の抵抗を見せる。

…………が。


「あ──ッッ!!!!」


遂にスカートがスポンとすっぽ抜け、更に玲音がそのスカートを頭から被って三角座りを始め、


(恥ずかし恥ずかし恥ずかし恥ずかし恥ずかし恥ずかし…………!!!)


挙げ句に小声でブツブツと反復詠唱を始めてしまった。


「恥ずかしいのは私だよもォォ──ッッ!!!!」


────と、


「おいおい、落ち着けよ。顔赤いのもどーせ興奮のせいだろ?」


バカみたいに鈍感な優司のその発言に、玲音の顔がパァっと明るくなる。


「そ、そのとーり!!流石幼馴染!!よくわかってるじゃん!」


玲音はテンションの高低差に困惑気味の優司の背中をバンバンと叩きながら、あっはっはー!と笑ってみせる。


「え?あ、ありがとう……?」


「そんなのどうだって良いですからスカート返して貰えます??!?!!!」


結局一番割りを食ったのはモロパンを内股で必死に隠すカオスなのであった。

いつも読んで頂きありがとうございます!

こんなのが希望ってまじ……?

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