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第169話 全部(前編)

混軌が剣を男の顔面へと向けて言い放つ。


「それもここまでだ。お前の能力を封じる。二度と僕たちを追ってこれないようにね。」


「はっ。おめでた野郎やなァ。そんでもって、めちゃくちゃ甘い。」


心底嫌悪する様にそう吐き散らし、そして笑う。


「甘すぎてゲボ吐いてまうわ。」


その時、男の輪郭がブレる。


「いいや……これは!!」


「地面が揺れてッ!?」


瞬間、二人は『それ』のあまりの悍ましさに息を呑んだ。


「『百手冠葬(ハンドレッド)』」


百なんて生温い。砕けた地面から覗くのは、蠢く無数の掌。

それはまるで、獲物を待つ獣の様に二人が墜ちて来るのを大口を開けて待っていた。


「さぁ、デスマッチの開始や。まぁこの技からは逃げられんけどなァ!!!」


手で出来た触手が獣の腹の底に二人を叩き込もうと襲いかかる。


「くっ……『創雷断絶(メイドオブアーク)』!」


優司は何度も触手を一刀のもとに斬り伏せるが、その度に何度も触手は遅い来る。

その時、


「優司君ッ!!!」


混軌が優司を突き飛ばす。

地面から突き破り、触手が襲ってきたのだ。


「くっ……サンキュー混軌。」


だが、その姿はどこにもなくて、


「……混軌?」


「これで一人、あと一人や。」


その言葉でやっと、優司は空を見上げた。

そこには、優司の代わりに空へ突き飛ばされた混軌の姿があった。


「混軌ッッッ!!!!!!!」


「これも全部お前の甘さが招いた結果や。その甘さが、お前の命だけでなく、お前の周りの奴の命も奪っていく。哀しいなァ……。」


またもや地上から、地面から襲い来る触手を斬り捨てるが、


「これで終わりや!!」


遂に地面が全て崩れ、優司の体が宙に放り出される。

…………だが、


「待てよ。」


その目に伊佐那吉は思わずゾッとした。


(こいつ…………ッ。)


全身から紅黒い雷が迸る。その雷はどんどんと濃く、黒く染まっていく。


「よくよく考えたら全部お前が悪いだろうが!!!!」


「…………!!この魔力は……!?」


むせ返る程に甘く甘美な香りに、混軌は目を醒ます。


「おめでた野郎で結構。自己満で結構。偽善者……上等!!!」


「チィッ……死ねェェェェ!!!!!天野優司ィィィィィィッッッッッ!!!!!」


「『天変地異(グランド・スパーク)』ッッッッッッ──!!!!!!!」


炎と黒雷。その2つを纏った剣が真下へ、大口を開けた怪物へと放たれる。

瞬間────閃光、轟音。

黒と赤が視界を埋め尽くし、怪物も、優司も、何もかも全て灼き尽くす。

いつも読んで頂きありがとうございます!!

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