ストーカーハント その2
翌日、Sクラスの早川の7限の授業が終わると俺らは集まり、これまたSクラスの堀田先輩が下校する後を、急いでつけていった。
「堀田さんには、今日は歩いてクライミングジムに行くように言ってある」
「おいおい、歩いたら2キロはあるだろ」
「歩く距離が長ければ、それだけストーカーの尾行時間も長くなるし、そいつを捕まえるチャンスも多くなるだろ? あと、堀田先輩には後ろで騒ぎがあっても、振り返らずに逃げるように言ってある。ストーカーと顔を合わせたくないだろうからな」
ちなみに、あまり乗り気じゃなかった三島さんもついてきた。
なんだかんだ言って、気になるんだろうね。
「……おい、いたぞ。目標発見」
早川が小声で注意を促したので堀田先輩のほうを見ると、いたいた。
先輩の後方五メートルほどの近距離を、身長一四〇センチくらいの、怪しいミニマムJKがつけている。
あれだけの距離にいて見つからないんだから、相当手練れのストーカーのようだな。
だが反対車線の歩道にいる、俺たちからは丸見えだ。
「間違いない、あのチビだ。スクールバッグに黄色のシュシュをつけているだろ? 今日はショートボブにしている……」
「わざわざ髪型変えるとか、凝ってるな……」
だが、そのミニマムJKがぴょこぴょこと髪を弾ませながらついていく姿を見ると、ストーカーというよりも、なんというか、ファンに近いような……。
と、そいつは急に立ち止まった。
どうやら、堀田先輩が見通しのいい橋を渡り始めたので、姿がバレない距離に離れるまで待つらしい。
「今だ! 堀田さんと離れたうちに捕獲するぞ!」
早川は威勢よく呼びかけて、そいつの後ろに回り込むまではよかったが、悲しいかな。日ごろの運動不足が祟って、そいつの真後ろでズッコケた。
そして、驚いたストーカーが逃げ出して、取り逃がしたかとあきらめかけたが、猫のように飛び掛かった三島さんが片手でそいつの首根っこをつかむと、ズルズルと引きずってきた。
「よくやった、三島! ……あと、殺すなよ?」
早川が立ち上がりながらした忠告に、三島さんは真顔でうなずいた。
迫力だけなら、三島さんのほうが危険人物感満載なんだが……。
そして、俺と早川の前に引きずり出されたミニマムJKの顔を見ると、
「あれ、まさか、お前はあのときの……?」




