攻略対象~悪役令嬢の義弟~
不快表現アリです。
僕が愛するきれいな人。
その人はイジワルな顔をしているけれど、とてもきれいな人。
そのきれいな人は、僕だけの義姉様。
初めて会った時は、イジワルお母様やイジワル伯父様のように意地悪する人だと思っていたんだ。
でも、違った。
ぜんぜん、違った。
すごく優しくて、すごくいい匂いがしたんだ。
僕は、義姉様がすぐに大好きになったんだ。
いつか、僕だけの物にしたい。
そのきれいな目に僕だけを映して、僕だけを愛してくれて。
そんな日を僕はお星様にお願いしてる。
本当のお父様は、イジワルお母様をいつもイジメていた。
僕をイジメるイジワルお母様は、イジメられて当然だ。
本当のお父様はイジワルお母様をものすごくイジメ続けていて、とうとうイジワル伯父様から離縁を命令されたんだ。
本当のお父様は、その命令に従い僕を置いてどこかに消えた。
どうして、本当のお父様は僕を置いて行ったんだろう?
本当のお父様がいなければ、僕をイジメるイジワルお母様に誰が仕返ししてくれるの?
城にいる人たちだっておかしいんだよ。
いつも、「あなた様の従兄弟様は、そのくらいできますよ」とか「あなたの従姉妹様は、そのお年でちゃんとできて当然でしたよ」とか、いつも嫌味を言ってくるんだ。
僕が、城にいる人たちやイジワル伯父様やイジワルお母様にイヤミを言われ続けている日にイジワルお母様がまた結婚することになったんだ。
あんな性格が悪いイジワルお母様と結婚するなんて、なんて心の広い人なんだろうと思ったんだ。
新しいお父様は、どんな人かよく分からない。
いつもいつも、部屋に引き籠ってるんだ。
でも、そのお陰でイジワルお母様は僕をイジメることがないんだ。
そのことは、新しいお父様に感謝しなくちゃ。
そしてそして、一番大切なことは義姉様が僕に優しくしてくれること。
早く僕の物にしたいな。
だって、血が繋がってなければ結婚できるって聞いたことがあるんだもん。
義姉様は、いつか僕のお嫁さんに絶対になる。
だって、僕のイジワル伯父様はこの国で一番偉い人だもん。
それにしても、僕の義姉様は優しいな。
イジワルお母様に優しくできるんだもん。
僕には、ぜっーたいにできない。
○△◇年後____
俺の義姉さんが、さらに美しくなった時に新しいお父様が義姉さんの婚約話を嬉しそうに持ってきた。
ふざけるな!
義姉さんは、俺の物なんだよ!
これは、俺が嫌いなイジワルお母様が原因だな。
絶対にそうだ!
アイツは、俺のことを嫌っているから意地悪するもんな。
殺してやる!
殺してやる!
殺してやる!
殺してやる!
殺してやる!
殺してやる!
絶対にいつかアイツを殺してやる!
そんな時に、この国の守護神ホワイトキャットが俺の前に現れた。
この薬をアイツに飲ませれば、確実に殺せると言って。
これで、義姉さんを俺の物にする障害がなくなる!
ホワイトキャットにもらった薬を屋敷の使用人たちの目を盗んで、アイツの食事だけ薬を盛っていった。
順調に事が進んでいる。
これも、守護神ホワイトキャットのおかげだな。
日に日に弱っていくアイツ。
俺は嬉しさを出さないように、きわめて無表情に装った。
それにしても、俺の義姉さんは天使だ。
死んで当然の奴のために、悲しんでくれる。
アイツの命がやっと風前の灯という時に、予想外の邪魔者が現れた。
ボロボロに傷ついたナニカだ。
そのおんぼろナニカは、アイツを治しやがった。
なんてことしてくれる!
俺の苦労をなんだと思ってるんだ!
...まだ俺がしたことだと誰も気付いていないんだ。気付くはずもない。
なんたって、守護神ホワイトキャットの後ろ盾があるんだからな。
まだまだ、チャンスはある。
絶対に、作って見せる!
アイツが全快した翌日、アイツは俺の義姉さんと護衛を連れて商店街に買い物に行った。
アイツは「女同志の買い物なのだから、邪魔しちゃだめよ」とムカつくことを言ってきた。
護衛も連れて行くのだから、俺も連れて行けと迫ったら、アイツは呆れた顔をした。
義姉さんは、「今日は、お母様と買い物に行きたいのですわ。お土産を買ってきますから、家で待ってて下さいですわ」と俺を窘めてきた。
義姉さんの前では、『いい子』でいたい俺は義姉さんに大人しく従った。
本当は、義姉さんと一緒にいたかったけどな。
アイツと義姉さんが乗った馬車の音が消え去ってからは、部屋で大人しく書物を読んでいた。
巷で流行っている恋愛小説だが、どこが面白いのかさっぱり分からん。
だが、これでオンナゴコロを理解すればいいいと婚約者のいる友人に言われた。
その友人は、婚約者と相思相愛なので言っていることは本当だろう。
そう思って本を読み進めて行くと、部屋の扉がノックされたと同時に部屋の扉が壊された。
その部屋の扉だった物の先にいたのは、イジワル伯父様と近衛騎士たちだった。
近衛騎士たちは、俺をまるで罪人として扱うように王城の地下牢まで連行して行った。
何がどうなっている!?
アノことは、まだバレているはずないだ。
まさか、屋敷内に内通者がいたのだろうか?
いや、そんなはずない。
俺は、絶対に注意を怠らなかった。
完璧な計画にしたはずだ。
俺に限って、ミスしたり間違うはずがない。
だが、そんなことはなかった。
イジワル伯父様は、俺がしたことの詳細をこと細かに調べ上げていたのだ。
いくら王家直属の調査団だからって、ここまで詳しく調べ上げれるはずがない。
一体どうなっているんだ!?
そして、イジワル伯父様は国王として俺に即自害を命じた。
なぜだ!?
何がどうなっているんだ!?
自害の抵抗を試みたのだが、近衛騎士が俺を押さえつけ無理やり薬を口の中に流し込んできた。
これじゃ、俺の義姉さんを思う時間すらないじゃないか!
即効性の毒薬らしく、俺はすぐに意識が沈んだ。